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佐村河内さんの曲は別人の作 [音楽]

昨晩から厳しい冷え込みとなり、今朝は雪の舞うお天気となりました。
昼になっても気温は上がらず、今日はひとしお寒さが身に染みました。

今朝のNHKニュース「おはよう日本」で、驚愕のニュースが流れました。

佐村河内守氏の曲は別人作 フィギュア高橋大輔のSP使用曲も
 佐村河内氏の作品を「本当は自分が作曲している」という人物が、その事実を告発する準備。背景には佐村河内氏との間で意見の対立など何らかのトラブルがあったようだ。

 代理人によると、十数年前から佐村河内氏が別の人物にイメージなどを伝え、曲にしてもらっていたといい、「(作曲した)人物の側にも作曲者として表に出づらい事情があると聞いており、佐村河内が自身を単独の作曲者と表記するようになった」と経緯を説明。佐村河内氏は深く反省しているという。

NHK側は、「気づくことができなかった」として、番組内で謝罪しておりました。
「取材や制作の過程で検討、チェックを行いましたが、本人が作曲していないことに気付くことが出来ませんでした。視聴者の皆様や番組の取材で協力していただいた方々に深くおわびします」とのことですが、プロデューサーやディレクターは、本当にそのことがわからなかったのか、共同制作者的な存在を示唆するような話もあるだけに、現在のところ真実は「藪の中」というところでしょう。
 NHKは制作したフリーのディレクターに詳しい制作過程を聴くなど調査を開始。スポニチ本紙の取材でも「確かに共同制作者的な存在はいる」と、いわゆるゴーストライターの存在を認めていた関係者もいるだけに、問題化するのは必至だ。

また、この代作の作曲者にもNHKは取材を申し込んだそうですが、応じてはもらえなかったとのことです。
佐村河内さんのCDが、クラシック部門としては異例の売り上げを記録したのは、NHKが大々的に取り上げたことも大きな要因でしょうから、NHKとしても看過できない問題でしょうね。
どのような形で真実が明らかにされていくのかわかりませんが、報道の行方を見守りたいと思います。

因にいわゆるゴーストライターは新垣隆さんだということです。どのようないきさつがあったのか定かではありませんが、徒に騒ぎ立てていた私たちの方にも反省すべき点は多々あるように感じています。

ところで、私は以前、佐村河内さんの作品について記事にしましたが、私は今でもここに書いた作品そのものの感想についてのことを否定するつもりはありません。
実際、今の時代にこうした音楽の創造があり得ることは衝撃的でありましたし、その意味での可能性を示唆してくれたようなものですから。
特に、あのシャコンヌとソナチネの美しさは、恐らく現代の奇跡だと思います。

ただ、今回のことを思うと、私は佐村河内氏を取り上げたNHKの放送を観て初めてその音楽の存在を知ったわけですから、これがなければ知る由もなかったはずです。
その意味ではメディアの影響力の大きさに慄然とさせられました。

でも、繰り返しになりますが、音楽の素晴らしさには変わりはないと思います。
私は今でも、あの交響曲「HIROSHIMA」の金管によるコラールの素晴らしさを、折節思い返すのですから。

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コメント 14

九子

私もちょっと複雑な思いでした。
それに、さすが、被爆2世でなければかけない曲と思ってた「Hiroshima」が、あらかじめ作られていた曲だったなんて・・。

最初から共作にすれば何の問題もなかったのに・・。

新垣さんと言う方はあれだけの才能がおありなのだから、現代のベートーベンなんていうストーリーが無くても、ちゃんと一人でやっていらっしゃれるのにねえ。
by 九子 (2014-02-05 23:58) 

夏炉冬扇

お早うございます。
昔、遺跡発掘の考古学者の話ありましたが。あれを思い出しました。
by 夏炉冬扇 (2014-02-06 08:28) 

tochimochi

複雑な思いがしますね。
最初から共作にすれば問題がなかったと言われていますが、それではメディアの取り上げ方にインパクトがないと思ったのか。
現代のベートーベンというキャッチフレーズは確かに魅力的に感じますから。

by tochimochi (2014-02-06 12:36) 

hirochiki

私も、昨晩のNHKのニュースで初めて知りました。
なぜこのような状況が18年間も続いたのか、これから少しずつ明らかになっていくことと思いますが、大変残念です。
ソチ五輪で、高橋選手は、予定通り佐村河内氏の楽曲を使うそうですね。
ところで、今朝の冷え込みはかなり堪えました。
明日もまだこの寒さは続くようなので、体調管理には十分にお気をつけ下さい。

by hirochiki (2014-02-06 19:03) 

のら人

恥ずかしながら、このお二方を知らないもので、なんともコメントさえも憚られます。すいません。 ^^;
先程タブロイド紙に記事が出ていたので読みましたが、新垣氏は現職の桐朋学園大非常勤講師を辞めるそうですね。二人には詐欺罪の適用があるそうですが ・・・。 
by のら人 (2014-02-06 20:09) 

