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ラフマニノフ演奏による彼のピアノ協奏曲 [音楽]

ラフマニノフのピアノ協奏曲、特に第二番は映画音楽にも使われるほど有名で、超絶技巧的な三番などとともに、多くの腕自慢のピアニストが演奏に挑んできました。
そんなわけで、魅力的なCDは数多くありますが、私としては、ラフマニノフ本人がピアノ独奏を担ったこの録音を閑却するわけには参りません。

有名な二番はストコフスキー、三番はオーマンディの指揮で、オケはフィラデルフィア管弦楽団です。

さすがに本家本元の演奏だけあって、「なるほど、作曲者はこのような曲を頭に描いていたのだな」と感心すること頻り。
何よりも、その適格なテンポ感と正確無比な演奏には度肝を抜かれました。

それともう一つ。
二番は1929年、三番は1939年の録音なのですが、驚くほど録音の状況がいいことです。
さすがに三番の方はノイズが多いのですが、二番の方はとても80年も前の録音とは思えません。
もちろん、オケの演奏の素晴らしさも特筆ものです。

私は映画も好きで、例えば、木下惠介の「破れ太鼓」などは何度観ても観飽きないほど面白い映画だと思っています。

さて、この映画の中ではピアノや歌とかバレエなど音楽に関する描写が結構重要な役割を占めているのですが、例えばヒロインの友人が出演するバレエの発表会の伴奏などを聴くと、思わず顔が赤らむほどひどいものです。
この映画が公開されたのは1949年。
その頃の日本のオーケストラのレベルがおしなべてこんなにひどかったとはもちろん思いませんが、少なくとも映画の劇伴音楽のレベルはかなり低かったのでしょう。
坂妻の演技の素晴らしさもあって、映画としての完成度は相当高いのですが、この点は誠に残念でした

そんなこともあり、この、ラフマニノフのピアノ協奏曲を聴いて、殊にそのオーケストラの性能の良さに思わずため息が出る想いがするのです。

ところで、こうして改めて聴いてみると、ストコフスキーもオーマンディも、コンチェルトにおける伴奏の付けがものすごくうまいことに気づかされます。
ラフマニノフの冷徹でありながら時に奔放な演奏にきちんとオケを合わせて響かせていく。
これは並々ならぬ才能といわねばならないでしょう。
三番などは、本当によくここまで精緻に合わせられるものだと、オーマンディのその力量には感嘆せざるを得ません。

ストコフスキーやオーマンディのことを、その余りに広いレパートリーや録音の数の多さや先進性(新しもの好き?)などから、俗っぽいとか大衆に媚びているなどといって軽視する「訳知り顔」の批評家や選民意識の強い聴衆も結構いるらしいのですが、演奏曲の魅力を完全に引き出しより多くの人々に届けることのみに力を注いでいた彼らの行き方とその魅力を鑑みれば、何でもかんでも晦渋でペダンチックなもの(出し惜しみとか)が尊いとする偏狭な連中の戯言など無視するに限るようにも思われます。

と、これは完全な余談でした。失礼。

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cfp

マーラー、幻想、ブルックナー、ラフマニノフと
嗜好がまったく同じなのに驚きました。

特にラフマニノフは、
Pコンの2番、3番、パガニーニラプソディ、
交響曲2番、シンフォニックダンス、
晩檮と、毎日のように聴いています。

映画ではかなり使われていますが、
私の宝物がラフマニノフをモチーフとした、
映画「ある日どこかで」です。

ブログ登録させていただきました。


by cfp (2010-01-25 21:57) 

伊閣蝶

cfpさん、コメントありがとうございます。

音楽的な嗜好もさることながら、cfpさんがブログにお書きになっておられる記事の内容にも多大な共感を覚えております。
米軍普天間基地問題然り足利事件問題然り。
これからも折に触れて拝読させていただきたいと存じます。

しかし、ラフマニノフについて、それほどまでに愛情をお持ちでおられることには、心底感動致しました。

これからもよろしくお願い申し上げます。

私の方もcfpさんのブログを登録させていただきます。

by 伊閣蝶 (2010-01-25 22:56) 

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