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映画監督の若松孝二さんが亡くなりました!無念! [映画]

雨が降り続いています。
この雨のせいもあるのでしょうか、気温もだいぶ低くなってきました。
仕事の関係上、お客様回りで上着を着用することが多いのですが、気温が低くなってきてくれたおかげで、あまり鬱陶しくなくなり、その点では助かりますね。

映画監督の若松孝二さんが亡くなりました。

<映画監督>重傷の若松孝二さん死去 タクシーにはねられ

事故当初は、重症ではあるものの意識ははっきりしており命に別状はない、との報道でしたが、その後容態が急変し、昨日の晩に亡くなったのだそうです。
片側二車線の外苑西通りで、横断歩道のないところを渡ろうとしてタクシーにはねられたとのことで、何故にそのような無茶なことをされたのか、と悔やまれてなりません。

私が初めて接した若松監督の作品は「胎児が密猟する時」です。
就職したばかりの、むさぼるように映画を観ていた時期で、悪魔的な恐るべき迫力に満ちた演出に息を呑む思いでした。
「丸木戸定男」という、あまりにも直截的な役名の主人公(山谷初男氏が好演)が、自分のデパートの若い女性従業員と関係を持つ中で、サディスティックな行為に走り、最後はナイフを手に入れた女性従業員に刺し殺され、血だらけになって両膝を抱えた形で(まるで胎児のように)死んでいく、という、ストーリーとしては単純なものですが、カメラワークやライティングも冴えわたり、映画というものの持つ表現力の深さと力強さに打ちのめされたものです。
その後、「壁の中の秘事(ひめごと)」「狂走情死考」「犯された白衣」「裸の銃弾」「処女ゲバゲバ」などを次々に観て、そのたびに大きな衝撃と感動を覚えました。
これらの作品のいくつかを担当した足立正生さんの脚本もすばらしかった。
5~6年くらい前でしたでしょうか、これらの作品が、DVDボックスとして発売されたので、速攻で購入しました(いわゆる「ピンク映画」ですから、居間の本棚に他のDVDと一緒に入れておくのはちょっと躊躇したのですが、普通の人は気づかないと思いますのでそのままにしてあります)。

プロデューサーとしても、大島渚監督の「愛のコリーダ」を制作するなど精力的な活動をしてこられ、その中でも、大和屋竺監督の「荒野のダッチワイフ」、神代辰巳監督の「赤い帽子の女」などが特に強く印象に残っています。

今年、「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」を公開、先年の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」とは逆の視点での若者たちの思想的行動を描き、来年には、中上健二原作の「千年の愉楽」の公開も予定されているなど、76歳という高齢にもかかわらず、精力的に映画と取り組んでこられました。
原発誘致と補助金の関係などにも着目し、その観点からの映画製作も考えておられたとのこと。

このようなご最期は、ご本人としても誠に無念であったことと拝察いたします。

それにしても、76歳というご高齢を省みず、交通量の多い都心の四車線道路のそれも横断歩道のないところを中央分離帯を越えてまで横断しようとされたとは…。
大変失礼な言い草とは思いますが、何という軽はずみなことをなさったものか!
若松ファンの私としては、正に断腸の想いです。もっともっとたくさんの映画を撮って欲しかった。
残念無念、憤りさえ覚えてしまいました。

若松孝二初期作品集ボックスセット


胎児が密猟する時

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hirochiki

お客様回りのお仕事お疲れ様です。
車で回っていらっしゃるのでしょうか。
どちらにしても、道中はくれぐれもお気をつけ下さいね。
それにしても、若松監督は急いでいらっしゃったのでしょうか。
私も、車を運転していて歩行者が急に横断歩道のない交差点を渡ってきたりするとドキッとすることがあります。
「愛のコリーダ」は、内容はあまりよくわかりませんが
一時期よくTVで耳にしたことがあります。
心からご冥福をお祈りいたします。
by hirochiki (2012-10-19 05:31) 

夏炉冬扇

お早うご゛さいます。
才能ある方でした。新聞記事で知りました。
南無阿弥陀仏。
by 夏炉冬扇 (2012-10-19 08:02) 

