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芳野満彦さんと芦野宏さんが亡くなりました [山登り]

朝から雨降りです。
雨脚はかなり強く、コートを通して冷たさが身にしみました。
それでも昼には上がり、予報では暖かくなるとのことでしたが、体感的にはとてもそうは思えません。
確かに、夜の冷え込みは、これまでよりも緩かったように思えますが。
明日からはまた冷え込む予報です。
春の到来までにはまだ少し時間がかかりそうですね。

登山家の芳野満彦さんが亡くなりました。

享年80歳とのこと。
危険と隣り合わせの先鋭的なクライマーであったことを思えば、天寿を全うされたと言えるのでしょうが、やはり残念です。
芳野さんご自身も絵をお描きになり、詩や紀行文なども書いておられました(「山靴の音」などは有名ですね)が、一般にはもしかすると新田次郎氏の「栄光の岩壁」での主人公・竹井岳彦の名で知られているのではないでしょうか。

前穂高四峰正面壁の積雪期初登攀を始め、穂高や剣岳や北岳や谷川岳など、日本における第一級の岩壁の積雪期初登攀記録を数多く打ち立てた方で、何といってもマッターホルン北壁の日本人初登攀(1965年)を成し遂げた偉業が輝いています。
このときに、奥様に向けて打った電報の文面が大変有名ですね。

「ツェルマットより愛をこめて、我北壁に成功せり」

うーん、正に万感の想い、というところでしょうか。

残念なことに、この初登攀のパートナーであった渡辺恒明さんは、その一週間あと、高田光政氏とパートナーを組んでアイガー北壁に挑戦して滑落死してしまいます。
そのことも新田次郎氏は小説化しました(「アイガー北壁」)。


あのころのいわゆる第二次RCCのメンバーの方々は、創設者の奥山章さんを始め正に錚々たるメンバーでした。
奥山さんのように誠に残念な最期を迎えた方もおられますし、吉尾弘さんのように最後まで現役クライマーを貫き通して冬季の谷川岳一ノ倉沢滝沢リッジで滑落死された方もおられました。
幸いにして、山で逝かれなかった方々もこうして次々に鬼籍に入っていかれる年になったのだなと思うと、万感胸に迫るものがあります。

それから、シャンソン歌手の芦野宏さんもお亡くなりになったそうです。

芦野さんは享年87歳。
シャンソン歌手として「ラ・メール」「ミラボー橋」などを紹介し、これの大ヒットで一般の聴衆にもシャンソンが大いに浸透したわけですから、その功績は誠に大なるものがありますね。
「ビロードのよう」と形容されたその甘い声で歌われるシャンソンは本当に絶品でした。
また、コメットさんなどのテレビ出演でも知られています。
私も子供のころに、主にNHKの番組などを通じてその歌声に接してきましたが、穏やかで包み込むような笑顔とともに、大変よい印象が残っています。

1995年に、群馬県渋川市に日本シャンソン館を設立され、2010年からは日本シャンソン協会会長を務めるなど、日本におけるシャンソンの普及にもご尽力なさってこられました。

謹んで心よりご冥福をお祈り申し上げたいと存じます。
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hirochiki

芳野満彦さんは、登山家としては天寿をまっとうされたのかもしれませんが
ご家族としてはまだまだ長生きしていただきたかったのではないかとも思います。
芦野宏さんの笑顔はとても素敵ですね。
そのお人柄がお顔に出ていらっしゃるように思います。
その歌声もきっと温かいのでしょうね♪
心からご冥福をお祈りいたします。

ところで、今日からはまた気温が下がるようですので
くれぐれもお身体にご自愛下さいね。
by hirochiki (2012-02-08 06:23) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
仰る通り、喪主の奥様はやはり大変落胆されたのではないかと思われます。
あの電報の通り、熱烈な恋愛の末、ご結婚なされたようですから。
芦野さんは、反核や平和運動にもご熱心だったと聞きます。
様々な意味で誠実に活動されてきた方だったのだと思います。
歌声は本当に柔らかく包み込むような美しさでした。
まだまだ聴かせてほしかったなと、やはり残念でなりません。

今日は朝から冷たい風が吹きすさぶ極寒となりました。
名古屋の方も冷え込んでいるのではないかと存じます。
どうぞ、hirochikiさんもくれぐれもご自愛くださいますように。
by 伊閣蝶 (2012-02-08 12:08) 

kawasemi

nice&コメントありがとうございます。
私はなかなか早起きが出来ません。
8時とか9時起きです。
午前中が短くてもったいない日々です。
人はいつかは死ぬわけですがむなしいですね。
by kawasemi (2012-02-08 14:27) 

夏炉冬扇

今晩は。
芳野満彦さんの訃報は新聞で拝見しました。
寒波の冬は鬼門です。
by 夏炉冬扇 (2012-02-08 21:07) 

