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Furtwangler The Great Emi Recordings [音楽]

春が近づいてきたな、と思った矢先にまたまた冬に逆戻りしたような気候になりました。
全く、実に気の抜けない天気が続きますね。
それでも、日中の陽射しは着実に春の訪れを感じさせます。

cfpさんも以前ブログでご紹介されておられましたが、フルトヴェングラーの「ザ・グレート・EMIレコーディングス」全21枚組のCD、もちろん私も購入しました。


収録されているCDの内容は、以下の通りです(★はリマスター盤)。
  • CD1★ ベートーヴェン:交響曲第1番、第3番/ウィーン・フィル(1952年11月)
  • CD2★同第2番/ウィーン・フィル(1948年10月)、同第4番/ウィーン・フィル(1952年12月)
  • CD3★同第5番/ウィーン・フィル(1954年3月)、同第7番/ウィーン・フィル(1950年1月)
  • CD4★同第6番/ウィーン・フィル(1952年11月)、同第8番/ストックホルム・フィル(1948年11月)
  • CD5★同曲第9番/バイロイト祝祭合唱団、管弦楽団(1951年7月)
  • CD6 同:ピアノ協奏曲第5番(p)エトヴィン・フィッシャー、フィルハーモニア(1951年2月)、バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番(V)ユーディ・メニューイン、フィルハーモニア(1953年9月)
  • CD7 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲(V)ユーディ・メニューイン、ルツェルン祝祭管弦楽団(1947年8月28-29日)、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲(V)ユーディ・メニューイン、ベルリン・フィル(1952年5月)
  • CD8&9 ベートーヴェン:歌劇『フィデリオ』全曲 ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン・フィル(1953年10月)
  • CD10★ブラームス:ハンガリー舞曲第1番、第3番、第10番(1949年4月)、ハイドンの主題による変奏曲、交響曲第1番/ウィーン・フィル(1952年1月)
  • CD11★同交響曲第2番/ベルリン・フィル(1952年5月)、同第3番(1949年12月)
  • CD12★同第4番/ベルリン・フィル(1948年10月)、ベートーヴェン:『コリオラン』序曲/ウィーン・フィル(1947年11月)、『レオノーレ』序曲第2番/ベルリン・フィル(1954年4月)
  • CD13 ブラームス:ヴィオリン協奏曲(V)ユーディ・メニューイン、ルツェルン祝祭管弦楽団(1949年8月)、同:ヴァイオリン、チェロのための協奏曲(V)ヴィリー・ボスコフスキー、(C)エマヌエル・ブラベッツ、ウィーン・フィル(1952年1月27日)
  • CD14 モーツァルト:交響曲第40番/ウィーン・フィル(1948年12月、1949年2月)、チャイコフスキー:交響曲第6番/ベルリン・フィル(1938年10月)
  • CD15 R.シュトラウス:ドン・ファン、ティル・オイゲンシュピーゲルの愉快ないたずら/ウィーン・フィル(1954年3月)、死と変容/ウィーン・フィル(1950年1月)、フルトヴェングラー:交響的協奏曲ロ短調より第二楽章(アダージョ) (P)エトヴィン・フィッシャー、ベルリン・フィル(1939年4月)
  • CD16〜19 ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』全曲 コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団、フィルハーモニア(1952年6月)
  • CD20 ハイドン:交響曲第94番、ケルビーニ:『アナクレオン』序曲/ウィーン・フィル(1951年1月)、シューベルト:交響曲第8番/ウイーン・フィル(1950年1月)、リスト:前奏曲S.97/ウィーン・フィル(1954年3月)
  • CD21 「フルトヴェングラーの思い出」:アルド・チッコリーニ、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、ユーディ・メニューイン、ピーター・ゲルホーン、ベルトルト・ゴルトシュミット(指揮者)、ヒュー・ビーン、ジョン・ミーク、ヒュー・マクグァイア、ハロ ルド・ナッシュ、ジェルヴァーズ・ド・ペイエ(楽団員)、フルトヴェングラー未亡人エリーザベト、バーナード・デニス・ブラウン

聴けば聴くほどに、ため息が出るほど贅沢かつお買い得なセットであると感動してしまいます。

リマスター盤として生き返ったもののほか、ベートーベンの交響曲第7番のように新しく発掘された録音も含まれており、これが一枚200円あまりの価格とは、全く以て良い時代になったなと思わざるを得ません。
実を言えば、ここに含まれた演奏のかなりのものを私は以前から所持しておりましたが、それでもこれは購入して良かったと感じています。

改めて聴き返すと、フルトヴェングラーの指揮のスタイルが、その後どれほど多くの指揮者達に影響を与えてきたかが歴然とするような気がします。
ほとんど天才のなせるわざとしか言い様のない自在なテンポと強弱のコントロール。
また、そのフルトヴェングラーの想いをきちんと音にするオケの素晴らしさ。
フルトヴェングラーとオーケストラの間に、どれほど強い信頼関係が構築されていたことか、これらの演奏を聴くたびにそれが痛感されます。
あの帝王カラヤンですら、常にフルトヴェングラーの亡霊に悩まされたと聞きますから、それは推して知るべしというところでしょう。

