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シンエヴァンゲリヲン劇場版:|| [映画]

立春が過ぎました。
今シーズンの一月は、ことのほか寒さが厳しかったような感覚がありますが、陽も長くなりようやく春の兆しが見えてきそうな陽気です。

連れ合いが旅立ってから4年が過ぎました。
tyoume2023.jpg
連れ合いが生前かわいがっていた長寿梅の花が咲き始め、今年はたくさんの花が咲きそうです。
昨年、私の不注意から鉢を割ってしまい、少し大きめの鉢に植え替えざるを得なくなったのですが、どうやらそれが功を奏したようで、これまでになくたくさんの花を咲かせ、なんと実まで生りました。
今年はどうだろうと、今から楽しみです。

こちらは水仙の花。
suisen2023.jpg
今はもう盛りを過ぎておりますが、この写真を撮った一月の初め\頃は、たくさんの花を付けてくれました。
以前、このブログでも書きましたが、これも連れ合いが大切にしていたもので、連れ合いの生前には花を付けなかったのに、一昨年の12月に初めて花を咲かせ、今年はさらに多くの花を付けてくれています。

これはシクラメンです。
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三年前、弔事のお返しに頂いたものですが、この三年間、毎年きちんと花を咲かせてくれています。

花が大好きだった連れ合いは、ベランダの植木鉢やプランターをこまめに手入れしていたもので、私はミニトマトとかバジルのような、食せる植物ばかりに関心がいっていて花の類は完全に任せきりでした。
連れ合いが亡くなってから、花の世話もするようになったのですが、こうして元気に花をつけてくれると、やはり嬉しいものですね。

こうした鉢植えやプランターあるいは生け花などは別として、大地に生育する植物は、自身の根を取り巻く無数の植物性微生物・細菌などによって地球全域にわたる相互の巨大なネットワークで補完されている、という説があるそうです。
つまり、自分の家の庭や畑にある草や樹木は、地球の裏側など隔絶されていると思われる場所に生育する植物たちとつながっているということ。
あまりに壮大な話でちょっと眩暈もしますが、私は非常に納得してしまいました。
いわば植物は、地球という大きな存在(ある種の生命体)を形作る神経系や血管のようなものなのかもしれません。
植物には、私たち動物とは違った形での感情がある、という説もあります。
水を上げたり肥料を上げたりすると喜び、火を近づけたり傷つけたりすると嫌がるのだそうです。
音楽を聴かせるとご機嫌なものもいる、などと聞くと、愛着がわきかわいくなりますね。

このブログに記事を書くのにずいぶん時間が経ってしまいました。

要因の一つに、生家のリフォームの実施があります。

母が高齢のため、以前から生家のバリアフリーや耐寒対策を施す必要を感じており、私もようやく重い腰を上げたというところです。
昨年の8月から着工して、先月の終わりにようやく完了しました。
私も近い将来、そちらに居を移すつもりもあり、そうしたことを念頭に置いてレイアウトなどを調整したりしたことから、予想以上の手間がかかった次第です。
書きたい題材はたくさんあったのですが、とても文章にまとめる気力もなく、そのまま荏苒と時が過ぎてしまいました。

今回も、本音を言うときちんとまとめられるかどうか非常に心もとないのですが、冒頭に書きました花たちに感動してしまい、このことは書いておきたいと思いましたので、アップ致します。

さて、生家のリフォームにも関連するのですが、いくつかの家具を購入しなければならなくなり、ネットですとAMAZONでしか入手できないものがありました。
そこでAMAZON経由で注文したわけですが、そのついでにAMAZONプライムにお試しで加入。
二年ほど前にも一度お試し加入をしており、改めて、ということです。

理由の一つに、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を観たかった、というものがあります。
この映画は、どうやら来月の初めにようやくDVD・BD化されるようですが、せっかくなのでこの機会に、と考えました。

