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カタバミの花とフォーレのレクイエム [音楽]

今日はあまりすっきりとしない天気となりました。

西日本ではかなりの雨となっていて、明日にかけて全国的に荒れ模様の天気となるようです。
東日本大震災の被災地でも、また寒さがぶり返すらしく、気の抜けない状況が続きますね。

katabami.jpg昨日の午後、買い物に出かけたら、カタバミの花が咲いていました。

私の家の家紋は「丸に剣酢漿草」なので、この草にはなんとはなしの親近感があります。
その名の示す通りちょっと酸味はありますが、癖がないので茹でても炒めても割合美味しく食べられます。

干しシイタケや鰹節などを買おうと、業務スーパーに立ち寄ったところ、福島の地酒がかなり安い値段で販売されていました。
福島支援キャンペーンの一つなのでしょうが、名倉山の純米酒が一升瓶で1800円と、かなり破格です。
その中で、二本松で造られているお酒の純米酒が、なんと一升瓶で1180円という値がついていました。
今回の原発事故騒ぎは、こんなところにまで影響しているのだなと思ったらあまりに痛ましくなり、当初購入の予定はなかったのにも拘らず買ってしまいました。
こんな値が付いているということもあり、銘柄は敢えて書きませんが、その晩、早速頂くと、すっきりとした辛口でなかなかいけます。

首都圏に電力を供給する役目を引き受けたばっかりに、このような目に遭い、その上、当の首都圏からも忌避されている福島県の現状を想うと、歯がみがするほど悔しくなります。
今週末、家内の母の一周忌で会津に帰省しますが、私の大好きな会津の地酒「榮川」を始め、地元でたくさん特産品を買って帰ろうと思っています。

昨日、無性にフォーレのレクイエムを聴きたくなり、お気に入りの一枚である、コリン・デイヴィス指揮シュターツカペレ・ドレスデン演奏のCDをかけました。

1984年、ドレスデンのルカ教会での録音で、今は亡きルチア・ポップの艶やかで格調高い歌が堪能できます。
サイモン・エステスのバスは深みと迫力に満ちていますが、あまりにも迫力満点すぎて、ちょっとこのリベラ・メでは解き放たれそうにないかな、などと不埒にも感じてしまうのですが。

しかしなんといっても、デイヴィスの指揮するシュターツカペレ・ドレスデンの演奏のすばらしいことは筆舌に尽くせません。
全く何という美しさでしょう。
もともとフォーレのレクイエムの類まれな美しさは誰もが知るところでしょうし、シュターツカペレ・ドレスデンの美しい演奏も、これまた誰でもご承知のことと思われます。
それであってもなおかつそのような(陳腐な感想を)書くしかないほどの演奏ではないでしょうか。

コリン・デイヴィスに関する比較的多くの人の印象は、諧調のような折り目正しい演奏、穏健で中庸を行っている、などというところかな、と勝手に思っています。
事実、そういう評価が多かったのではないかと考えますし。

しかし、このフォーレのレクイエムやドボルザークの交響曲、シベリウスの交響曲、あるいはメンデルスゾーンの交響曲などの演奏を聴くと、決してそのような「優等生的な」評価を以て語られるような指揮者ではない、と思わざるを得ません。

このフォーレのレイクエムを聴いていても、時折、ハッとするようなデモーニッシュな響きに出会い、うっと息を飲まされるような気持ちにさせられます。
しかし、やがて天上のようなシュターツカペレ・ドレスデンの響きの中に解き放たれていく。その繰り返しの中で、得も言われぬ愉悦を味わうわけです。

私の友人であるソプラノ歌手は、フォーレのレクイエムではこの一枚が最高だと評価していました。
もちろん、ルチア・ポップの超絶的な演奏を第一に感じてのことでしょうが、この演奏全体を包み込む、ある種の人智を超えた神々しさのようなものに打たれての発言ではないかと、私は思っています。

以前、このブログの記事で触れたコルボのライブと、双璧をなす名演ではないかと、改めて強く感じているところです。
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しげさん

こんにちは。音楽に造詣が深くていらっしゃるのですね。
聴いてみたくなりました。
by しげさん (2011-04-18 15:02) 

