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ジョルジュ・ムスタキさんが亡くなりました [音楽]

今日は曇り空となっています。
午後になって雲が厚くなり、そのためか、少し気温も下がってきました。

吟遊詩人とも称されたジョルジュ・ムスタキさんが亡くなりました。
Georges+Moustaki.jpg

G・ムスタキ氏死去 仏シャンソン歌手 79歳

エディット・ピアフのために書いた「ミロール」や、自身の歌った「異国の人」などが、世界的なヒット作として有名ですが、私は、1974年に放映されたドラマ「バラ色の人生」の主題歌となった「私の孤独(Ma Solitude)」が最も印象に残っています。
これは私の世代によるものなのかもしれませんが。

http://www.youtube.com/watch?v=6eRKeAHYoAU

「私の孤独」[作詞・作曲ジョルジュ・ムスタキ (Georges Moustaki)]
 
私の孤独と一緒に しばしばよく眠ったものだから
私は私の孤独をほとんど友達みたいに
甘美な習慣みたいにしてしまった
彼女は影のように忠実に
私から一歩も離れようとしない
あちこち世界のすみずみまで
私につきまとった
 
いや私は決してひとりぼっちじゃない
私の孤独と一緒だから
 
彼女が私のベットにうずくまる時
場所をひとり占めしてしまう
そして 長い夜な夜なを
二人っきり向いあって過ごす
この共犯者はどこまで行くのか
ほんとうはわからない
こんな興味を持っていくべきか
それとも 逆らうべきか?
 
いや私は決してひとりぼっちじゃない
私の孤独と一緒だから
 
私の孤独からたくさんのことを学んだ
涙を流すことも
時々彼女と別れようとしても
彼女は決して武装を解こうとしない
そしてもし私が他の人と
恋をしたいと思うなら
彼女は私の最後の日に
最後の伴侶となるだろう
 
いや私は決してひとりぼっちじゃない
私の孤独と一緒だから

そのほか、「HIROSHIMA(ヒロシマ)」も強く印象に残る曲でした。

http://www.youtube.com/watch?v=6hY2N5rNjDM

「ヒロシマ」[作詞・作曲ジョルジュ・ムスタキ (Georges Moustaki)]
 
鳩とオリーブの木により、
囚人の苦しみにより、
なんら咎のない子供たちにより、
彼女はたぶん明日やって来るだろう。
 
日々の言葉とともに、
愛の表現とともに、
怖れ、そして飢えとともに、
彼女はたぶん明日やって来るだろう。
 
すでに死んだ者たちすべてによって、
まだ生きている者たちすべてによって、
つまりは生きたいと望むものたちによって、
彼女はたぶん明日やって来るだろう。
 
弱き者たちとともに、強き者たちとともに、
合意する者たちすべてとともに、
たとえそれがわずかの人々にすぎなかったとしても、
彼女はたぶん明日やって来るだろう。
 
踏みつけられた夢によって、
放棄された希望によって、
 
ヒロシマに、あるいはもっと遠いところに、
彼女はたぶん明日やって来るだろう、
 
平和は!

この歌は、今でも歌声喫茶などで歌い継がれていますね。合唱曲にも編曲されています。
日本語の歌詞がネットにありましたのでご紹介します。

ヒロシマ

こうして改めて歌詞を眺めてみると、実に哲学的・詩的ですが、その中に確固とした意志の力を感じます。
「孤独」を、むしろ前向きなものとしてとらえることは、人がその人生を生きていくうえで最も重要な覚悟ではないかと思います。
「孤独」を何かによって埋めようとするのではなく、むしろそれをきちんと認識し、それと真正面から向き合うこと。
そのことを彼の歌から教えられたようにも思います。
そう、寂しいことかもしれませんが、人はやはり最期には一人で逝かなくてはならないのですから。

