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富士山頂で身動き取れず=金環食見たさのドイツ男性 [山登り]

小雨の降る肌寒い天気になりました。
今日の都心の最高気温は16度とのことで、いきなり春先の天候に戻ったみたいな感じです。
帰宅時には風まで出て、全身びしょぬれになってしまいました。
余りに寒くて震えながら帰宅したところです。

それでも、日比谷公園ではバラの花が咲き始めました。
bara0522.jpg
きちんと手入れされていることもあり、春と秋に華やかな花々を見ることができます。
嬉しいことですね。

昨日の金環日蝕、さすがに世紀の天体ショーだけあって、夜のニュースまでその話題でもちきりでした。
あれほど注意喚起をされていたのにもかかわらず、つい肉眼で見てしまった人が私の周囲にもたくさんいましたので、きっと相当の数に上っているのでしょうね(日食網膜症か、18都道府県の74人…重症も)。

なるべくいいロケーションでこの世紀の天体ショーを眺めてみたいというのは人情で、ベイリービーズが一番よく見えるといわれていた塩尻市では、天気が良かったこともあり、かなりの人が集まったようです。
私もこの模様をNHKのおはよう日本の中継で観て、なるほどと感激しました。
また、昨日写真で紹介しましたが、私の実家のある八ヶ岳山麓も大賑わいだったとのことです。

そんな中、かなり呆れる事件がおきました。

富士山頂で身動き取れず=金環食見たさのドイツ男性―静岡
 21日午前10時ごろ、金環日食を見るため富士山に登ったドイツ人男性(40)が山頂で動けなくなったと、男性の妻から静岡県警富士宮署に通報があった。命に別条ないが、寒さと疲れで下山が困難という。

その後、無事に救出されたとの続報があり、けがなどはしていないとのことでした。

この時期の富士山、殊に八合目から上はまだ冬山であるのにもかかわらず、彼は登山届を出さぬままアイゼンもピッケルも持たずに山頂まで登ってしまったようですね。
新聞記事によると、現地に向かった救助隊が、八合目以上は強風で前進できなかったとありますから、相当な悪条件下にあったことがうかがえます。
それでも彼はフォースト・ビバークの用意だけはしていたようですから、その点だけは幸いでした。
日本の最高地点における金環日蝕を見たい一心でしでかしたことなのでしょうが、十分な準備も心構えもなく、強風吹きすさぶ氷雪の高山に単独で登るとは、さすがに二の句が継げません。
久しぶりに「自殺行為」という言葉を思い出してしまいましたね。

静岡県警山岳遭難救助隊の皆さま、本当にご苦労様でした。

ところでこの新聞記事には「富士山は現在、冬季閉鎖中で5合目から上への登山は禁止されている」との記述がありますが、別に禁止などされてはいないはずです。
確かに富士宮口五合目には「残雪が多いため通行止めとなっています」という看板が立てられていますが、山開きの期間中(7月1日~8月31日)以外の期間は、一般登山道としては通行止めということであり、登山届を出して登る分には別に問題はないと認識しています。
もちろん五合目より上部での小屋は閉鎖されていますし、指導員や監視員などもいませんから、そのことを承知の上で「自己責任で登る」のは当然のことであり、登山行為にかかるリスクのすべてを自分で引き受けるだけの覚悟と技術は必須条件ですが。

こんな看板が立てられているのも、富士山には登山者のほか一般の人もたくさん訪れるので注意喚起の一環ということなのでしょう。
浅間山とか桜島のように火山活動による事故(有毒ガスの発生も含む)が予見されるとか希少植物のコロニー保護のためなどといった明確な理由が存在する場合は「登山禁止」もやむを得ない措置ではないかと思われますが、冬山登山における確かな知識と技術さえあれば特に問題もないと思われる富士山のような山に、このような紛らわしい記述があるのはちょっといただけないことではないかと、私などは思ってしまいます。
この二十年以上、山開きの期間中に富士山に登ることなど絶えてなくなった私としては、こういう報道が独り歩きされることを心底から憂慮してやみません。
あの山開きの期間中の富士山の喧騒と汚さ。私にはとても耐えられませんが、世界遺産への登録に血道をあげている現状から鑑みて、それでも少しは改善されているのでしょうか。
いずれにしても、この登山禁止が額面通りだとするのであれば、霊峰富士は一年間のうち10カ月を封印された山ということになってしまうわけで、これはいくらなんでも無茶な話だと個人的には思います。
かといって、一般の方に山開き期間外の富士登山を「奨励」しているわけではありませんから、その点はどうぞ誤解なさらないようにお願いいたします。
7月~8月のシーズン外の富士山はあくまでもバリエーション登山の世界だということをご認識のうえで登って下さいますように。為念。

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hirochiki

昨日は全身びしょぬれでご帰宅されたとのことですが、大丈夫でしたでしょうか。
これだけ気温の変化が激しいと、体調管理が大変です。
くれぐれもお気をつけ下さい。
ドイツ男性は、無事だったとのことで一安心ですが、
多くの方たちにご迷惑をかけてまで自分本位な行動をしてはいけませんよね。
富士山を訪れる方たちには、是非ともこの記事に書かれていることをよく理解した上で登っていただきたいですね。
by hirochiki (2012-05-23 18:08) 

