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久しぶりの山歩き [山登り]

秋雨全然に台風の影響などで、関東地方はこのところずっと雨続きです。
八月の下旬からずっとこんな感じで、その折のテレビのお天気コーナーでは、こうしたお天気は2003年以来、という趣旨のことを話していました。
ほほう、と思い、私のメインサイトの雑記でその頃の記事を読み返してみると、長梅雨に打ち続く台風の襲来、そして冷夏と長雨でうんざりしていた当時の記憶が蘇ってきました。
その雑記の記事によれば、それ以前は1993年に似たような気象状況だった模様で、10年周期くらいでこうしたお天気が襲来するということなのかもしれません。
そういえば宮澤賢治の「グスコーブドリの伝説」でも、ブドリたち一家を離散させた酷薄な低温・飢饉が再びやってくるのは17年後という設定になっていましたね。
野菜も高くなっていますし、お米の収穫にも影響が出るのでしょうか。心配な限りです。

さて、そんなお天気が続いていましたが、先週の土曜日は久しぶりの青空が望めました。

以前の職場での仕事関係の知人から、「一度、谷川岳に登ってみたい」とのオファーを受けていて、それなら夏休みが終わった直後の土曜日がいいかもしれない、休み明けだからそんなに混んでいないだろうし、ということで6月の終わりくらいから計画を立てておりました。
前の記事にも書きましたが、今年に入ってから全く山に登っていませんでしたので、リハビリを兼ねるのもちょうどいいかな、と思っていたのです。
幸い、連れ合いの具合もだいぶ安定してきましたので、実行に移しました。

その土曜日がおあつらえ向きの晴天。同道した知人ら共々「日ごろの行いの良さ」を言い募りつつ水上に向かいました。
朝の5時30分に彼らを拾い、東名→圏央道→関越と車を走らせたのですが、ほとんど渋滞もなく、8時30分には谷川岳ロープウェイ駐車場に到着。
そうなのです。何とも軟弱なことに、ロープウェイで天神平に出て天神尾根を往復するというプランなのでした。
知人たちは山登りの素人なので、さすがにのっけから西黒尾根などに連れて行くわけにもいかず、最も安全かつ楽勝なこのコースを選んだのです。
このコースから谷川岳に登るのは6年ぶりのこと。
谷川岳には何度も登っていますが、このルートを使ったのはその時が初めてでした。
余りの楽勝ぶりにちょっと驚いたのですが、とにかく人が多くて閉口したことを思い出します。
夏休みが明けた直後の週末を選んだのも、そのあたりならさすがに人出も少なかろうと踏んだからでした。

しかし、そんな思い込みは、駐車場に入った瞬間に打ち砕かれました。
ものすごい数の車が駐車されていたのです。
まいったなあ、と思いつつ身支度を整えてロープウェイの乗り口にいくと、そこは意外にも空いており、待ち時間もなしで乗ることができました。
それでも、天神平駅は登山者でごった返しており、先が思いやられます。
大勢の登山者の後にくっついて熊穴沢避難小屋を目指しました。
稜線に出ると、幕岩や俎倉方面が眺められます。
tanigawa01.jpg

登山道に設置されている木道や木の階段で、ちょっと足元の悪い個所に来ると、その都度渋滞が起こるほどの人出。
2009年に登った時は天神平から1時間30分足らずで肩の小屋に登りついたのですが、今日はどうやらそんなわけにはいきそうにありません。
熊穴沢避難小屋を過ぎて登りが急になると、ますます混んで渋滞が発生します。
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下から眺めてもうんざりするほどの登山者の数でした。
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ようやく肩の小屋につきましたが、小屋の周辺もものすごい人だかりで、昼食をとるのも一苦労。
さらに、トマの耳とオキの耳も大混雑!
山名表示板の前も、記念撮影をする人たちが順番待ちをしている有様です。

名にし負う悪天候の谷川連峰。昼過ぎからはガスが去来し、気温もぐっと低くなってきました。
それでも時折オジカ沢の頭方面の眺望が開けます。
tanigawa04.jpg

あまりの人出に気疲れしたのは知人たちも同様で、そそくさと頂上を後にします。
しかし、予想されたことではありますが、下りはさらにひどい状況になりました。

山を歩きなれていない人たちにとって、下りは登りよりも苦手なことが多いのですが、ちょっとした岩場の段差を下るのですら時間がかかってしまう。
足場の良くないところに長時間いること自体ハイリスクなことなのに、見ていると一歩が踏み出せない人がかなりいるのです。
後ろからプレッシャーをかけるのは危険なので、私たちも極力ゆっくり降りることにしました。

ようやくの想いで熊穴沢避難小屋に着くと、登ってくるときには気が付かなかったのですが、いわお新道方面の注意書きがありました。
tanigawa05.jpg
そういえば、水害で谷川温泉方面の道路が決壊したりした、という話を聞いていましたから、その影響もあるのかもしれません。

余計な気を遣いながら登った影響もあるのか、ようやく天神平に下りついた知人たちの疲労もかなりのものがありそうです。
それでも、谷川岳に登れて良かったと言ってくれたのには、私も安堵しました。

帰り道、せっかくなので、土合駅に立ち寄りました。
tanigawa06.jpg
私にとっては非常に懐かしい場所です。

名物(?)である462段の階段。81mの高低差を埋めています。
tanigawa07.jpg
上野発の上越線夜行列車に乗って、重荷を背負いながら、この階段を何度登ったことでしょう。
今でもその頃のアルバイトを思い出します。

