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和音との出会い(小学生の頃の思い出) [音楽]

連日暑い日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
昼間の暑さは耐えがたいものがありますけれども、今夜十三夜を迎えるお月さまの姿は実に美しく、会社からの帰り道での無聊を慰めてくれますね。

ここのところ、山などに行ったりはしていましたが、公私ともに落ち着かない日々を過ごしておりました。
私的な関係では、先日の日曜日に一応の区切りがついたので精神的にはずいぶん楽になりましたが、公的な部分はまだバタバタとしており、落ち着くまでにはまだ一定の時間がかかりそうです。

それでも、私事が一応片付いたこともあり、今週に入って少しずつ運動をし始めるなど、徐々に生活パターンを従前のものに戻しつつあります。
昨日、夕食前に体重などを計測したところ、体重は69.8kg体脂肪率は14.6%となっていました。
一日のうちで一番良い値が出るタイミングのものですから、もちろん額面通りに受け止めるつもりはありませんが、取り敢えずやっと70kgを切れたことは素直に嬉しく思いました。

onpu.jpgそんな気持ちの余裕ができてきたこともあり、昨晩、入浴をしながらつらつらと子供の頃のことを音楽とのかかわりを中心に思い返してみたところです。

以前にも何度か書きましたが、私はピアノ・レッスンなどのいわゆる専門的な音楽教育を受けたことは全くなく、幼少の頃の音楽とのかかわりは、専ら父が所有していたレコードを聴くことに限られていたわけで、音符というものの存在を知ったのは、小学校の音楽の授業においてでありました。それを楽譜に落として行く段階で様々な約束事があることもその段階で教えられたわけです。
調性記号のついていないハ長調が授業の主体ではありましたが、♭や♯という調性記号を付けることによってへ長調やト長調という音階ができることを教えて頂き、実に不思議で深い世界を感じたものです。

恐らくその頃と軌を一にしていたものと思われますが、いわゆる主要三和音も授業の中に出てきて、それまでレコードなどを通して漠然と感じていた和声の不思議さに瞠目しもしました。
ハ長調における主要三和音は、皆さまよくご存じの通り、以下の三つの長三和音です。
  1. I度  (C)(E)(G)Tonic
  2. IV度  (C)ファ(F)(A)Subdominant
  3. V度  (H)(D)(G)Dominanto

この和音を、学校にあった古いオルガンで確かめながら弾いているうちに、あることに気付きました。
ハ長調のI度の和音を弾いて、そのまま一音ずつ白鍵を同じようにずらしていくと、IV度の和音はファラドになりV度の和音はソシレになります。
つまり、これは各々、へ長調のI度とト長調のI度の和音となるのですね。
属調の概念も和声転回も、もちろん全く知らなかった野生のガキにとって、これは結構大きな驚きでありました。
さらにいえばドミソも、ミソドとすればへ長調のV度になり、ソドミとすればト長調のIV度になるわけです。

ドミソの和音だけでは、調性がハ長調なのかへ長調なのかト長調なのか判断がつかない、それは主要三和音があって、最後にI度の和音で締めくくられるからこそ、調性が確定するのだな、ということがわかり、初めてこれらの和音のことを「主要三和音」と称する意味が理解できたような気がしたのでした。

こんなことは、ピアノやソルフェージュを習っている人なら当たり前に理解している基本中の基本なのでしょうが、何しろ私が子供の時分は、私はもちろんのこと、私の周辺にもピアノなどを習っているようなハイソなご家庭のお子様はおられなかったので、私はこの「大発見(大袈裟ですね)」を、大得意で友達たちに吹聴したのであります(イヤなガキですね)。
尤も、最初は「ふーん」などと聞いてくれていた友達たちも、「おい、バッタ取りに行こうぜ」とか「魚取りに行こうぜ」という、もっと直截的な興味を引く方向に話題が転ぜられた瞬間、すぐさまそちらに関心が向いてしまうわけですが(もちろん私も同様です)。