それまでの序破Qは、NHKBSでも既に放送されていましたから、私としては是非とも完結編を観たい!という気持ちがあったわけです。

新世紀エヴァンゲリオンは、1995年から96年にかけて放送されたアニメで、熱狂的なファンを生み出しましたが、テレビアニメの最終回では、それまでの展開とはかけ離れた精神的葛藤が中心となり具体的な完結には程遠く、それを補完する意味で制作された「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」で、そうした観客の不満にこたえるための一応の結末が描かれました。
しかし、稀有壮大なまでに拡大された多くの伏線は、きちんとした回収がなされたとは言えず、これを観た観客を路頭に迷わせる結果となります。
登場人物のほとんどが死ぬか廃人化してしまうという凄惨な作品でもありますから、そもそもそれを通常のアニメ作品的な大団円に持ち込むのは無理があったのかもしれません。

庵野監督ご自身も、恐らく相当苦しんだことと思われ、どうしてもこの作品の決着をつけたいという決意を新たにしたのでしょうか。
新劇場版、序破Qそしてシン・エヴァンゲリオンは、庵野監督のそのような想いが結実した作品といえるのかもしれません。

さて、先に述べたような経緯で、今回シンエヴァンゲリヲンリピートを観たのですが、これを観たことによって、序破Qの中で感じていた疑問や戸惑いが解消された感がありました。
序破Qを再度観たのですが、なるほどそういうことだったのか、とかなりの部分納得させられたのです。

ただし、この物語の一番の肝である「人類補完計画」に関していえば、やはり私には謎が残ります。
ゼーレも冬月や碇ゲンドウも、知恵の実を食べて己の欲望のみに突っ走る不完全なリリン(第18の使途=人間)をすべて清算し、完全なる人類として再生させるという点では同じなのでしょうが、ゼーレはそれを神の子として考え、ゲンドウは神と同一のもの(つまりゲンドウがそれになる)として昇華させる、という違いがあるのでしょう。
いずれにしても、それらはセカンドインパクトやサードインパクトという地球の強制浄化の果てのものであり、人間のみならず地球上のすべての生命体が巻き添えを食って消滅するというもの。
シンジは、その人類補完計画発動のトリガーとされていたものの、最終的は他者の存在と共生を願い、ゼーレの思惑はもちろんゲンドウの願いも打ち砕きます。

そのシンジの背中を押すことで、自らを犠牲にしてしまう葛城ミサト。
旧劇場版「Air/まごころを、君に」における最期も切ないものでしたが、シンエヴァのそれはさらに壮絶かつ痛切なものでした。
このミサトの最期ののシーンから、きっと多くの人は宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」を思い起こすことでしょう。
赤城リツコをはじめとするヴンダーの乗組員全員を艦から退避させ、ヴンダーもろとも一人でマイナス宇宙のイマジナリー(巨大なレイ=リリスの瞳)に特攻をかけ、命を賭してガイウスの槍をシンジに渡します。
そして、シンジの乗る初号機のコア(魂)であるユイ(ゲンドウの妻、シンジの母)はシンジを初号機から離脱させ、背後から抱きすくめる13号機(ゲンドウが搭乗している)は初号機もろともガイウスの槍で串刺しにされます。
ガイウスの槍は、その後次々に残されたエヴァンゲリオンを串刺しにしていく。
それによってゲンドウの人類補完計画は潰え、ゲンドウの野望は頓挫したかに見えますが、ゲンドウの真の目的は愛する妻のユイと一体化することだったので、図らずもそれは成就した、ということでしょう。

さて、結構謎の存在であった真希波・マリ・イラストリアスについても、シンで(明確には描かれていませんが)かなりの存在感を以て描かれています。
冬月が持っていた写真(これは、Qで冬月からシンジに示されています)から、ゲンドウやユイとともに冬月の教え子だった関係性が見て取れ、冬月先生、ゲンドウ君、ユイさんと呼んでいた背景もわかりました。
写真には生まれたばかりのシンジも映っており、マリがシンジを何くれとなくサポートする根拠もわかります。
冬月が、彼女のことを「イスカリオテのマリア」と呼んだことも象徴的です。
イスカリオテといえば、恐らく誰しもがユダを思い起こすものと思われ、冬月・ゲンドウ・ユイがもくろんだ「神殺し」の人類補完計画を、シンジに与することで阻止したことから、つまり「裏切り者」であり、またイエスの最期と復活を見守るマグダラのマリアでもあった。
最終的に人間をはじめ多くの生命を復活させる役割を担ったシンジを、彼女が最後まで見守り「必ず迎えに行くから待っていて」と力強い言葉をかける背景もこのあたりにあるのでしょうか(ラストシーンも象徴的)。

