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スタンダール没後170年 [日記]

朝のうちは曇り空でしたが、昼から雨に変わり、またまた冬に逆戻りの天気となりました。
いつになったら本格的な春がやってくるのかと疑心暗鬼に陥りますが、4・5月はどうやら平年よりも暖かくなるとの予報です。
気温が低いおかげで花粉があまり飛んでいないらしく、花粉症の私としては楽なのですが、もうそろそろ春らしくなってもらわないとこれからの行動にも影響してしまいますね。

Stendhal.jpgさて、昨日はゲーテ没後180年でありましたが、本日はスタンダール没後170年なのだそうです。
スタンダールは59歳で亡くなっていますので、時代的にはずれがありそうですが、ナポレオンという大きな存在がそれなりに影響していたという意味では同じうするところもあるのかもしれませんね。

スタンダールといえば「赤と黒」「パルムの僧院」などがやはりたちどころに思い浮かびますが、私は彼の「モーツァルト」にも心惹かれるものがあります。
とはいっても、物語として面白く書かれているとか小説家としての斬新な仕掛けがあるとかそういうことではなく、むしろその伝記を淡々と描いているというところに却って好もしいものを感じたのでした。
スタンダール自身はあまり音楽に造詣が深いわけでもなく(「楽譜は読めない」と自分でも告白しています)、それゆえに変な思い込みなどを排除して簡潔に、しかし、旺盛な好奇心をもって書かれてあるので、大変読みやすい本です。
この本はモーツァルトの死後24年目に書かれたとのことで、その時代にしては誠に素早い対応にも驚かされます。

スタンダールには「恋愛論」という本もあり、これもなかなか興味深いものです。
愛を「結晶作用」という文脈でとらえた視点が面白く、福永武彦が後に「愛の試み」の中でこれをさらに進化させていました。

ところで、スタンダールの代表作である「赤と黒」と「パルムの僧院」。
何れも映画化されていますが、その双方の主役を演じたジェラール・フィリップの名演が忘れられません。
時折、ビデオで観直したりするのですが、その都度、新たな感動を呼び覚まされます。
そのジェラール・フィリップ、なんと36歳の若さで忽然と逝ってしまいました。
1959年のことでした。

DVD「赤と黒(1954年、フランス)」


書籍「モーツァルト」

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コメント 12

niki

こんばんは!
昨日はあたたかいコメントをありがとうございました!

スタンダールといえば『赤と黒』は読みました。
まず思い浮かぶのは「生きた、愛した、書いた」の墓碑です( ´艸`)

没後何十年というキリのいい文化人が結構いるのですねぇ。
伊閣蝶さんの記事で毎回「おおっ」っと思っています^^

by niki (2012-03-24 00:47) 

hirochiki

昨日は、雨の中地震の避難訓練がありました。
こちらも、冷たい雨の一日になりました。
有名な「赤と黒」は、若かりし頃に読みました。
でも、「モーツァルト」は読んだことがありません。
大変読みやすいとのことですので、是非一度読んでみたいです。
それにしても、このところは週末になると雨降りで困っています・・・
明日は、何とか気持ちよく晴れてほしいものですね。


by hirochiki (2012-03-24 06:18) 

伊閣蝶

nikiさん、こんにちは。
こちらこそいつも温かなコメントをありがとうございます。
nikiさんも「赤と黒」を読まれましたか。
あのジュリアン・ソレルの生き方には、羨望とともに多少の反発を感じたことを思い出します。
スタンダールの墓碑、これは「さすが!」と思いますね。
生誕とか没後のキリのいい有名人、実は私もある業界紙を読んでいて、そこに書かれてあるので、毎日「おお!」と感慨に耽っているのです。
こうした折に、そうした方々のことに想いを馳せるのもまた有意義なことかな、と思っています。
by 伊閣蝶 (2012-03-24 16:39) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
昨日は雨の寒い中、地震の避難訓練が実施されたとのこと。
お辛かったでしょう。風邪など引かれませんでしたか
hirochikiさんも「赤と黒」をお読みになっておられるのですね。
「モーツァルト」は、結構入手しにくい本でした。
私が所持しているのは東京創元社が刊行したものですが、当然、絶版になっています。
それでも細々と刊行されていることを知り、ちょっと嬉しくなりました。
恐らく図書館などには収蔵していると思われますので、もしも機会がございましたら、お読み下さい。
今日も朝から雨の肌寒い日になりましたが、おかげさまで午後から晴れ間が見え始めました。
明日は何とか晴れて欲しいと思います。
by 伊閣蝶 (2012-03-24 16:45) 

don

ぼくも「赤と黒」しか読んだことがありません。
モーツアルトや恋愛論なんかもあったんですね。
恋愛論はいま、WIKIでみてみましたが、
なかなか面白そうですね。
by don (2012-03-24 18:16) 

夏炉冬扇

今晩は。
残念ながらどちらの映画も見てません。
私も楽譜は読めないのです…

by 夏炉冬扇 (2012-03-24 21:43) 

Cecilia

「赤と黒」は例の「ジャン・クリストフ」「若きウェルテルの悩み」と同じシリーズが本棚にありました。(笑)これも読めていません。自分たちが読みたくて買ったわけではなく叔父叔母の本だったのですが。叔父叔母の本でもっとも熟読したのは「ハイネ詩集」でしょうか。(読み易いから。笑)
中学時代は学校の図書室で借りてくる本は背伸びしたものが多く、「パルムの僧院」もそのひとつでした。これはほとんど読めなくて借りた記憶しかありません。
by Cecilia (2012-03-25 05:01) 

般若坊

おはようございます。 今日は 良い天気ですね! 遅れている 桜の開花も 追いつくかも・・・ ^^
by 般若坊 (2012-03-25 09:51) 

伊閣蝶

donさん、こんにちは。
donさんも『赤と黒』をお読みになっているのですね。
「恋愛論」は、記事にも書きましたように、私は福永武彦氏の「愛の試み」からその存在を知ってよんだわけで、当時は20代半ばでしたから、かなり深く印象に残りました。

by 伊閣蝶 (2012-03-25 11:19) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんにちは。
「赤と黒」はDVD化されていますし、「パルムの僧院」も確かレンタルDVDがあるはずです。
もしも機会がございましたらご覧下さい。
スタンダールのモーツァルトは彼の伝記としては出色のものと思います。楽譜が読めなくてもこれだけの本を書けるのですから、楽譜が読める読めないは、本質的な問題ではないのかも知れません。

by 伊閣蝶 (2012-03-25 11:19) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
叔父様叔母様から、こうした本を受け継がれたのですね。
確かに自分で読もうと思って買った場合とはちょっとモチベーションの点で異なるかもしれません。
私にとっては図書館から借りた本も「読もう」という想いが先にあったのではないかと思います。
ただ「パルムの僧院」は、中学生のときにはその名前すら知りませんでした。

by 伊閣蝶 (2012-03-25 11:20) 

伊閣蝶

般若坊さん、こんにちは。
今日はこちらも雲は多めながら、ときおり陽射しがあります。
でも相変わらずの寒さです。
桜の花はもう少し先になりそうです。

by 伊閣蝶 (2012-03-25 11:20) 

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