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双石山(ぼろいしやま)に登ってきました。 [山登り]

週末は秋晴れの空が広がりました。
金木犀の香りもし始め、秋も深まって来ています。

宮崎の友人から「遊びにこないか」とのお誘いがあり、久しぶりに宮崎県の双石山(ぼろいしやま)に登ってきました。
双石山は標高509mという低山ですが、意外に山は深く、急峻な岩場もあって、非常に面白い山です。

イワヤ神社のある塩鶴登山口から登ります。
小谷登山口の方がにぎわっているようで、ここからの登山道はかなり荒れていました。
双石山縁起の書かれているイワヤ神社も荒廃の極にあります。

しばらく登ると天狗岩。砂岩の造形がなかなか見事です。
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象の耳の穴をくぐり、露岩と木の根にすがって登る急峻な尾根を登ると第一展望台に到着。
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宮崎市内と日向灘方面の絶景が広がります。
この第一展望台に登るルートはこれ。
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フィックスドロープを使わないで登るためには、例えばファイブテンの「MAMMUT(私の愛用品です)」みたいなスラブ専用のクライミングシューズがないと難しいと思います。

今回はタウンシューズで来ましたので、ここはあきらめ、その左にもう少しホールドがはっきりしているルートがあったので、試しに取り付きました。
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携帯電話のカメラなのでボケてしまって申し訳ないのですが、右下のちょっとしたくぼみに右足を置き、その隣の斜面に左足をスメアリングで立ちこんで右手で上のホールドを取ります。
左足に意識を集中して左手をクロスでホールドし、思い切って左を上の斜めのスタンスにステア。
右足を手のホールドのところまで持っていってマントリングで立ち上がるとガバホールドに届きました。
ボルダリンググレードでは6級〜5級の下くらいでしょうか。
苔むしているので、苔を踏まないように気をつけて登ります。
先程書いたルート上の各ポイントには苔がなかったので、きっとこうやって登る人も結構いるのでしょう。

第一展望台から上はさらに急峻な岩稜地帯が続き、第2・第3展望台からの道を合わせて右に折れると良く手入れされた小屋に着きます。
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地元山岳会の人たちは、よくここで夜を明かして飲んだそうです。今はどうなのかよくわかりませんが。

そこからいくつかのアップダウンを繰り返すと、第4展望台である双石山の山頂です。
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松の木越に展望が開けます。
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帰り道で、なんとツチトリモチを見つけました。
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乱獲が原因で、絶滅が危惧される植物です。
私もこうしてこの個体を見るのは、12年ぶりくらいのこと。大切に見守ってほしいなと思います。

帰路、象の墓場に立ち寄りました。
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四方を切り立った岩壁に覆われた特異な地形で、独特な雰囲気があります。
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宮崎山岳会の人たちは、往事ここで人工登攀などのトレーニングに勤しみ、腕を磨いていました。
しかし、今は登攀目的で訪れる人もいないのでしょう、支点のリングボルトも錆びて腐っています。
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これはまだかろうじてリングが残っていますが、その上のピンはリングが切れ、さらにその上はリングも落ちていました。
もちろん、リングが残っているからといって、こんなところにアブミやカラビナをかけて登る人はいませんが、仮に支点をペツルなどに打ちかえるとしても、下から登るとすれば、このピンにナッツタイオフなどで支点を作り、静加重の状態でジャンピングを使わなくてはならなくなるでしょう。
尤も、現在は強力なバッテリーを装填したドリルがありますから、ピンの穴を穿つのはだいぶ楽だろうとは思いますが。
さらに上を見上げると、確保支点があります。
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カメラを忘れてしまい、携帯電話で撮ったので画像が不鮮明ですが、並列のピンに腐ったシュリンゲがかかっていました。
しっかりしたスタンスがないので、アブミを使ったハンギングビレイということになります。
アブミでのハンギングビレイは結構大変で、トップはディジーチェーンなどを使って、もしものときの滑落距離を短くする必要があります。人工登攀は体力勝負といった側面もあり、腕力はもちろんですが、腹筋や背筋などの姿勢筋の力もかなり必要になります。
そういえば、人工登攀もかれこれ10年以上やっていません。
腹筋や背筋もかなり衰えてきていますから、やるとなれば相当の鍛錬が必要となることでしょう。

お天気にも恵まれ、久しぶり(八年ぶりくらいでしょうか)の双石山も堪能できました。
今回は飛行機でやってきたこともあって、荷物を少なくするため、お気に入りの小型ザックで登りました。
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10リットルくらいの小さなキャンバス地のザックですが、余分なストラップもなく形もシンプルで、ウエストベルトもチェストベルトもありません。
しかし、この中に、上下の雨合羽、折りたたみ傘、ライトダウンジャケット、長袖のシャツ、水1リットル、行動食、救急用品、ヘッドランプ、グランドシート、タオルなど、通常の山登りに必要な装備は全部入っています。

