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津フィルハーモニー管弦楽団、第10回定期演奏会 [音楽]

天気予報通り、雨の一日となりました。
気温は高い方とのことですが、やはり陽射しがないと寒さが身に応えますね。
夜には雨も上がりましたが、風が強くなり冷え込みは一層強くなりました。
風邪も流行っているようなので、どうぞくれぐれもお気を付けくださいますように。

昨日、気持ちの良い秋晴れの中、津フィルハーモニー管弦楽団による「第10回定期演奏会」を聴きに行ってまいりました。
職場の同僚が楽団員なのですが、たまたま家内も津に来ておりましたので二枚のチケットを都合していただいた、というわけです。
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演奏会場はアスト津4階の「津アストホール」。
先日、「三重の酒を楽しむ会」で出かけた時の記憶があったので、あれ?確かそれほど大きくはなかったような気がするが、などと感じながら出かけたのでした。
三重の酒を楽しむ会」の折は平面的な使い方をしていましたが、今回は移動式の階段席が設置され、多少手狭な感じは否めないものの、立派なホールとなっています。
オーケストラと客席が近いのも、ある意味では大変好もしいのではないかと思いました。
津フィルハーモニー管弦楽団の指揮者であり代表も務めておられる伊東玲先生のお言葉によると、津市に根差した演奏活動を進めていくという目的の元、津市にある数々のホールで演奏会を開く方針となさっておられるとのこと。
津市は、いわゆる平成の大合併で10の市町村が一つになりました。面積も710k㎡を超える広大なものですから、その方針を実行に移すのはかなり大変なのではないかと思いますが、関係者の皆様のご努力もあって着実に進んでいる由。
既に三分の二を達成なさったというお話でした。素晴らしいことですね。

今回のプログラムは二部構成となっており、演奏曲目は次の通りでした。

第一部
  1. ペルシアの市場にて(ケテルビー)
  2. ドナウ河のさざなみ(イヴァノビッチ)
  3. アンダンテ・フェスティーボ(シベリウス)
  4. ワルツ「金と銀」(レハール)

第二部
  1. ミュージカル「キャッツ」より「メモリー」(アンドリュー・ロイド=ウェバー)
  2. 映画「ティファニーで朝食を」より「ムーン・リバー」(ヘンリー・マンシーニ)
  3. カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲(マスカーニ)
  4. マイ・フェア・レディ(フレデリック・ロウ)

ご覧頂ければお分かりの通り、大変親しみやすい曲を選んでおられました。
これらの曲のかなりのものは、私も吹奏楽で演奏した経験がありましたので、聴きながら思わず笑みがこぼれた次第です。
先ほども書きました通り、客席とステージが近いこともあって、通常の演奏会にはない一体感を強く感ぜられたことも特筆すべきでしょう。
指揮者の伊東先生より、それぞれの演奏曲のユーモアを交えた解説も頂きましたので、新たな発見もさせてもらい、これもうれしいところでした。

中でも、シベリウスの「アンダンテ・フェスティーボ」の演奏は秀逸!
通常は弦楽器のみで行われることの多いこの曲を、シベリウスの指示に従い、最後にティンパニを加えた原典版を演奏。
これは聴きものでした。
相当に練習を積まれたのだろうなと、そのことにも感動した次第です。

また、第二部の「メモリー」の演奏の後、伊東先生のご子息(小学校三年生)と楽団のピアノ担当である福井悠大さんとによるショパンのピアノ曲の独奏、そしてお二人の連弾による「魔女の宅急便」の演奏がサプライズとして挿入され、これもまた印象に残りました。

こうした演奏会では稀な取り組みとして、就学以前を含む児童を演奏会場内での聴衆として受け入れておりましたので、選曲もさることながら、その点でのお気づかいもあったのでしょうか。
中にはやはりむずかるお子さんもいて、伊東先生はその子の方を向きながら、にこやかに対応しておられたことにも感じ入りました。

津フィルハーモニーは常時「団員募集」を行っており、「全パート募集中」「年齢・経験は問わない」とのこと(保護者同伴であれば未就学の児童でも可能だそうです)。
そうした間口の広さにもかかわらず、ところどころにアンサンブルの乱れがあったり外れた音が聴こえたりしたものの、全体としては相当程度高いレベルの演奏を聴かせてくれたと思います。
また、いくつかのパートにプロの奏者がおられ、その方々の演奏はコンサートマスターを始め何れも素晴らしいものでした(特に、パーカッション=ティンパニ、チェロ、コントラバス)。

津に来てからというもの、なんだかんだと余裕をなくしていて、演奏会を聴きに行くこともなかったのですが、やはり生の演奏は良いものですね。
練習時間を確保することも難しい中で、団員の皆様は大変なご苦労をなさったことと忖度しますが、団員の皆様の、真剣な中にも喜びに満ち溢れた表情を拝見するだけで、なんだかこちらまで幸せな気分になりました。

ところで、伊東玲先生は、現在、中部大学において現代教育学部児童教育学科の准教授のお立場にあられるとのこと。
教員として赴任した初めての小学校で吹奏楽部を発足させるなど、音楽を通した児童教育に大変な功績をお持ちです。
むずかる子供に優しく語りかけるお姿を拝見し、なるほどなと納得いたしました。
伊東先生が、こうした演奏会を通じてクラシック音楽の魅力を多くの人に伝えようとなさる取り組みを続けておられること、これは本当に意義深いものと考えます。
私などは、「所詮クラシック音楽のファンなんて、一割にも満たない程度の規模なんだから」と考え、クラシック愛好家を増やそうなどといったような大それた考えなどは全く持ちあわせておりませんから、ますますまぶしく思えてしまうのでしょうか。

