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クラシックCDエッセンシャル・ガイド150 [音楽]

今日も寒い日となりました。

zintyoge0304.jpg陽射は暖かなのですが、風が強く冷たいので手袋をしていないと手が痺れそうになるくらいです。

そんなお天気でしたが、やっぱり陽射に誘われて、お昼休みは日比谷公園に出かけました。
水仙の花がきれいに咲いていて、いつものようにかわいいかわいいなどと言いながら携帯電話のカメラで写真を撮って歩いて行くと、どこからともなく沈丁花の香りが漂ってきます。
その香りのする方に足を向けると、沈丁花の花が咲き始めていました\(^o^)/
私はこの花の香りがことのほか好きなので、毎年、春ともなるとこの花の咲くのを心待ちにしていたのですが、今年もこうして出会えたことに大感動です(*^_^*)
この分だと、私の自宅近くの沈丁花も間もなく花を咲かせることでしょう。

楽しみなことです。

職場の同僚から「The Essential Guide To Classic CD 150(クラシックCDエッセンシャル・ガイド150)」という本を借りました。
「まず、どのCDから聴くか!音楽評論家23人が選ぶきわめつけの名演奏」と謳われたもので、ユニバーサル・ミュージック(Gakken Mook)から出版されたガイドブックです。
近頃のお手軽文庫本ではなくA4判の結構ぶ厚い装丁で、とにかく内容を充実させるためにはこれだけの分量は必要なのだという姿勢に潔さを感じました。

classic150.jpg内容は、ヴィヴァルディからブリテンまでの「主要」な作曲家による作品の中から150タイトルを選別し、その名演奏をベスト3まで選ぶというものです。
名だたる音楽評論家先生の選別によるものですから、選ばれた演奏自体は「うーん、なるほど」と思わせるものがほとんどを占めていますし、同感するものもかなりの数に上ります。

しかし、ベースとなっている150タイトルの選別については、ちょっと首をかしげざるを得ません。
日本で発売されているCDを扱う日本で出版された本なのに邦人作曲家の作品が一つも入っていないという根本的な落ち度がまず挙げられますが、パレストリーナ、モンテヴェルディ、スカルラッティ、シュッツといった、今日の音楽の礎を築いた人々は全く取り上げられず、12音技法を確立させ前衛音楽の端緒を開いたシェーンベルクも落ちています。
バッハでは、マタイ受難曲は取り上げられているものの、ヨハネ、ロ短調ミサ、音楽の捧げもの、フーガの技法のような主要作品は取り上げられず、何故かゴルトベルク変奏曲は入っています(しかも選ばれているのはグレン・グールドの演奏で、確かにすばらしい演奏だとは思いますが、これではとても「安眠」のための音楽ではありませんね)。
ヘンデルは「メサイア」と「水上の音楽」のみ。ハイドンではあの「天地創造」が入っていません。

それでもドイツ古典はまだいい方で、ベルリオーズなどは「幻想交響曲」一つだけ。あの大曲「レクイエム」は選に漏れています。
シューマンの交響曲は一曲も取り上げられていませんし、ワーグナーの指輪も全部落ちています。
ブルックナーで取り上げられたのは交響曲4番と7番、シベリウスでは交響曲2番とフィンランディアのみ。
これはいくらなんでも哀しすぎますよね。

それでもマーラーは比較的ましな方で、1番・2番・5番と大地の歌が取り上げられていました。

というわけで、いったいどうしてこれが「必聴」の曲なのか、どうにも理解できません。
評論家先生各位もよくぞこんな選択をしたものだと大変不満に思いましたが、よく読むと、この150タイトルは編集部が予め選定したもののようです。
それを評論家先生方にお示しし、それらの曲の名演奏を選んでもらった、ということなのでしょう。

編集部の意図が奈辺にあったのか定かではありませんが、一般的に有名な曲だけではなく必聴の曲、というコンセプトで選んだとするのであれば、名前の挙がっている作曲家にとってもかなり遺憾な選曲となっているような気がしてなりません(もちろん私の勝手な思い込みなのですが)。

この本をとっかかりにしてクラシック音楽を聴いてみたい、という向きもあろうかとは思いますが、そういう目的で用いて実際に当該CDを購入していくのだとすれば、ちょっとばかにならないほどのコストがかかってしまうのではないでしょうか。

などと、どうもこんなふうにとってしまうのは、所詮、私がすれっからしであるからに他ならないのかもしれませんね。
これまでにも相当数のレコードやCDを買いあさり、「あー、大失敗!」などと嘆いては中古レコード店などに二束三文で買い取ってもらったり、友人にあげたり、捨てたりしたことは、それこそ枚挙のいとまもありません。
そんな失敗をしないためにも、こうした本の存在価値はあるのでしょう。