たたむとこんなに小さくなります。
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これはアライテントの「RIPEN」で、7000円というリーズナブルな値段で特売されていた折にカモシカスポーツで購入したものです。
もちろん「Made in JAPAN」。軽くて丈夫で背負いやすく、余計なフレームも入っていません。
そのため、パッキングにはそれなりの知識と経験が必要となりますが、私たちのようにキスリングを使ったことのある世代では大して苦にはなりません。
雨蓋もちょうどいい場所にファスナーがあるので、背負いながらでも両手を肩越しに回して中のものを出し入れできます。
小さすぎるのでザックカバーをつけるのは大変かなと思われるかもしれませんが、このザックを背負ったまま雨合羽の上着を着ることができるので、防水という面ではむしろ完璧です。
山道具はなんといってもシンプルが一番。
このザックはそれを証明してくれているように思いますので、蛇足ではありますが、最後にちょっとご紹介しました。
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hirochiki

この週末は、充実したお休みを過ごされたようですね。
お仕事がお忙しくても、お休みにご趣味の山登りをされることで
ストレス解消にもなるのではないでしょうか。
松の木越しに開けた展望が見事ですね。
山道具に限らず、最近は何事もシンプルが一番ではないかと感じております。
by hirochiki (2012-10-22 18:45) 

tochimochi

双石山、標高が低くて岩場もありいろんなルートある・・・古賀志山みたいですね ^^
かつての活躍を思い起こしながらの実に登攀は楽しかったことでしょう。
小型ザックも10Lも入るとは思えない小ささです。
いい物をお持ちですね。

by tochimochi (2012-10-22 20:21) 

夏炉冬扇

今晩は。
かなり険しいですね。
お疲れ様。
こちら雷がなりだしました。
by 夏炉冬扇 (2012-10-22 21:42) 

のら人

双石山(ぼろいしやま)  恐るべき!ですね。 ^^
でもこの様な山が、と言うか「岩」が増えてますね。 錆びついたリングボルト。
結局、ハーケンとハンマーに逆戻り?ですかね。
自分も当然の事ながら、本格的エイドはソロで出来る技術はありませんが、プロテクションがしっかりしていて初めて、エイドが成り立つ訳ですから。腐ったボルトに命を預けられませんです。^^;  アブミも使い慣れていないと、「訳が分からなくなる」 ですよね。(爆) 最後のアライテントのミニザックは素晴らしいですね。本物が分かる本物のクライマーだけが知っているザックですね。勉強になりました。 ^^
by のら人 (2012-10-22 22:06) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
お父様の傘寿とお母様の喜寿、おめでとうございます。記事を拝見し、とても温かな気持になれました(*^o^*)

ところで宮崎行きのこと、忙中閑ありというところでしょうか。こういう時間はとってもありがたいものです。
おかげで少し気持も治まりました。
お天気にも恵まれましたので最高の気分です。
それから、何事もシンプルが一番。仰る通りですね。

by 伊閣蝶 (2012-10-22 23:04) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
確かに古賀志山に似た雰囲気の山だと思います。
山高き故に尊からず、という俚諺が思い起こされます。
この壁、もう長らく来ていなかったので、さすがにこの寂れようは寂しいものがありました。
それからザックですが、これは個人的に超お勧めです。
背負えば背負うほどなじんでくるような感じがしますね。

by 伊閣蝶 (2012-10-22 23:06) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
標高のわりには険しい山だと思います。
でも、もちろん、楽勝コースもあります。
今夜からどうも天気が大荒れになりそうですね。
くれぐれもお気をつけ下さい。

by 伊閣蝶 (2012-10-22 23:07) 

伊閣蝶

のら人さん、こんばんは。
仰る通り、忘れ去られたクラシックルート、という感じのルートが随分増えています。
アルパインクライミングが衰退し、登る人が減っているからかもしれません。
名のある岩壁は中高年登山者も狙っているので大盛況のようですが。
エイドのプロテクションは、ほとんどの場合、落ちたら終わり、みたいな程度の危ないものが多いのではないかと思います。
腐ったボルトでも、ナッツタイオフなら静加重で行ける!というところですね。アブミのカラビナを握ってそっと体重をかけて次の支点にクリップする、などという感じでしょうか。
ところで、アライテントのザック、良いでしょう(*^o^*)
使えば使うほど手放せなくなります。

by 伊閣蝶 (2012-10-22 23:08) 

Cecilia

登山の記事・・・とは思っていましたが、近場の山と勘違いしていました。宮崎まで行かれていたのですか。お疲れ様です。
今年の夏は宮崎に行きたい用がありましたが、さんざん悩んだ結果行かないことにしました。今でも残念な思いでいます。
なかなか使い勝手の良いザックですね。うちの夫が欲しがりそうです。
(今は登山はしませんが好日山荘でよく買い物をします。)
by Cecilia (2012-10-26 15:59) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんばんは。
はい、宮崎まで出かけてきました。
伊丹からだと結構速いので意外に便利だなと思いました。ただ、伊丹まではそれなりに時間がかかってしまいますが。
今年の夏、宮崎にお出かけのご用事がおありだったとのこと。ご事情により果たせなかったのは残念ですね。
このザック、大変使い勝手が良く、山屋の心をくすぐります。
今や、ミレーですら「made in china」が主流ですから、老舗のやな用品メーカーが頑固に品質にこだわっていてくれることが嬉しく思います。
ご主人も昔の山登りを思い出されるかもしれませんね。
by 伊閣蝶 (2012-10-26 21:51) 

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