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西丹沢の滝など [山登り]

暑い日が続きます。
といいつつ、今日の昼間はそれほど暑さを感じませんでしたね。

下棚28日の土曜日、8月最後の土日ということで、神奈川県山北町の西丹沢方面に出かけてまいりました。

西丹沢自然教室から中川川西沢沿いの登山道を辿って畔が丸に登り、大滝峠から大滝沢沿いに下って大滝橋に出る、という周回ルートです。

8月最後の土曜日ですから、恐らく西丹沢自然教室前の駐車場はすぐに満杯になるだろうと思い、早めに家を出たのですが、意外なことに空いていて、駐車スペースには困りませんでした。

身支度を整えて登り始めます。
西沢に架かる堰堤を越え、小橋で沢を何度か渡りながら進むと左に「下棚」の道標が現れます。
下棚沢を少し登ると、落差40mといわれる下棚に到着。
これはこの流域でも一二を争う美しい滝です。
クライマーの登攀意欲を掻き立ててやまない滝ですが、かなり悪い滝で、特に上部はだいぶ岩が脆くなっているようです。
その左壁にかなり長い残置スリングがぶら下がっていますが、こういう危険なまねはしてほしくないなと思います。
この滝は、一部で人工登攀が必要となり、決して甘い気持ちで取り付いてはならないのに、こうした残置スリングを使って登ろうという人が出てくれば、思いがけない事故につながる恐れがありますから。
因みに「下棚」は「しもんたな」と読みます。

今回は滝の登攀目的ではないので、眺めて往路を引き返しました。

本棚暫く登山道をゆくと、またまた左側に今度は「本棚」の道標が現れます。

ちょっと悪い本棚沿いの道を登っていくと、左に落差70mの本棚が盛大な飛沫をふりまきながら豪快に水を落としています。
右側には、この流域で一番の落差(130m)を持つといわれる「涸棚」がありますが、真中から申し訳程度の水を落としているだけなので、本棚に比べるとかなり見劣りがします。

この本棚も、下棚と同じくクライマーの登攀意欲を掻き立てる滝ですが、状態は下棚よりもはるかに悪く、登攀には3ピッチを要し、50cmくらいの岩が動いてしまうほど脆い壁なので、技術と気合と運を味方につけなければ登れないといわれます。
登攀記録を見ると、足の揃ったパーティでも3時間くらいは見込む必要があり、私は残念ながら登ったことはありません。
下棚は、苦労はしますけれども技術と気合で登ることは可能ですが、本棚の場合は「運」という不確定要素まで必要となりますから。
もともと脆い岩だったのに、たくさんの人が登ることによって、それまでガバ・ホールドだったところが次々に剥落してツルツルになった、ということも登攀を難しくしている要素の一つでありましょう。
ザイルを引くだけで落石が起こるという報告もありました。

この滝を見上げていると、先程も触れましたが、滝の飛沫を盛大に浴びます。天然のミストですね。大変爽やかな気分になれます。
私は、「マイナスイオン」などといった怪しげな風評効果など、全く眼中にありませんが、こうした滝の飛沫を浴びるのが真夏の登山における大きな余禄であること自体は疑いのないところでしょう。

(註)本棚の画像は、前景の木々の青葉があまりにきれいだったのでそちらの方をメインに掲載しましたが、本棚の全景は、この画像をクリックして原寸大の画像表示画面に行っていただき、ひとつ前の画像のボタンをクリックしていただくと、ご覧になれます。
http://okkoclassical.blog.so-net.ne.jp/upload/detail/hondana01.jpg.html

本棚沢を左に分けた先から尾根を登り、稜線に出ると善六のタワに着きます。
「タワ」とはたわみ。つまり峠のことを指すようです。

暫く稜線のアップダウンを繰り返すと畔が丸の山頂に着きます。

今の時期は木の葉が生い茂っていて眺望は効きませんが、冬は南アルプスの峰々が眺められる絶好のビューポイントになります。

暫く稜線を歩くと避難小屋。
ここから、大滝沢沿いに箒沢に降りる道と、大群山や加入道山から菰釣山に伸びる稜線に続く道とに分かれます。
私は大滝峠方面に進みました。

ハナホウキタケブナの巨木が葉を生い茂らせている気持ちのいい稜線をしばらく行くと、傍らにホウキタケがありました。
どうやら、ハナホウキタケのようです。
ホウキタケは小さな白菜のような感じの白色のキノコで、上の方が細かく分かれ、先の方がピンク色をしています。
これはなかなかお目にかかることのできないキノコですが、実においしく、シメジにも似た味と香りがします。
この写真のハナホウキタケの方は微量の毒性があり、人によっては下痢や腹痛などの症状起こします。
尤もこれは個人差があるようで、私は何度か食べましたが、特に当たったような記憶はありません(^_^;
しかし、ホウキタケほど美味しいわけでもないので、一般にはあまりお勧めしませんが。