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コメント 10

hirochiki

奥様とお久しぶりに生の演奏を楽しまれたようで何よりです。
お忙しい毎日ですから、こういったゆったりとした時間は貴重なものですね。
曲目も親しみやすいものが多く、ステージと客席が近かったとのことで
より迫力のある演奏をお楽しみになられたことでしょう。
お子様に優しく接しておられる伊東玲先生のお姿にもほっこりしますね。

by hirochiki (2012-11-27 06:52) 

Cecilia

津に引っ越されてから初めてのコンサート記事ですね。
オーケストラの暖かい雰囲気が伝わってきました。プロの方もさまざまなレヴェルのアマチュアも参加しているオーケストラというのは全国各地にあると思いますが、アマチュアにとっては勉強になる場所ですよね。プロの方にとってはいろいろと歯がゆい部分もあるかもしれませんが、津フィルはおそらく暖かい雰囲気の中で丁寧にアマチュアメンバーを指導してくださっているのだろうと思います。秀逸な演奏のシベリウス、是非聴いてみたいです。

ところで私も特にクラシック音楽ファンを増やそうとは思っていませんし、クラシックのほうがほかのジャンルよりレヴェルが高いと主張する気もないです。もちろん自分の中ではクラシックが一番なのですが。
最近良い意味でクラシックとほかのジャンルの垣根が取り払われていると感じますし、融合した演奏をしている方も多いですね。本当にロックやジャズが好きな方はクラシックにも魅力を感じてくださるものなのだなあ(逆もありますね。)と感じています。どんなジャンルであれ、きちんと”音楽”に向かう姿勢が魅力に繋がるのだろうと思います。
by Cecilia (2012-11-27 08:41) 

夏炉冬扇

今晩は。
上品なプログラムですね。
クラシックはいつ聴きにいったのだろう…
by 夏炉冬扇 (2012-11-27 18:13) 

のら人

日毎寒さが増して参ります。
伊閣蝶様もどうぞ風邪などにご注意ください。
自分も満員電車に乗ることが多くマスクが手放せません。特に最近激しく咳き込む御仁が多くなりました。そんな人に限ってマスクをせず、「菌」を撒き散らしております。 自衛、が全てですね。 ^^;
伊藤先生の活動が実を結ぶと良いですね。
by のら人 (2012-11-27 20:32) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
久しぶりの演奏会でしたので、家内共々楽しく充実した時間を過ごすことが出来ました。
仰る通り、曲目も大変ポピュラーなものばかりでしたので、会場内も大変盛り上がったのではないかと思います。
こうした活動を通じて、津フィルのファンが増えていくのは楽しみなことですね。
伊東先生、ほっこりという形容がぴったりするような魅力的な方でした。

by 伊閣蝶 (2012-11-28 23:05) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんばんは。
アマと一緒に演奏をすることは、もしかするとプロにとっても意義のあることなのではないかと思います。
聴き手がいてこその演奏ですから、その中で如何にきちんとしたアンサンブルを客席に届けることができるかを試行錯誤する上で、一緒に音楽を作り上げていく経験は決して無駄にはならないと考えますので。
また、アマにとってはもちろん最高の勉強の場になりますよね。
「アンダンテ・フェスティーボ」、実に素晴らしい演奏でした。
この演奏を聴けただけでも私にとっては大収穫となりました。

音楽に何らかのレッテルを貼るのは、私もかなり抵抗があります。
実は「クラシック」という呼び名そのものにもかなり強い抵抗があったりします。
私自身、ジャズやロックも聴きますので、そうした方面の音楽がいわゆるクラシックとの間で非常に深い共通項があることも認識しています。
きちんと音楽に向かう姿勢が魅力に繋がる、正に至言だと思いました。
ミュージックサーバント、これはどのようなジャンルにも繋がる概念なのかもしれません。

by 伊閣蝶 (2012-11-28 23:07) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
はい、とっても上品なプログラムでした。
そうした点でも、なんといいましょうか手作りの温かみを感じたところです。

by 伊閣蝶 (2012-11-28 23:07) 

伊閣蝶

のら人さん、こんばんは。
今朝は日本全国この秋一番の冷え込みで、場所によっては12月から1月の頃の気温になっていたようですね。
津でも霜がおり、初めての霜にびっくりした次第です。
風邪もはやっているようで、私の周囲でも咳をしている人をかなりみかけます。
幸い私はまだ大丈夫ですが、気をつけなければ。
のら人さんも満員電車に乗ることが多いとのことで、自衛のためのマスクは重要なアイテムですね。ウィルスもさることながら、冷気を直接吸い込まないためにも有効だと思います。
伊東先生の活動、きっと大きく花開くことになるだろうなと、期待してしまいました。

by 伊閣蝶 (2012-11-28 23:08) 

般若坊

ご挨拶
般若坊のブログ 『美と音楽と安らぎと・・・2』 の最終ページでは、本当に沢山の方々から暖かいCommentやNiceを頂戴いたしました。
心から厚く御礼申し上げます。
Commentにクルージングやオーロラ観察への報告ご要望が、大変多いので
私も冬眠を先延ばしし、御礼を兼ねて旅の状況をご報告申し上げます。
ブログ 『音楽の宝箱』http://smoking-pipe.blog.so-net.ne.jp/ にまだ空いているスペースがありますので、
ここに臨時版として掲載させていただきます。
基本的には旅行全日程を2日づつ5回に分けて、毎週土曜日毎にページを更新して参ります。 
ご感想等をお寄せいただければ、幸いに存じます。
ありがとうございました。

by 般若坊 (2012-11-30 23:03) 

伊閣蝶

般若坊さん、こんばんは。
臨時版をご利用の上でのブログのご再開、大変楽しみです。
早速拝見しに伺います。
by 伊閣蝶 (2012-11-30 23:35) 

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