自分で興味を持って確かめたこの経験はやはり自分の心の中でかなり大きな比重を占めることとなり、中学校に進学した折に所属するクラブでも、当初、親の勧めもあってバレーボール部に入るつもりが(そのように教師には届けておきながら)、最後の最後で吹奏楽部に変更してしまったことにおける大きな要因になったような気がします。
あのとき、当初の予定通りバレーボール部を選んでいたら、また違った展開もあったのかもしれないと思うと、それを想像するのもまた楽しいものですが。

高校を卒業し、就職のため上京してから、私は自分の給料の中から和声学や対位法の本を買って独自に勉強を始めましたが、特に和声学の本は、平行5度や平行8度は禁じられているとか、転調は属調を基本にする、といったような事柄がしかつめらしく書いてあって、あの、小学生の時に感じた和音のめくるめく展開する愉悦のようなものを感じられる教材ではありませんでした。
正しくこれは学問と呼ぶにふさわしいもの、音楽の楽しみとはちょっと次元の違うところにあるのかもしれないなとため息をついたことを思い出します。

などと、ちょっと気持ちに余裕が出てきた証のように、風呂につかりながら遠い過去に想いを馳せ、一人で含み笑いなどをしていた、それはそれなりにちょっと幸せな時間を過ごせたところです。
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hirochiki

お仕事は相変わらずお忙しいようですが、プライベートがひと区切りついたとのことで少しほっとされたようですね。
体重についても、とても喜ばしいことだと思います(*^_^*)
胃閣蝶さんは、てっきりお子様の頃から音楽に慣れ親しんだ環境で成長されたとばかり思っておりました。
でも、この記事に書かれているようなことを発見した時の喜びは、私もよくわかります!
いつもうちの記事に寄せて下さるコメントを読ませていただいても、よく記事を読んで下さっていることが伝わってきます。
また、それだけではなく胃閣蝶さんの温かいお気持ちも感じます。
それはきっと、幼い頃からご自分の周りのことに深く興味を持たれ、温かいご家庭でご成長されたからではないかと感じております。
by hirochiki (2011-07-13 16:16) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
今日は十三夜のお月様がとりわけきれいです。
ご心配をおかけしすみませんでした。おかげさまで徐々にではありますが、片付きつつあります。
因みに体重は、今日は70kgジャストでした(^_^;

私は確かに子供のころから音楽が身近にある環境に育ちました。
ただ、それはレコードから聴こえてくるという、ある意味では他律的な存在であり、自らその表現の主体となることなど考えもしませんでした。
そんな暇があったら畑仕事を手伝え!といったような環境でしたし(^_^;
でも、今振り返ってみれば、それでよかったのだろうと思っています。与えられるのではなく、自分から興味を持って近づき、経済的にも精神的にも余裕が出来てから本腰を入れて、その世界に入り込んだのですから。

それから、「20-minutes break:ちょっと休憩」へのコメントについては、hirochikiさんの記事があまりに秀逸で、ついつい拙いコメントをさせていただきたくなってしまうというのが本当のところです。
むしろ、hirochikiさんの記事がそうした魅力に溢れていることの証左ではないかと思います。
にもかかわらず、とても温かで嬉しいご評価を頂き、感動して舞い上がってしまいました。
温かなご家庭でご成長というくだりは、きっとhirochikiさんにこそ当てはまることではないでしょうか。

ところで、ダ・ヴィンチのイエス像の絵。
どのような絵なのか興味があって検索をかけたところ、ヒットしましたので、早速、私のメインサイトで取り上げさせていただきました。
http://homepage3.nifty.com/yabuyama/
予想以上にすごい力に溢れた絵ですね。ありがとうございました。
by 伊閣蝶 (2011-07-13 23:37) 

hirochiki

おはようございます。
いつも、心のこもったコメントのレスありがとうございます。
メインサイトは、以前にも拝見させていただいたことがあります。
お気に入りに追加させていただきましたので、また、ゆっくり拝見させていただきたいと思っております(^^♪
by hirochiki (2011-07-14 05:40) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
こちらこそ、お心のこもった温かな再コメントをありがとうございました。
メインサイトの件、お気に入りにも追加して頂けたとのことで、お心づかいに重ねて心より感謝いたします。
ありがとうございます。

by 伊閣蝶 (2011-07-14 09:40) 