大滝峠上の分岐から、大滝沢沿いにどんどん下ると、一軒家避難小屋に着きます。左側に鬼石沢、少し進むと地獄棚沢となり、小規模な十字峡といった感じになります。
ここには、雨棚(あまだな)と地獄棚というすばらしく美しい滝がありますが、今日は残念ながら立ち寄りは割愛。

さらに下っていくと、大滝沢の大滝が見事な釜に豊富な水を落としているのが眺められます。
気持ちのいい疎林の中を歩いていると、林道に出、暫く歩けば県道76号にかかる大滝橋に出ました。

さて、ここから西丹沢自然教室の駐車場までの車道歩きが本日のハイライト(^_^;

大滝橋から箒杉までは15分、そこから西丹沢自然教室の駐車場まで35分というのが標準のコースタイムです。
何しろ車道歩きなので、もうそれだけでうんざりですね。

というわけで、ここは一番、これまでの余力を使って、バンバン飛ばします。
トータル50分のところをわき目も振らずに速歩で歩き、30分弱で到着。
ポットに入れておいた、冷たい麦茶を飲んで一息入れ、車でキャンプ場に向かったのでした。

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Cecilia

お疲れ様でした。
藪山澤好様のサイトでもいろいろな山に登られた記録を拝見させていただいています。
うちの夫も今はまったくですが結婚前には会社の登山部に所属し結構登ったようですね。

丹沢・・・と聞いて、手持ちの日本歌曲集が気になり見てみたらありました。
清水重道作詞・信時潔作曲の「丹沢の」(歌曲集”沙羅”より)でした。
歌ったこともないですが聴いたこともなく今ちょっと聴いてみましたがなかなか良い曲ですね。
西丹沢ということですが、この歌にあるように秦野や天城が見えますでしょうか。
by Cecilia (2010-08-31 08:47) 

Cecilia

すみません。
歌曲集と書きましたが合唱組曲なのでしょうか?
独唱用の曲も入った合唱組曲?
独唱曲も合唱で歌うようアレンジされているとか。

ごめんなさい。独り言みたいなコメントをしてしまいました。
合唱組曲なら伊閣蝶さんもご存知かもしれませんね。
by Cecilia (2010-08-31 09:34) 

かずっちゃ

滝、見ている分には気持ち良さそうですね。
でも、これを登ろうと思うなんて考えられない(笑)
伊閣蝶さん、相変わらずの健脚ですね。50分のところを30分で歩くなんて!
冷たい麦茶が美味しかったでしょうね~。

群馬の件、イジってもらえるだけでもイイかも。以前は完全に眼中に無かったでしょうから(笑)
by かずっちゃ (2010-08-31 11:49) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。nice!とコメント、ありがとうございました。
「藪山澤好の空間」の記事もご覧いただけているとのことで、感激です。

そうですか、ご主人も山に登られておられたのですか。
音楽もそうかもしれませんが、山登りの場合、家族などのパートナーが同じ志向を持ってくれないと一緒に行動することにはかなりの制限が課せられます。
私の家内も、簡単な低山ハイクくらいは付き合ってくれますが、ちょっとした山になるともう駄目ですね。
だから、独身や単身時のように休暇はすべて山登り、なんてことは無理です。
従ってそれを機に止めてしまう方は結構多いようですね。
私も頻度はかなり落ちていますし(^_^;

>丹沢・・・と聞いて、手持ちの日本歌曲集が気になり見てみたらありました。
>清水重道作詞・信時潔作曲の「丹沢の」(歌曲集”沙羅”より)でした。

この曲は、もともと独唱歌曲でしたが、合唱曲にも編曲されて結構歌われています。
私も遠い昔に歌った記憶がありますが、抒情的でいい曲ですよね。

「秦野」や「天城」は、東丹沢からの方が良く見えますね。
尤も秦野は、東丹沢の大山や塔ノ岳の山麓の平野ですから当然なのですが。
冬晴れの日などは、塔ノ岳や蛭が岳の山頂から、関東平野、相模湾、富士山、箱根、天城、南アルプス、秩父、奥多摩、房総半島まで眺望が広がります。

by 伊閣蝶 (2010-08-31 12:14) 

伊閣蝶

かずっちゃさん、こんにちは。
登山には沢登りというジャンルがありますが、この中で一番のハイライトは、やっぱり滝の登攀です!
ただ、もちろんリスクはかなりありますが。
私も滝の登攀中に滑落して、肋骨を折ったりしましたからね(^_^;
速歩は、もう意地でしたね。一息入れたら歩きたくなくなってしまいますし。

ところで群馬県のこと。
私は、谷川岳を始めとした上越国境の山を中心に、妙義・榛名・赤城などにも結構出かけていましたし、岩や沢にも取り付いてきましたから、非常に身近で大切な場所です。
その群馬県をこんなふうにいじるなんて!とさすがにあの記事を見つけた時は怒りましたね。
確か、栃木県もひどい書かれようをされたことがありましたが。
かずっちゃさんが、群馬観光大使として、それでも話題になったことを評価される姿をみて、なんだか感動で胸がじーんとしてしまいました。
by 伊閣蝶 (2010-08-31 12:15) 

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