伊閣蝶

九子さん、こんばんは。
仰る通り、最初から「共作」にしておけば何ら問題はなかったと思います。
新垣さんの才能は素晴らしいものがありますが、文春の記事を読んでみると、ゼロから生み出すパワーという点で、少し劣るものがあったのかもしれません。
ただ、あの「ソナチネ」は純粋に生み出された曲ですし、本当に素晴らしい高みにあると思いました。

by 伊閣蝶 (2014-02-06 23:50) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
遺跡発掘の考古学者の話、そういえばそんな話がありましたね。
残念なことです。
by 伊閣蝶 (2014-02-06 23:52) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
そのとおりで、恐らくメディアの影響が大きかったのだろうと思います。
逆に言えば、そういうことがなければクラシックの作曲家が世に出る機会がないということにもなり、日本の音楽シーンの閉鎖性の問題も浮き彫りになるのかもしれません。
by 伊閣蝶 (2014-02-06 23:56) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
この騒ぎの中でも、高橋選手は予定通り「ソナチネ」を使うとのことで、ちょっと安堵しました。
今回の騒ぎとは別に、この曲の美しさに心を打たれた一人として、そのことを喜びたいと思います。
今日の冷え込みは本当に厳しいものがありました。
どうぞくれぐれもお気をつけ下さい。
by 伊閣蝶 (2014-02-06 23:59) 

伊閣蝶

のら人さん、こんばんは。
新垣さんは、ご自分から桐朋学園の講師をお辞めになる決断をされたようです。
作曲家として食べていくことが困難な中、この決断は大変重いものと思います。
せめて新垣さんにこれ以上の責めがないことを祈りたい気持です。
彼の生み出した音楽は、掛け値なしに素晴らしいものだと思いますので。
by 伊閣蝶 (2014-02-07 00:02) 

ヒロノミンV

 伊閣蝶さんのご意見を拝見して、音楽そのものを愛する方は、世の中のマジョリティの意見がどうであろうと、その楽曲への眼差しは変えないものだ、ということに安堵いたしました。
 私は生演奏では聴く機会はなかったのですが、コンサートはどの会場でも盛況だったようで、そこで楽曲に感動した人々の感情はホンモノであっただろうと思っています。
 100年ぐらいたてば、21世紀前半の世相とともに語り継がれ、演奏されていくかもしれません。
by ヒロノミンV (2014-02-07 19:34) 

伊閣蝶

ヒロノミンVさん、こんにちは。
今、横浜の自宅に帰って来ておりますが、時ならぬ大雪に驚いております。
今回の顛末には確かに驚愕しましたが、記事でも書きましたように、私はこうした楽曲が創造され、多くの人の心に響いたことを大切にしたいと心底から思っています。
音楽のような芸術作品は、生まれた瞬間から創造者の手を離れ新たな生命を宿らせていくものなのではないでしょうか。
音楽を聴いているとき、私はその響き中から構築された(ある意味では仮想的な)世界を思い描いて、その中で自分なりの感動に浸ります。
きっと、世の中の純粋な音楽好きは同じように曲を聴いておられるものと信じます。
音楽の専門家や評論家が分析的な目(耳?)で、そうした作品を精査すること自体は全く否定するつもりもありませんし、私たちにとって大いに感謝すべきことだとは思いますが、もしも純粋にそうした仮想的な世界に浸って遊ぶことが忌避されているのだとすれば、むしろ気の毒だとも思います。
私もこの曲の生演奏を聴く機会はついにありませんでしたが、仰る通り、この曲に感動した人たちの感情は本物だと考えます。

by 伊閣蝶 (2014-02-08 14:33) 

Cecilia

こんばんは。ご無沙汰してすみません。
佐村河内さんの件、伊閣蝶さんの過去記事で知ったわけですが、大好きなフィリップ・ジャルスキーと同じサモンプロモーションなので気になっていました。私は今新垣さんを心から応援したい気持ちです。(応援団になっている方が多いようで嬉しく思います。)最近のテレビ出演を見ましたが大変地味な生活をされているようですね。ピアノは電子ピアノでした。


by Cecilia (2014-04-16 21:27) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんばんは。
大変ご多忙の毎日であられたとのこと。
そのような中でコメントを頂き、ありがとうございました。
新垣さんは、人間的にもとても素晴らしい方のようです。
何よりも、純粋な創造者であり、ミュージックサーバントであることが、私としては感動しているところです。
このことに関しては、私のメインサイトの方に、少し詳しく触れましたが、現代音楽のおかれている状況には、ある意味、非常に危惧を感ずる次第です。
音楽で食べていくのは相当に厳しいことですが、新垣さんのように才能がある方でも、おかれている状況は変わりないようですから。

by 伊閣蝶 (2014-04-16 22:07) 

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