などと、書けば書くほど散発的でまとまりを欠いてしまいそうですので、このあたりでやめておきます。

この作品を観て、一番心に響いたのは、庵野監督の誠実さでした。
先にも触れた通り、旧劇場版で一応の決着を描いたものの、庵野監督はそれを良しとは決してしなかった。
庵野監督はシンエヴァの脚本を2009年から書き始めていた、と聞きます。
序の公開が2007年で、破は2009年ですから、そのころから結末に向けて具体的な構想を練ってきたのでしょう。
シンジの口癖である「逃げちゃだめだ」や、最後にミサトに告げる「これは僕が落とし前をつける」という決意の言葉は、きっと庵野監督の想いを具体化してものなのだろうと感じます。

単なるロボットアニメや兵器物の枠を超え、哲学的・宗教的な世界まで内包し、稀有壮大な物語に膨張してしまった新世紀エヴァンゲリオン。
その複雑かつ拡散してしまった(かに見える)厖大な伏線を、庵野監督はでき得る限り回収しようとした。
その誠実な姿勢には満腔の賛意と尊敬の念を抱きます。

そして、それでもなお、この作品は様々な解釈の余地を残した。
観客一人一人が、様々に違った解釈をし、独自の世界観を広げることを許してくれる、アニメとしては非常に珍しい作品なのではないでしょうか。




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コメント 17

夏炉冬扇

長寿梅の花のお話。奥様もうれしいでしょう、きっと。
ご実家のリフォーム、こちらはご母堂がうれしい。
いいことなさっていますね。
by 夏炉冬扇 (2023-02-13 18:23) 

のら人

自分もアマゾンプライムでシンエヴァの触りを見ましたが、ストーリーが良く分からず途中で放棄してしまいました。それまでもシリーズはスポットで見てきたので通して見た訳ではないので難しく感じたのかも知れません。^^; 赤の濃いい紅梅は見事ですね。ボケの花の色合いに似ています。好きな色です。^^
by のら人 (2023-02-13 19:22) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんにちは。
長寿梅、連れ合いのところからも見えればいいなと思います。けなげに咲いてくれています。
リフォームでは母が喜んでくれました。これもうれしい限りでした。
by 伊閣蝶 (2023-02-14 12:17) 

伊閣蝶

のら人さん、こんにちは。
仰る通り、エヴァンゲリオンは、その独特な世界観と設定を知らないとストーリーについていけなくなります。
我慢して観るようなものではありませんが、今現在我々が抱えている課題なども透けて見え、ちょっと魅かれるところもあります。
長寿梅の花の赤色はかなり深く、通常の紅梅よりも仰る通りボケの花に近いように思います。私も大好きな色です。
by 伊閣蝶 (2023-02-14 12:21) 

tochimochi

鉢植えの梅に実がなるとは感激したでしょうね。
色んな花が咲くのを見るのは心和みますね。我が家でも福寿草が咲き始めました。
リフォームでご苦労されていましたか。高齢のご母堂が居られては心配が絶えませんね。私の母は数年前に亡くなりましたが悔やまれることしきりです。最後の親孝行をなさってください。
伊閣蝶さんの知識はあらゆるところに隈なく延びていますね。エバンゲリオンはだいぶ前にコミックで少し読んだだけですが少し興味がわいてきました。
by tochimochi (2023-02-14 21:28) 

サンフランシスコ人

「今シーズンの一月は、ことのほか寒さが厳しかったような感覚がありますが......」

サンフランシスコでは、基本的に季節がないので、1月と7月の区別がつかないです....
by サンフランシスコ人 (2023-02-15 02:52) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんにちは。
鉢植えの梅に実がついたのにはさすがにびっくりしました。
冬の時期、咲いた花に出会えるのはやはり心が和みます。
そちらでも福寿草が咲き始めているとのこと。楽しみが増えそうですね。
リフォームのこと、母へのお気遣い、誠にありがとうございます。仰る通り今のうちにできることを考えた末のことでした。おかげで私の老後資金は激減しましたが(^_^;)
エヴァンゲリオン、tochimochiさんもお読みになりましたか。
3月8日には、この映画もDVD化されるようです。よろしければご覧ください。
by 伊閣蝶 (2023-02-15 17:19) 