さて、久しぶりの山歩きでしたが、このルートがこんなにひどい状況になっているとは思いもしませんでした。
私の見通しの甘さもありますけれども、連続する雨天の中にポカリと開いた土曜日の晴天ゆえに、多くの登山客が押し寄せた、という事情もあったのかもしれません。
中高年登山者は言うに及ばず、山ガールや山ボーイ、そして家族連れ(4~5歳くらいの子供を連れている)で、登山道はごったがえし。
登り優先や危険箇所での先入先出のような山の常識などは完全に打ち捨てられていました。
さらに、岩場における強引な追い越し、岩場の途中での団体による写真撮影など、目を疑うような光景が展開されます。
ペースの遅い団体が後ろから登ってくるパーティに先を譲るのは、これも常識だと思っていますが、ほとんど顧みられません。
遅い人たちが自らに日没時間切れなどのリスクに身をさらすのは勝手ですが、それにほかの登山者を巻き込むのは勘弁してほしいところ。
だからといって一般登山者でごった返す岩場での危険な追い抜きは、重大な事故を誘発する虞がありますから、許される行為ではないと思います。
中には、ダブルストックを振り回して岩場の追い抜きをする高齢登山者もいました。
この人が山慣れていて登るペースも速い、というのであればまだしも、ぜいぜいと息を切らしながら登っていて、岩場以外の上り坂では一気にペースが落ち、後続に抜かれいるのですから、いったい何を考えているのか。
勝手な想像ですが、自分のペースで動きたい、と思っているのでしょうね。もしかするとそういうわがままが許される職場だったり家庭で生活してきたのかもしれませんが。

なんだか、久しぶりの山歩きというのにぶつぶつと愚痴ばかり書いてしまいました。
私自身、いわゆる○○名山的な山には、ここのところとんとご無沙汰でしたので、まさかこんな状況になっているとは思いもしなかったのです。
肉離れの後遺症や左の五十肩、膝の痛みなどがある中で、どれだけ歩けるのか多少不安もありましたが、左ひざの嫌らしい痛みと五十肩には悩まされたものの、一番懸念していた肉離れの後遺症は大丈夫でした。
連れ合いの具合もだいぶ良くなってきていることもありますし、そろそろ「空いている」山に出向こうかなと、改めて思っているところです。

それから、こういうひどい状況ではありましたが、ゆっくり歩くというトレーニングを図らずもできたことは、ある意味では正解でした。
ボッカ訓練などをしていた頃の先輩のアドバイス。
「ボッカ訓練で一番大切なことは、ゆっくり歩く技術を身に着けることだ。重い荷物を担ぐ筋力の増加は二次的なもの。ゆっくり歩くということは、それだけバランスを意識するということで、そこを念頭に置くように」。
これを久しぶりに思い出し、いらいらする気持ちを抑えつつ、むしろ悪い足場で待たなければならないシチュエーションを生かしながらゆっくりバランスを意識して歩くことを考えてみたところです。
ほとんど人気のない山を、早いピッチで歩いておりましたから、その意味からすれば、(あくまでも反語的ではありますが)良い経験になったと考えています。

しかし、いわゆる百名山には、よほどのことがない限りもう出向くことはないと思います。
その意味でも、「良い勉強」になりました。

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夏炉冬扇

お元気なご様子にて何よりです。
by 夏炉冬扇 (2015-09-09 08:30) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんにちは。
何とか少しずつ動けるようになりました。
by 伊閣蝶 (2015-09-09 12:48) 

のら人

たいていロープウェイやケーブルカーが設置されている百名山は、特に状況が酷いですね。困ったものです。^^;
逆に、都会よりもマナーが酷い事もありますね。根っからの悪人は必ず存在し、悪人は都会では我慢してマナーを守る振り?をして、ストレスをタップリと溜め込み、それを山で発散する!的な。(笑)そんな山には行かない事が一番良い選択と思います。^^
by のら人 (2015-09-09 13:41) 

tochimochi

いいタイミングで登られましたね。
絶好の登山日和と行きたいところですが、仰るような混雑、マナーの悪さとなると後味の悪い山行になってしまいかねません。
人が多くなると山でのマナーを忘れてしまうのかもしれませんね。
それでも前向き思考でいい体験と捉えられるのはさすがです。
奥様の具合も良くなってきたとの事、何よりです。
今度は空いている山にお出かけください。


by tochimochi (2015-09-10 18:33) 

伊閣蝶

のら人さん、こんばんは。
仰ること、いちいち胸に落ちました。
山でストレスを発散するのは結構なことかもしれませんが、言うまでもなく山も、そこに人が集まれば社会の一つです。
人にされて嫌なことは自分もしない、そういう気持ちになって欲しいものですね。
いずれにしても、もうこういう山には出かけまいと、心に誓いました。
by 伊閣蝶 (2015-09-10 20:21) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
貴重な晴れ間に登れたので、その点では正解でした。
しかし、仰る通り後味の悪い山行になってしまい、せっかく案内した知人たちには申し訳ないことをしたなと感じています。
いずれにしても、もうこういうルートを登ることはないでしょう。

家内のこと、ご心配頂きありがとうございます。
抗がん剤治療が終わって、日ごとに体力も回復してきているようです。
ありがたいことです。
by 伊閣蝶 (2015-09-10 20:26) 

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