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ブルックナーの弦楽五重奏曲ヘ長調 [音楽]

今日は朝から雨の肌寒い日になりました。
春はいったいどこに隠れてしまったのでしょうか?
こんな日は外に出るのも億劫になりますので、当然のことながら家で音楽を聴いています。

雨の日にはしっとりとした室内楽が良く合うのではないか、と私などは思ってしまいますので、今日もそんな選曲をしたのでした。

さて、何にしようかと少し迷い、ブルックナーの弦楽五重奏曲を聴くことにしました。

この曲は交響曲第5番完成のあとに着手され、交響曲第6番などとほぼ同じ頃に作曲されており、厳格な構成と複雑な対位法的展開などは、第5番の交響曲にも通ずるものがあると思われます。
しかし、一番惹かれるのは、何といっても第三楽章のアダージョですね。
全く何という美しさでしょう。
有名な第8交響曲のアダージョをも彷彿とさせる、正に天上の音楽というべき調べなのです。
第一楽章と第二楽章は、正統なドイツ的室内楽のセオリーを守っていて、ところどころブラームスをすら想起させます(そうはいっても第二楽章のスケルツォはブルックナーの音楽以外ではあり得ませんが)。
しかし第4楽章は、これはもうブルックナーの独壇場でしょう。複雑な構成を持ちながらも野方図で自由な音楽が展開され、その都度、おお!と思いつつ引っかかり聴き直してしまうのです。
それから、40分を超える演奏時間も室内楽としては異例のものというべきでしょう。

この曲を聴いていると、ブルックナーの音楽において、やはり金管楽器の存在は非常に大きいものなのだな、としみじみ感じてしまいます。あの分厚い響きを奏でる中声部や巨大な建造物を想起させる強烈なフォルティッシモやクレッシェンドは、やはりあの金管楽器群があってのものなのでしょう。
ブルックナーの交響曲をすごい曲だと認めている家内は、それでも、聴いている間に頭の中が音符でいっぱいになって苦しくなってしまうと常日頃申し述べているのですが、この弦楽五重奏曲を聴かせると、「え?これってブルックナーなの?」と不思議そうに訊き返します。
一般にはそれほど意外性のある曲なのかもしれませんね。
ブルックナー五重奏曲.jpg
ところで、残念なことにこの曲のCDはあまり発売されていません。
私が最初に購入したのは四半世紀以上前で、当然LPレコードでした。
演奏者は、アマデウス弦楽四重奏団であり、輸入版です。
その後、1990年頃にAlberni String Quartet演奏のCD(これも輸入版)を購入しています。

現在、入手可能なものとしてはウィーン弦楽五重奏団によるものくらいでしょうか。
これは1994年のデジタル録音ですし、何といってもブルックナーとの間に強い絆を有するウィーン・フィルのメンバーによる演奏ですから、充実した演奏を聴かせてくれることは間違いのないものと考えます。

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