フルトヴェングラーとは対照的な演奏スタイルで、もう一方の雄であったトスカニーニも、「あの人は偉大なるディレッタントだ」と述べたそうです。
ディレッタントという言葉はもちろん褒め言葉ではありませんし、トスカニーニからすればやはり我慢ならないやり方であったのではないかと思われますが、その結果としての演奏はやはり彼をしても「偉大」と評せざるを得なかった。
そこにフルトヴェングラーの底知れぬ魅力の一端が伺えるような気もします。

誰が何といおうと、フルトヴェングラーはフルトヴェングラー。
ほかの何者でもない偉大なる指揮者。
これほど「偉大」という言葉の似合う指揮者はもう現れることはないのではないでしょうか。

それから余談を一つ。
私がこのセットを購入しようと思ったきっかけの一つは、作曲家フルトヴェングラーの作品が含まれていたことです。
CD15に入っている「ピアノと管弦楽のための交響的協奏曲 ロ短調」がそれで、これは事実上のピアノ協奏曲というべきでしょう。
原曲は3楽章構成の1時間を超える壮大な曲ですが、その第2楽章のアダージョが収録されているのです。
願わくは全曲を、と思うところですが、この第2楽章だけでもなかなかの聴きものではあります。
指揮者としての名前が余りに巨大すぎるせいか、作曲家としてはほとんど評価されていない嫌いがありますが、ワグナーを尊敬していたフルトヴェングラーらしく、構えの大きな曲でした。
これを機会に是非とも全曲を聴きたいものと考えているところです。
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hirochiki

本当に、この寒暖の差は油断できませんね。
こちらでは、インフルエンザのB型が流行っているらしいです。
小学校では学級閉鎖も出ているようなので、引き続き気をつけたいと思います。
素敵なCDを購入されたようで、何よりです(^^♪
素晴らしい音楽を聞くと、心地よい眠りにつけますね。



by hirochiki (2011-03-10 05:41) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
本当に寒暖の差が激しくて、結構体に応えます(^_^;
そちらでは、小学校で学級閉鎖が起きるほどインフルエンザが流行っているとのこと。
どうぞ、くれぐれもお気を付け下さい。

> 素晴らしい音楽を聞くと、心地よい眠りにつけますね。

仰る通りです。気持が安らかになる、ということでしょうね。
ただ、曲や演奏によっては気持ちがかき乱されて高ぶり、却って眠れなくなることもありますが。
このCDに収められている、ワグナーのトリスタンとイゾルデなどはその典型的な例かもしれません(^_^;
by 伊閣蝶 (2011-03-10 12:12) 

cfp

録音再生技術の発展とともにフルトヴェングラーの
宝に磨きがかかってきます。

もしも現代に生きステレオ録音されていたならば、
と考えると、
なおさら至宝であると断言できます。
by cfp (2011-03-10 20:56) 

伊閣蝶

cfpさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
デジタルリマスターの技術革新は誠に恐るべきものがあります。
1930年代の演奏でもかなり生々しい音で表現されていて、本当に驚きました。

仰る通り、せめて60年代まで存命で、ステレオの音源が残っていればと、かなわぬ願いが頭をよぎります。
しかし、「至宝」であることに変わりはありません。
by 伊閣蝶 (2011-03-11 12:00) 

節約王

おはようございます。ご訪問が遅れてしまいましたこと、お詫びいたします。
記事拝見いたしました。

”あの帝王カラヤンですら、常にフルトヴェングラーの亡霊に悩まされたと聞きますから”の文章に私自身かなりの衝撃を受けました。これまでクラッシックに馴染みがなく、おかげさまで”ベルリンフィル”に出会うことが出来てカラヤン指揮の管弦楽を聞くようになり私はかなり心癒され、精神的ピンチも克服することが出来ました。しかしながらカラヤンを悩ませたフルトヴェングラーに大変な興味を抱きました。カラヤンファンとなった私にとっては心複雑ですが入門したての私にとってこれはいい出会いなのではないかと喜んでおります。又、レトロファンの私にとって”60年前の演奏”は大変興味深く、ぜひ一度聴いてみたいと心より思いました。
これからもぜひブログ記事をお続け頂き、ご指導いただければ幸いです。
by 節約王 (2011-03-12 10:46) 

伊閣蝶

節約王さん、こんにちは。
嬉しいコメントをありがとうございました。
カラヤンの正に磨き上げられたような素晴らしい演奏を聴くにつけ、その才能にはため息をつく想いですが、フルトヴェングラーはそのカラヤンですらも畏敬する指揮者でありました。
もう一人の大巨匠トスカニーニも、カラヤンにはかなりの影響を与えたそうですから、やはりこうした芸術はこのようにして伝承されていくのでしょうね。
私が引いた言葉は、岩城宏之さんがベルリンフィルのメンバーから直接聞いたものだそうですから、かなり信憑性が高いと思います。
もしも機会がございましたら、このセットは是非ともお聴き頂ければと思います。
このような値段でこのようなセットが今後も発売される可能性はあまり高くはないではないでしょうか。
お勧めする所以です。
by 伊閣蝶 (2011-03-12 13:03) 

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