伊閣蝶

kawasemiさん、こんばんは。
この時期、朝起きるのは結構辛いものです。
私はやむを得ず6時くらいに起きていますが、休みともなれば9時くらいまで寝ていることもしばしばです。
寝られることは良いことだと開き直っています。
命には限りがあることは理なのですが、なかなか納得できないものです。本当に無常だなと思います。
by 伊閣蝶 (2012-02-08 23:36) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
本当に極寒の冬は鬼門だと思います。
気をつけたいものですね。
by 伊閣蝶 (2012-02-08 23:44) 

tochimochi

芳野満彦さんが亡くなられたのですか。
知りませんでした。
数々の初登攀記録を成し遂げ、登山家としては天寿を全うしたといえるのでしょうね。
長谷川恒夫さんや加藤保雄さん、植村直己さんと先鋭的な登山をされていた方が次々と遭難されていったときはほんとに悲しい思いでした。
吉尾弘さんも亡くなられていたとは恥ずかしながら知らずにいました。
何度かお会いしたこともあっただけに残念です。

by tochimochi (2012-02-08 23:52) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
山屋が山で最期を迎えるのは最高の幸せ、みたいな話をよく先輩から聞かされましたが、やはり芳野さんのように、きちんと実績を残された上で天寿を全うされるのも見事なことだと思います。
tochimochiさんも吉尾弘さんとご面識がおありだったのですね。
本当に謙虚で素晴らしい方でした。生涯を現役のクライマーで全うされたという意味で、これまた最高に見事な一生であったなとしみじみ思います。
しかし、やはり残念な想いは拭えません。
by 伊閣蝶 (2012-02-09 00:12) 

のら人

勉強不足で ・・・ なかなか偉人の方々のお名前も知りません。
すいません。 ^^;
でも、栄光の岩壁を読みたくなりました。
しかし、tochimochiさんは、本物ですね。
伊閣蝶さんも、ですが。 ^^
by のら人 (2012-02-09 21:04) 

伊閣蝶

のら人さん、こんばんは。
栄光の岩壁、小説としても大変おもしろい本ですので、よろしければ是非ともご一読ください。
尤も、芳野さんはこの小説が気に食わなかったようですが(^_^;)

tochimochiさん、仰るとおり、本物の登山家でいらっしゃいますね。
のら人さんも、山行記録やご発言から、やはり本物でいらっしゃると感じております。
いつも感動しながら拝読しております。
by 伊閣蝶 (2012-02-10 00:09) 

don

娘さんよくきけよ 山男にゃ惚れるな~♪
という歌がありましたね^^
天寿をまっとうした、幸運な山男だったのでしょう。
by don (2012-02-11 15:02) 

伊閣蝶

donさん、こんにちは。
山で吹かれりゃよー、若後家さんだよ〜♪
実際そうした不幸な事故も多くありました。
私の友人は奥さんが沢の滝で滑落死してしまい、言葉をかけるのを躊躇ったことを思い出します。
芳野さんは仰る通り、その意味では天寿を全うされた稀な方だったのかもしれません。
by 伊閣蝶 (2012-02-11 16:09) 

Cecilia

お恥ずかしながらこのお二人を存じ上げていませんでした。
芦野さんは「コメットさん」に出演されていたのですか。音楽家の役でしょうか。
私が見た「コメットさん」は初代ではなく、大場久美子主演でした。音楽家(声楽家)を五十嵐喜芳さんが演じていました。

私にとって亡くなられた冒険家で記憶にあるのは植村直己さんです。
学研の「学習」などで彼の冒険記を読んだりして親しみがあったというのが理由です。
命の危険があるような登山や冒険には縁がない私ですが、登山家や冒険家の中には皆から惜しまれて亡くなる人もいれば、皆に心配をかけて「あの人は今」の状況の方もいますよね。
by Cecilia (2012-02-13 09:26) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
芦野さんは、九重由美子がコメットさんを演じていた時の、コメットさんが住むお家のお父さん役でした。
私は逆に大場久美子のコメットさんは観ていないので、五十嵐喜芳さんが演じていた役どころがわかりません。

植村直己さんは、本当に残念でした。
本当にやりたいことの資金集めや基盤作りのために、スポンサーからの要請にこたえる形で無理を重ねられたような気がしてなりません。
彼の「青春を山に生きて」は、間違いなく最高に面白い名著です。何よりもその温かなお人柄が大変よくわかり、ああ、だから無理をしてしまうんだなと思わされたものでした。
失敗に終わったエベレスト南西壁国際隊遠征の際も、人の嫌がる仕事を黙々とやり、遭難死したインド人登山家の遺族のもとを香料を持参しわざわざ訪れて弔意を伝えた(お線香を上げさせてもらったそうです)という話もあって、世界中でその素晴らしい人柄が称賛されました。
彼の遭難に当たって、あれだけの人々が捜索に協力しようと申し出てくれたのは、そうしたことがあってのことでしょうね。
でも、やはり山で死んではいけないと私は思います。当の本人だって、本物の山屋であれば山で死ぬことは恥だと思うことでしょう。
その意味では芳野さんはその人生を全うしたともいえるのかもしれません。

by 伊閣蝶 (2012-02-13 12:13) 

Cecilia

コメットさんの住む家のお父さん役ということで五十嵐さんは芦野さんと同じ役ということになりますね。
五十嵐さんは声楽家の役でしたが、芦野さんも声楽家だったのでしょうか。
by Cecilia (2012-02-13 13:09) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、再度のコメントありがとうございます。
そうでしたか、やはり同じ役どころだったのですね。
お父さん役の芦野さんの職業が何であったのか、完全に忘却の彼方です。
でも、確か、芦野さんも劇中で歌を歌っていたような記憶がありますが。
ところで「九重佑三子」さんの名前を間違っていました。
訂正してお詫びします。

by 伊閣蝶 (2012-02-13 18:30) 

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