Cecilia

「愛のコリーダ」も気になりますが、連合赤軍に興味がありますので「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」が気になります。
それにしても残念な最期でしたね。
by Cecilia (2012-10-19 08:40) 

のら人

本当に面白い映画を製作されていましたので、まさに「無念」です。
by のら人 (2012-10-19 08:49) 

般若坊

伊閣蝶 さん 沢山のNiceを ありがとうございます。
若松孝二さん 惜しい方でした。 ただやはり社会のルールを守るべき時は守らねば・・・という思いです。 破天荒や若松孝二流は おつくりになる画面の中でこそ 評価されるものであると思います。
さてご支援いただきました私のブログも、容量が一杯で間もなくお別れです。蘊蓄あるCommentの数々、厚く御礼申し上げます。
by 般若坊 (2012-10-19 11:18) 

tochimochi

営業のお仕事でしょうか。
何かと気を使うことが多いでしょうね。
私も営業ではありませんが、お客様のところに行く機会が多い職種となり、不慣れな毎日を送っております。
それにしても都心の4車線の道を横断されようとするとは、確かに軽はずみといわれても仕方が無いですね。監督の作品を見たことは無いですが、記事を見てみてみたいという気になってきました。

by tochimochi (2012-10-21 10:01) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
お客様回りは基本的に車です。やはり効率的ですし、電車賃など旅費の精算もなくてすみますので(^^;
でも、今回のようなこともありますから、今まで以上に慎重にしたいと思いました。
私も車を運転していて、歩行者が横断歩道外で急に飛び出して来てドキッとしたことが何度かあります。その想いがありますから、自分はそういう真似をしないように気をつけようと慎重に行動しています。
若松監督は、そのとき余程急いでいたのか、詳細は分かりませんが、少し歩けば横断歩道があったわけですから、どうして!と思わざるを得ません。やはり無念極まりないことでした。
「愛のコリーダ」、監督は大島渚さんですから、ある意味ちょっと難解ですね(^^;
この音楽は三木稔先生がご担当されていたので、三木先生とはその音楽の関係でもいろいろお話をしたりしました。

by 伊閣蝶 (2012-10-21 17:35) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんにちは。
夏炉冬扇さんも、若松監督作品をご覧になっておられましたか。
仰る通り、大変に才能に溢れた「映像作家」であられたと思います。
誠に残念です。

by 伊閣蝶 (2012-10-21 17:36) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
「連合赤軍」を題材にした映画はいくつかありますが、「実録、連合赤軍 あさま山荘への道程」はその中でも一二を争う存在だと思います。
高橋伴明監督の「光の雨」も凄い映画でしたが。
それにしても、若松監督のこのような最期は無念極まりないものでした。

by 伊閣蝶 (2012-10-21 17:36) 

伊閣蝶

のら人さん、こんにちは。
のら人さんも、若松監督作品をご覧になっておられましたか。
まだたくさんの構想をお持ちだったそうですから、本当に無念でなりません。

by 伊閣蝶 (2012-10-21 17:38) 

伊閣蝶

般若坊さん、こんにちは。
何と、容量オーバーでブログのご更新を中止されるとのこと!
これは大変残念です。
このような形でたくさんの音楽や映像作品をご紹介下さり、常日頃から楽しく拝見させて頂いておりましたのに。
どうか條件が整い次第、是非ともご再開下さいますよう心よりお願い申し上げます。
若松監督のこと。仰る通り、破天荒なのは作品の中だけにして欲しかったのですが、監督自身のこれまでの足跡も相当に破天荒でした。ただ、このような形でこの世を去られるとは無念極まりないことです。

by 伊閣蝶 (2012-10-21 17:39) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんにちは。
本務が営業かといわれると、ちょっと違うような気もするのですが、現在は営業活動が主体で、関係の方々をご訪問する毎日です。これまでの仕事とはかなり異なっているので、戸惑うことばかりで参ります。
tochimochiさんもお客様のところにお伺いする機会が増えておられるとのこと。お気を使われて大変なことと存じますが、くれぐれもお体にはお気をつけ下さい。
若松孝二監督の死去。実に残念でなりません。
ただ、若松監督の映像作品はこれからも生き続けます。機会がございましたら是非ともご覧下さい。

by 伊閣蝶 (2012-10-21 17:40) 

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