SSブログ

春岳沢に行ってきました。 [山登り]

連休の関東地方は穏やかな晴天に恵まれ、連日、汗ばむほどの陽気です。
前の記事でも書きました通り私は暦通りの出勤ですので、長期の連続休暇は望むべくもなく、近隣の里山ウォークを楽しむくらいかなと考えていました。

しかし、それではあまりにもこの晴天がもったいなく、手ごろに出かけられる東丹沢の春岳沢を遡行しようと思い立ったわけです。
春岳沢を選んだ理由は、若い友人たちから「沢登り」などちょっとグレードの上がった山歩きをしたいというオファーがあり、それならあまり危険もなく、基本的にはザイルもいらない春岳沢がいいかなという下見ついでに、昨年購入して、街歩きなどでも使っているVソールスニーカーの登攀性能を確かめて見たかった、というところでした。

あまり早朝から焦って出かける必要もないので、8時前に自宅を出て、それでも秦野には9時過ぎに到着しました。便利ですね。
秦野から蓑毛行のバスに乗るのですが、驚いたことにヤビツ峠行きのバスの方が本数が多いようです。休日のこの時間だから、ということなのでしょうが、以前はヤビツ峠までのバスの本数が非常に少なかったので驚きました。何と臨時便も出ている模様です。
そんなわけで、ヤビツ峠行きのバスに乗り、蓑毛で下車しました。
他に下車した人はなく、こんなところでも「観光地」による客の集中化は進んでいるのでしょうね。

うららかな春の陽射しの中、春岳沢に沿って車道を登ります。
harutake201701.jpg

やがて春岳沢を渡り、標識に従って髭僧の滝に向かいます。
右岸の踏み跡は「通行止め」になっていました。
度重なる台風や水害で踏み跡も荒れているのかもしれません。

髭僧の滝です。
harutake201702.jpg

前回は直登しましたが、今回は右側のカンテを登ることにしました。
乾いていて快適に登れます。
ただ、上部は苔や灌木うるさく、最後の1ピッチは慎重に登った方がいいでしょう。
仮に初級者を連れてくる場合は、確保をした方がいいかもしれませんね。
おあつらえ向きに終了点にはちょっとした立木があり、ここでセルフビレイを取ることになります。

三条の滝です。
harutake201703.jpg
かなりぬめっていて、ハイパーVソールではフリクションが全く効きません。
仕方がないので水流を浴びながら、ぬめりの少ない水線沿いを登りました。

今回、大失敗したのは、いつもは必ず携行するブラシ(柄付きたわし)を忘れてしまったこと。
こいつがあれば、あらかじめホールドのぬめりを落とすことができるのですが、やむを得ずクライミンググローブを使ってこすり落とします。
ブラシよりも手間はかかるうえ、勝手も良くありません。

そんなわけで、ここから先は携帯電話などを濡らしてもいけないため(水線沿いを登ると盛大に全身が濡れますから)ザックにしまいましたので、写真はあまり撮れませんでした。

水流に洗われたナメ滝。
harutake201704.jpg
こういうところはばっちりフリクションが効き、快適です。

小滝が続きます。
harutake201706.jpg
どの滝もぬめっているので、水線沿いを登ります。

こういう滝が現れると嬉しくなりますね。
harutake201707.jpg

さて、沢が広がって、右側に堰堤を見、不定型な4つ俣になってくるあたりで、右の植林帯に逃げるトラバース道があったはず。
そう考えながら遡ってみましたが、いつしか水流も消え、周りは不安定なゴーロの斜面となりました。
以前遡行した折には、水源地の標識もトラバースの踏み跡もしっかり残っておりましたが、現在は跡形もなく流されているようです。
水流が消えてしまっている、ということはかなり上まで来ていることになり、木にしがみつきながら右側を遠望すると、ザレの向こうに崩れかかった仕事道の一部が見えました。
ちょっと不用意に動けば岩雪崩を起こしそうなザレを、木から木に移りながら慎重にトラバースし、やっとの思いで疎林に入り、仕事道まで恐る恐る下ります。
かなり荒れてはいますが、どうやらこれが前に確認した仕事道のようです。
確認のため沢の方に戻っていくと、昔の面影がありました。
harutake201708.jpg
以前にあったテラスのような水源台地は完全に流されているようですね。

仕事道から大山裏参道に出るトラバース道。
以前の通りシカ止めの冊も二か所ありましたが、荒れている箇所が広がっているようです。
harutake201709.jpg
この看板は記憶にありませんでした。
いずれにしても、普通の山歩きであれば、この道を採ることはお勧めできません。

ここまでは予想通り誰にも会いませんでしたが、裏参道に出ると、それなりに登山者もいます。
さすがに大型連休ですね。
ヘルメットを脱ぎ、靴下も履き替えて蓑毛までゆっくり下りました。

蓑毛発秦野駅北口行きのバスは、休日でもガラガラなことが多いのですが、それなりの乗客がいました。
山登りの恰好をしている人ばかりでしたから、やはり裏参道など、このあたりを歩く方も多くなってきているのでしょう。
爽やかな五月晴れの一日、新緑を眺めながらの山歩きは格別のものがありますから。