節約王

こんばんは。いつも楽しく拝見しています。日々の努力の成果出ていますね。私など体脂肪20%切った事がなく、その数値がいかに努力が必要なものかよく分かります。
さて、少年時代の大発見、読ませていただきました。私は音楽が大の苦手でして、音符が読めたり、楽器を演奏できる人をいつもすごいなあと思って見ていました。音楽の成績はいつも五段階評価で1か2でしたので。
音楽に対する研究熱心なお姿、読んでいて 伊閣蝶様が心から音楽を愛されている事改めて伝わってまいります。
by 節約王 (2011-07-14 22:44) 

Cecilia

学校以外の場で音楽教育を受けていらっしゃらないのにご自分で発見されたとは素晴らしいです!
私の場合は小1からピアノを習ってはいましたが和音に関してはダメでした。音楽のテストで主要三和音や調性に関する問題が出てきましたがまぐれでないと当たらないという情けなさ。音楽を習ってなくても正解できる人もいたように思いますが丸暗記だったのかなと思います。とにかくピアノを弾くことで得られる喜びとそれらの知識はまったくかけ離れたものでした。最近になってやっと自分の活動と結びついてきたように思います。
by Cecilia (2011-07-15 08:18) 

伊閣蝶

節約王さん、こんにちは。
おほめにあずかり恐縮です。
私も、ダイエットに取り組むまでは、体脂肪率が28%などという水準にありました。
上司に「30%」なんていう人もいたので、それよりはましだろうと高を括っていたらもろもろの悪影響が出てきたもので、そのあたりはこのブログでも「ダイエット」の項目で取り上げています。
今のところ、尤も体脂肪率の高い朝でも17%になっていますから、それなりに成果は上がってきているようですね。
さて、音楽のことですが、もちろん私も子供時代は野山を駆け巡ったり三角ベースの野球をやったりする方に血道を上げていたので、音楽のプライオリティはかなり低い位置にあったものです。
でも、やっぱり好きではありましたね。ピアノやバイオリンのような専門的レッスンを必要とする楽器は習う機会もなかったので当然演奏など及びもつきませんでしたが、縦笛や横笛は大好きで結構喜んで吹いていました。
おかげで、音楽の成績はそれなりに良く、小・中・高を通じて絶好の点取り科目になっていたものです。
和音の響きを試していたのも、やっぱり好きだから一生懸命やったということでしょう。
努力というのは嫌なことを頑張ってやることをいうのであり、好きなことに熱中して頑張るのは努力とは呼ばない、という話を聞いたことがありますが、正鵠を射ていると思います。

by 伊閣蝶 (2011-07-15 12:14) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
小1からピアノを習っておられたということで、やっぱり羨ましいなと思ってしまいました。
主要三和音や調性のことは、恐らく授業で教えて何とかなるようなものではないのでしょう。ただ、約束事が多いので、確かに丸暗記で対応できる部分もありそうです。属調とか減三とか増三とか、そういうものだと覚えるしかないものもかなりありますから。
しかし、音の響き、それもハーモニーというものは、畢竟、心の中で感覚的にとらえるべきものではないかと思います。
事実、頭の中で理論的に作りだした和音と実際に実音(様々な楽器や声)で鳴らされた和音とでは、全く別物の響きになっていたりします。
Ceciliaさんの9thコードの記事、大変大きな感銘を受けました。そうした「遊び心で試す」という取り組みこそが自然な感動を生むのだろうなと改めて感じているところです。
私ももう少し余裕ができたら、思い切ってピアノのレッスンを受けてみようかな、と思っています。

by 伊閣蝶 (2011-07-15 12:15) 

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