伊閣蝶

しげさん様、こんばんは。
nice!とコメント、ありがとうございます。
音楽は長く聴いてきましたが、造詣が深いなどということはとてもいえません。
でも、もしも、この記事などでご興味をお持ちいただいて、お聴きいただくきっかけになるとするのであれば、誠に嬉しく存じます。
YMOやレッド・ツェッペリン、私も大好きです。特に「天国への階段(Stairway to Heaven)」は、いつ聴いても目頭が熱くなります。
by 伊閣蝶 (2011-04-18 18:32) 

hirochiki

カタバミが食べられるとは知りませんでした。
ちょっと名前が可哀想だなあと思ったりするのですが
控え目で可愛いお花ですよね。
日本酒は、phirochikiが毎晩飲んでいますのでよく買いますが
そんなところにまで影響が及んでいるのですね・・・
今週末は、お母様の一周忌でご実家へ帰られるとのこと
この記事を拝見していて、胃閣蝶さんのお母様に対する愛情を感じました。
きっと、お母様もお喜びになることと思います。
by hirochiki (2011-04-19 05:51) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
この時期に若葉を出す野草で食べられるものは意外に多いようです。一般にはヨモギが有名ですが、ハコベなども癖がなく美味しいし、山に登るときには、インスタントラーメンにギボウシやオオバコを入れて食べたりしたものです。
カタバミの花、小さな黄色のかわいらしい花で、私も大好きです。
福島の清酒のこと。私もこんなところにまで影響が及んでいるとは思いませんでした。
放射性物質、放射能、放射線といった語句が、混乱したまま用いられていることで、徒に不安をあおっている嫌いがあるのではないかと愚考します。

昨年亡くなった母のことで、温かなコメントをいただき、感動しています。
家内の実家の父母は、娘婿である私のことを大変気にかけていてくれたので、私は自分の生家に帰ったときよりもリラックスできていました。
私が車を運転して小旅行に出かけたことなどもあり、楽しい思い出ばかりが残っています。
その父も亡くなって8年が過ぎ、母も一周忌となって、やはり寂しさもひとしおですね。
私の方の父母はおかげさまで元気なので、なおのこと無念の思いがあります。
昨年、母が亡くなるひと月ちょっと前に、家内と三人で温泉旅行に出かけましたが、その時の母の笑顔が今でも眼交に浮かんできます。
by 伊閣蝶 (2011-04-19 12:09) 

Cecilia

榮川!懐かしいです。
奥の松などのCMの記憶はあったのですが、榮川はすっかり忘れていました!読み方は「えいせん」ですよね!
ルチア・ポップ、私の大好きなソプラノの一人です!
by Cecilia (2011-04-21 20:21) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
会津にはたくさんの酒蔵がありますが、私はやはり「榮川」がいちばんですね。よみかたは、仰る通り「えいせん」です。
10年くらい前までは、花泉が希少価値からもてはやされましたが、大量に醸造されるようになって、普通のお酒になってしまいましたし。
ルチア・ポップ、すばらしいソプラノでした。ヴィジュアルな面でも秀でていましたね。
彼女が54歳という若さで亡くなった時には、本当に無念でなりませんでした。
by 伊閣蝶 (2011-04-22 12:55) 

節約王

福島支援キャンペーンですか。私も協力したいのですがココでは売っていませんでした。しかし、名倉山の純米酒が一升瓶で1800円と、二本松で造られているお酒の純米酒が、なんと一升瓶で1180円という値には驚きました。赤地でしょうね。
今回の原発事故騒ぎは、こんなところにまで影響している事、改めて驚かされました。
すっきりとした辛口ですか?。美味しそうですね。

”首都圏に電力を供給する役目を引き受けたばっかりに、このような目に遭い、その上、当の首都圏からも忌避されている福島県の現状を想うと、歯がみがするほど悔しくなります。”私も全く同感です。
コリン・デイヴィス指揮シュターツカペレ・ドレスデン演奏のCD”レーベルの写真がとても印象的ですね。1984年、ドレスデンのルカ教会での録音という内容にも興味惹かれます。
by 節約王 (2011-04-23 11:48) 

伊閣蝶

節約王さん、こんばんは。
今、私は会津に帰省中ですが、榮川の純米酒を飲んですっかりいい気分です。
しかし、今回の震災関連、とりわけ原発関連の影響は、私の想像を絶するものでした。
ただ、地元の人たちは意外に冷静で、その点だけは嬉しく思ったところです。
フォーレのレクイエム、もしも機会がございましたら、是非ともご一聴のほどを。
by 伊閣蝶 (2011-04-23 23:28) 

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