ところで、ハイパーVソールについて。
昨年の沼尾沼を皮切りに、街歩き(雨天を含む)やウォーキングなどでも使い、いろいろと試してきましたが、滝登りを主体とする沢歩きでどの程度の信頼性があるのか、改めて検証しようと考えていました。
春岳沢は、小規模ながらも様々な形状の滝が連続し、場所によっては乾いた岩の登攀や泥壁、灌木帯などの登下降も試せるのでうってつけと思ったのです。
ぬめった滝でのフリクションはかなり悪く、やはりフェルトソールよりも実感としては滑る感覚があります。
ただし、ぬめりが多少なりとも水流などによって流されていれば、(ぬめりが残っていても)かなりフリクションは効きます。
通常の濡れた岩や石などではほとんどすべることはありませんし、乾いた岩の登攀も快適です。草付でも安定したスタンスであれば大丈夫です。
泥壁でも問題なく使えると思います。
記事の中でも書きましたが、ブラシ(柄付きたわしなど)を持参し、スタンスのぬめりを落とせばハイパーVソールの性能は十分に発揮できることでしょう。
何よりも、家を出てから帰宅するまで、少なくとも靴を履き替える必要がないのがありがたいところです。
泥汚れなども、ブラシでこすればすぐに落ちますので、手入れも簡単。
何よりも安価であることがポイントですね。

さて、今回の沢登り。
以前の楽勝だった感覚から舐めてかかり、ツメでの思わぬ彷徨などを呼び込んでしまいました。
木を渡ったりした折に、左手の親指の爪を剥いでしまいました。
harutake201710.jpg
幸いにしてその時には出血を見ませんでしたのでよかったのですが、ツメの地形を見極めて安全地帯に逃げるための判断が遅れたりと、山の勘がだいぶ鈍ってきていることを実感しました。
滝を登っている間にだいぶ感覚は取り戻してきましたが、出だしのカンテで少々まごついたのも、つまりはクライミングが相当下手くそになっていることの証左です。
改めて真面目に山に向き合わなければという想いを強くしました。

因みに左手親指の怪我ですが、ガレ場のトラバースとか、木渡りなどの時にはドーパミンやアドレナリンが盛大に分泌されていたからなのでしょう、ほとんど痛みを感じませんでした。
家に帰りついてテープで固定すると急に痛みを感じ始め、茶碗を持つときにも不便を感ずるなど、何とも情けない仕儀となりました。
今朝、出勤するためにワイシャツを着たのですが、ボタンをはめるのも痛くて一苦労。
舌打ちをしながら、さて家を出ようとしたらワイシャツのお腹のあたりに小さな血痕が。あれれと親指を見たら出血していました。
またまた舌打ちをしつつ、今度は絆創膏に貼り換えた次第です。
出がけの慌ただしいときになんてことだという腹立ちもありましたが、まあ、溜まった血が出てくれるのであれば快復も早いことでしょう。
指の怪我はどの指であってもそれなりの支障が出ます。殊に親指は影響が大きいので注意が必要ですね。

nice!(27)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 27

コメント 8

いっぷく

ネットやガイド誌をたよりに観光客は動くので
紹介された場所だけに集中するのでしょう。
沢登り、私はしたことがないので知りませんでしたが
ぬめり対策にブラシが必需品なんですね。
初心者には滑って怖そうですが、滝など水辺の近くは
清々しい気持ちになりますね。
by いっぷく (2017-05-07 08:17) 

伊閣蝶

ガイドやネットで紹介された観光地を回るのは便利だと思いますが、私はあまりそういうことをしないので違和感を感じたのかもしれません。
沢登りのときのブラシは、実際にそうしたぬめりで苦労した人が必需品と考えていると思います。
沢の岩質によっては必要のないこともあります。
滝の飛沫を浴びるのは、気温の高い季節には誠に気持の良いものです。登攀の意欲もわいてきます。

by 伊閣蝶 (2017-05-07 12:43) 

夏炉冬扇

瀧が気持ちよさそうです。
充実の連休ですね。
by 夏炉冬扇 (2017-05-07 18:13) 

tochimochi

春岳沢は知りませんでしたが、面白そうな滝が続いてますね。
ナメ滝やスダレ滝は気持ちよさそうです。
この時期のシャワーはまだ冷たかったのではと思いますが、果敢に挑まれたご様子に拍手です。
ぬめり取りにはたわしですか、のら人さんも使ってるようですが効果ありそうですね。
でも親指の怪我は大変でしたね。
遡行中は痛みも感じなくて何よりでしたが、早期の治癒を願っております。

by tochimochi (2017-05-07 21:09) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
この時期のシャワークライミングはちょっと冷たいものもありますが、登り切った時の気持よさは格別です。

by 伊閣蝶 (2017-05-07 22:11) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
春岳沢は手頃な滝が連続する面白い沢です。
ただ、本文にも書きましたが、ぬめりがかなりきついので水線沿いにシャワーを浴びながら登る必要があり、さすがに冷たく感じました。
たわしはぬめり取りには最適だと思います。今回は忘れてしまい正に痛恨でした(^^;
親指の怪我、ご心配いただきありがとうございます。
幸いなことに現在たまっていた血が出切ったようでだいぶ楽になりました。
by 伊閣蝶 (2017-05-07 22:19) 

のら人

これはすばらしい沢ですね。
丹沢らしいと言えばらしい沢です。^^
タワシ忘れたのは痛いですね。自分もよく忘れますが。^^;
怪我のほうお大事に!沢はこれからがシーズンですから。
by のら人 (2017-05-08 14:02) 

伊閣蝶

のら人さん、こんばんは。
春岳沢は、東丹沢らしい明るく良い沢です。
アプローチの便利さも特筆ものです。
たわしを忘れたのは本当に痛かったなと反省しています。
指の怪我の方は、おかげさまでもうほとんど痛みも感じなくなりました。
血が抜けたのが良かったのだと思います。
by 伊閣蝶 (2017-05-09 22:12) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0