しかし、やはり音楽は己の好みによって聴くもの。
正宗白鳥のいう「畢竟わが好むところに従ふ外はないのである」という言葉は真理であるものと思われます。
私としてはやはり、バッハのロ短調ミサ・ヨハネ受難曲、ワーグナーの指輪、ブルックナーの5・8・9番、シベリウスの4・5・6・7番、マーラーの6・9番のような宝物を欠いたリストアップを容易に受け入れるわけにはいかないようです。
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hirochiki

このところ寒い日が続いていましたが、
これからは三寒四温で少しずつ暖かくなっていくと良いですね。
今朝はまだ寒いのですが、日中は気温が上がるようでちょっとほっとしています^^
沈丁花の香りは、私も大好きです。
このCDは、聞いてみたい気もしますがかなり高価なようですね^^;
by hirochiki (2011-03-05 05:50) 

伊閣蝶

hirochikiさん、おはようございます。
こちらも良く晴れた寒い朝になっておりますが、日中は暖かくなるという予報です。
明日はさらに暖かく、明後日は雨で少し気温が下がるそうですから、仰る通り文字通りの三寒四温で暖かくなっていくのでしょう(*^o^*)
沈丁花の涼しげな甘い香り、つくづくいい匂いだなと思います。
ところでこの本ですが、重版はなく、今は古本での入手となるようです。amazonで500円くらいでした。
by 伊閣蝶 (2011-03-05 07:13) 

cfp

伊閣蝶さん、こんにちは。

私もこの本を持っていますが、
150曲を選ぶとすればかなり異論を感じます。

入門編として恐らくは絶対に外せない曲(公約数)は、
100曲程度でしょう。

伊閣蝶さん、ご指摘の抜け落ちている楽曲は同感です。

「古典派はまだましな方」も同感です。

ブルックナーについては、4と7が取り上げられていますが、
私なら8と9となります。
2作品では済みません。

マーラーも1、2、5、大地となっていますが、
私ならこれに6、8、9の3作品は追加となります。

まあ、全体を見渡せば、
初級編と言われれば、そうなのかな?
とも思いますが、
総じて古典派主流である選曲とは感じました。

by cfp (2011-03-05 11:35) 

伊閣蝶

cfpさん、こんにちは。
この本、cfpさんもお持ちでしたか。
2002年発刊とのことですから、もう10年くらい経つのですね。

150曲の選定に異論をお持ちとのことで、私も意を強くしたところです。
どうも私はこうした曲の選別を基本的に受け入れられないようです。
音現ブックスなどでもこうしたことがしばしば行われたり、吉田秀和さんが「世界の指揮者」のような本を書かれたりしますが、なるほどなあ、という程度の感想の域をでません。

それはさておき、ブルックナーとマーラーについても、全く同感です。
こうした選定を基礎として「名演奏」を選ばされた評論家諸氏に同情してしまいました。

ただ、読み物としては結構面白く、ふむふむなどと頷きながら読んでしまったのですが。
by 伊閣蝶 (2011-03-05 13:59) 

節約王

こんばんは。記事拝見しました。曲の選定というものは大変難しいものなのですね。何となく編集者達の苦悩が感じられるとても分かりやすい描写のブログ記事と思いました。選定基準がはっきりしていれば誤解を生まなかったのではないかとナマイキながら正直思ってしまいました。
選定基準が明確であれば納得する方も多いと思いますが。
結構高額な本のようですね。確かに入門編としては敷居が高いのも少々きつい気がします。
私の入門書は 伊閣蝶様のブログでしたので運が良かったと思っています。
by 節約王 (2011-03-07 22:06) 

伊閣蝶

節約王さん、こんばんは。
いつもご丁寧なコメントをありがとうございます。
恐らく編集者は、最大公約数的な読者の好みを忖度し、このような選曲となったものと思われます。
いったん生み出された作品は、創造主の意図とは関係なく一人歩きするものですから、後年の聴衆がそうした意図で選定することはやむを得ないことでしょう。
私も、評論家諸氏の苦悩と同時に、この本を編んだ編集者の苦悩をも感じてしまいました。
何らかの選定基準、つまり物差しのようなものがあれば、気持ちの上では楽であったことでしょうね。
この本は、発売当時の定価が2000円だったようですが、今では古本で購入するしかないようです。
ただ、この本に従ってCDを揃えようと思うと、とてつもないコストが罹りそうだなと感じました。ちょっと負担が大きすぎますね。

ところで、節約王さんが入門書として私のブログをお取り上げ頂いたこと、望外の喜びですが、いつも私の好みに寄りかかった勝手なことばかり書いているので申し訳なく存じます。
でも、このような温かなお言葉を頂けましたので、これからも出来る限り誠実にいろいろなCDを取り上げていきたいなと思いました。
これからもよろしくお願い致します。
by 伊閣蝶 (2011-03-07 23:27) 

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