伊閣蝶

サンフランシスコ人さん、こんにちは。
御地では安定した気候が続くのですね。羨ましい限りです。
by 伊閣蝶 (2023-02-15 17:21) 

Cecilia

お久しぶりです。
奥様が亡くなられて4年になるのですね。
水仙の記事、覚えています。奥様との思い出のお花を大切にされていること、素晴らしいです。

エヴァンゲリオンはいまだにほとんど見ていないのですが、伊閣蝶さんのお勧めなら絶対間違いはないと思っています。
by Cecilia (2023-02-15 20:30) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんばんは。
連れ合いを亡くして4年も経っていることに、実はあまり実感がありません。その間の時間が飛んでしまっているような感覚とでも言いましょうか。
ことに花たちを眺めていると、その想いが強くなります。

エヴァンゲリオン、新劇場版は本当によくまとまっていると思います。
お時間があれば、序・破・Qそしてシンと、四部作を順序だててご覧いただくことをお勧めいたします。
いずれも、アマゾンプライムで鑑賞できます。
by 伊閣蝶 (2023-02-16 23:08) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコでは、クラシック音楽の演奏会が催される場所が沢山ありますが、オーケストラに適したのはデービス・シンフォニーホールだけです.....

http://www.sfcv.org/articles/review/herbert-blomstedt-again-delivers-annual-sf-symphony-visit

先週、ブロムシュテットがサンフランシスコ交響楽団に再登場しました....
by サンフランシスコ人 (2023-02-17 03:20) 

Jetstream

歳月が経つのは早いですね。亡くなられた奥様への伊閣蝶さんの深い想いをお察しします。そして故郷へのUターン準備はとても賢明のように思われます。私ひとりになったら、東京に居る理由もなくなり、まだ元気なら故郷へ戻るという選択肢も十分ありです。
私の少年時代は鉄人28号とかエイトマンの時代で、ガンダムとかエヴァンゲリオンといったハイブリッドなヒーローには疎く縁遠いですが、アマゾンプライムではいろんな作品が遡って楽しめますね。ここ数週間米国のTVシリーズに没入しています。(笑) 昨日はライアンのシリーズ3を見始めました。パソコンから離れるのもいいですね。
by Jetstream (2023-02-17 21:04) 

伊閣蝶

Jetstreamさん、こんにちは。
もう4年も経つのか、というのが実感です。私の中ではまだ納得がいかないのかもしれません。
故郷へのUターンは以前から考えてきましたが、どうやら実現の運びとなりそうです。一人で首都圏に暮らす意味は仰る通りなく、身内の暮らす故郷に帰ることが、やはり安心だと思います。
私も同じような経験で、鉄人28号やエイトマン時代でした。ただ、エイトマンは結構子供ながらにシリアスな話も多く、日本のアニメにはそういう傾向もあるように思います。
エヴァンゲリオンなどは、恐らくその延長にあるのだと思います。
米国のTVシリーズも観られるのですか!
これは面白そうです。私も早速探してみます。
by 伊閣蝶 (2023-02-18 12:10) 

伊閣蝶

サンフランシスコ人さん、こんにちは。
コンサートをお楽しみのご様子。
何よりと存じます。
by 伊閣蝶 (2023-02-18 12:12) 

サンフランシスコ人

「御地では安定した気候が続くのですね.....」

安定しなくなりました....高気温で、サンフランシスコの大阪通にある桜が開花してしまった....

「今コンサートをお楽しみのご様子......」

COVIDで中止になりました....
by サンフランシスコ人 (2023-02-22 05:32) 

サンフランシスコ人

「先週、ブロムシュテットがサンフランシスコ交響楽団に再登場しました........」

http://www.kdfc.com/radio/on-demand/san-francisco-symphony-on-demand/

日本のファンも、録音を聴く事が可能だと思います....
by サンフランシスコ人 (2023-02-23 03:13) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコ交響楽団が2023-24年度シーズンを発表...

http://www.sfsymphony.org/Calendar/2023-24/2023-24Season
by サンフランシスコ人 (2023-04-01 01:56) 

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