享年79歳。
70歳を過ぎても現役で歌を歌い続けておられましたが、近年ではなかなか日本のレコードメジャーが取り上げることをしなかったようです。
記事によれば、2011年頃、治療不能の呼吸器系疾患があることを明かされたそうですが、それが原因となったのでしょうか。
残念です。

あの青く透き通った眼差し、そして精悍な顔つきを覆う豊かな髭と銀髪。
ご自身も旅がお好きだったそうですから、文字通りの「吟遊詩人」でした。
日本にも八回足を運び、広島はもとより、阪神・淡路大震災の被災者のためのチャリティコンサートも行ったとのこと。
平和運動や社会運動にも積極的にかかわり続け、いわゆるアンガージュマンとしての生き方を貫いたシンガーでもありました。
私などは、ついついピート・シーガーを彷彿させてしまいます。彼は94歳で、まだ現役で活動しておられますが。

「私の孤独」と「ヒロシマ」を聴きながら、何とも寂しい思いに駆られています。
心よりご冥福をお祈りいたします。

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コメント 8

tochimochi

若い頃、語りかけるような歌声に見せられました。
なさっていた活動を読み、もっと知っておけばよかったなと思いました。

by tochimochi (2013-06-07 07:03) 

Cecilia

ムスタキを知らない世代ですがおば(現在60代)の話で知りました。
名前だけは覚えていたのですが、以前ピアフの映画を観たあとピアフ関連でいろいろ聴いていたなかにムスタキの曲がありました。
以下関連記事です。
http://santa-cecilia.blog.so-net.ne.jp/2007-09-02
http://santa-cecilia.blog.so-net.ne.jp/2007-10-01
Amazonの紹介リンクの画像がことごとくリンク切れ(?)で悲しいことになっています。
ご紹介の歌詞を拝見し「孤独」も「平和」も「彼女」になるのだなあ、と感心してしまいました。
ピート・シーガーは "Where have all the flowers gone?”が好きです。
by Cecilia (2013-06-07 09:41) 

のら人

まさに吟遊詩人ですね。残念でなりません。
治療不能の呼吸器系疾患ですか・・・。癌か肺気腫でしょうか。

by のら人 (2013-06-07 12:47) 

hirochiki

ジョルジュ・ムスタキさんは、目がとても印象的な方ですね。
>いや私は決してひとりぼっちじゃない 私の孤独と一緒だから
私も、これから孤独を感じた時はこの言葉を思い出してみます。
日本でもチャリティーコンサートを開催され、本当に素晴らしい方だったのですね。
心からご冥福をお祈りいたします。
by hirochiki (2013-06-07 18:26) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
語りかけるような歌声、本当にその通りだと思います。
あの柔らかな美しい歌声の中に込められた想いにも強く打たれていました。

by 伊閣蝶 (2013-06-08 22:34) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんばんは。
ピアフ関連でご存知とのこと。記事の方も拝見させて頂きました。
ピアフはムスタキのことをとても大切にしていたそうです。
「solitude(孤独)」も「Paix(平和)」も、女性名詞ですから、やはり「彼女」なのかもしれませんね。それに、両方とも、特に「平和」はやはり私は女性を感じさせられます。
「花はどこへいった」、良い曲ですよね。PPMが歌ったバージョンも記憶に残っています。

by 伊閣蝶 (2013-06-08 22:34) 

伊閣蝶

のら人さん、こんばんは。
本当に残念です。
治療不能の呼吸器系疾患、どのような病いであったのか…。残念です。

by 伊閣蝶 (2013-06-08 22:35) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
本当に美しい眼差しをお持ちの方でした。
「孤独」というものをこのような形で表現されたことに、私も心を打たれます。
アンガージュマンとしての行動をずっと貫き通した意志の方でもあり、多くの人々の心に勇気を与えたシンガーでした。
残念でなりませんが、改めて心よりご冥福をお祈り申し上げます。

by 伊閣蝶 (2013-06-08 22:36) 

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