夏炉冬扇

今日は。
16度ですか。+雨。
こちら雨がほしいのですが、天気予報はずっとありません。毎日水運び!
by 夏炉冬扇 (2012-05-23 18:34) 

tochimochi

ピッケルもアイゼンも持たずに登ってしまったのは驚きですね。下山のことを考えなかったのでしょうか。まさしく自殺行為ですね。救助隊の方々の苦労が思いやられます。
通行止めを登山禁止と取ってしまうのは分からないでもありませんが、やはり公共の新聞なのですから慎重を期してほしかったですね。でも一般登山者は分かっていると思います。

by tochimochi (2012-05-23 20:34) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
さすがにあの冷たい雨には参りましたが、濡れはしたものの大丈夫でした。ご心配頂きすみません。
気温の変化が激しい折ですので、体調管理にはくれぐれも気をつけたいものです。
ドイツ男性、日本一高い場所で金環食を見たいと思った気持ちはわからないでもないのですが、結果として多くの人に迷惑をかけることになったわけで、よくよく考えて欲しいものです。
山に登る人も、他山の石として欲しいところですね。

by 伊閣蝶 (2012-05-24 00:24) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
なんと、御地では雨が降らずに毎日水運びですか!
何とも不可解な天候ですね。
by 伊閣蝶 (2012-05-24 00:25) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
驚きますでしょう?私も目を疑いました。
こういった軽率な行動であっても救助活動に向かわねばならない救助隊の方々には、本当に頭が下がります。
通行止めのこと。
正直に言えば、この時期のこの山の状況に想いが至らない人たちが「禁止」ととってくれるのは歓迎したいくらいです。
ただ、やはり正確性は担保して欲しいなと思いました。
by 伊閣蝶 (2012-05-24 00:29) 

don

富士山には一度も登ったことがありません。
死ぬまで頂上に、一度は上ってみたいです。
by don (2012-05-26 14:22) 

のら人

昨年も、やはり外人の方が残雪期に騒動を起こしてますね、富士山は。
やはり、アイゼン等持たず登っていたと記憶しています。
流石に外人さんですと、「自殺」なのか「不備による過失死」なのか分かりませんが。 多分、後者なのでしょうが・・・。
by のら人 (2012-05-27 21:01) 

伊閣蝶

donさん、こんにちは。
富士山、確かに一度は登ってみるべき価値はあると思います。
ただし、シーズン中はかなり込み合いますから、山頂での御来光にこだわらず、平日の早朝から登って降りてくるのが一番良いかもしれません。
by 伊閣蝶 (2012-05-29 12:44) 

伊閣蝶

のら人さん、こんにちは。
一昨年の初冬に、ウィーンフィルのメンバーが富士山に登って亡くなった事故がありましたね。

http://okkoclassical.blog.so-net.ne.jp/2010-11-04

これも私としてはかなり無謀な行為だったと思っていますが、ヨーロッパアルプスに比べれば、標高は低く簡単な山だ、という甘い認識をもって登ってしまうのかもしれません。
どんなに標高が低い山でも、自分の身長よりも低い山はあり得ないのですから、私はどのような山に登る際もなめてかかることはしないようにしています。
事故を防ぐ手立ては、自分がそのように小さな存在だということを認識することなのではないかと、私は勝手に考えています。
by 伊閣蝶 (2012-05-29 12:54) 

Cecilia

素敵な薔薇のお写真ですね。
私の好みです。
金環日蝕を良い場所でより良い条件で見たいという気持ちはわからなくもないですが、やはり登山をする人はよく研究し、念には念を入れて準備する必要がありますよね。
「禁止」という言葉は非常にきついニュアンスがありますよね。
それなりの権威がないと使えない言葉だと思います。
でも実際にはいろいろな場所で「禁止」という言葉が使われています。
以前関わった子供会の資源回収で回収の車が止まる予定の場所に「駐車禁止」と貼り紙を貼ったことがあります。
誰もそのことが気にならないようでしたが、私は子供会に「禁止」させるほどの権限があるのかと気になって仕方がありませんでした。まあそれくらい強く言わないとだめだからだったのでしょうけれど、せいぜい「駐車しないでください」程度にすべきだと思いました。
まあどうでも良いことなのかもしれませんが。
by Cecilia (2012-06-28 14:46) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんばんは。
私もこのバラにはさすがに足を止めて見入ってしまいました。
名前を見はぐったのは残念無念です。
「禁止」という文言についてのCeciliaさんの感覚、私は強く賛同します。
法令などにより刑事罰が科せられる、などという場合は、そのくらい強い表現が必要なこともあろうと思いますが、便宜上、遠慮して欲しいというくらいのときにこうした強い口調の言葉を使うのはいかがなものかと思います。
子供会の資源回収で、回収車が止まるのに邪魔になるからということで「駐車禁止」とする必要があったのはやむを得ない措置だと思いますが、仮にそれ以上に緊急な事態があってそこに車を止めざるを得なかった場合、相反する利害をどのように調整するのか、ということになってしまいそうです。
そうせねばならない理由をちゃんと明示して、「ご協力下さい」という表示にしても良かったのかもしれない、とちょっと思ったりもしました。
ただ、状況が判らないので、こんなことを書くのは無責任のそしりを免れませんが。

by 伊閣蝶 (2012-06-29 00:38) 

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