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ワルター、ブラームス交響曲全集、ドイツ・レクイエムほか [音楽]

今日は久しぶりに快晴となりました。
陽射しは少々強いのですが、爽やかな気候で、すっかり秋の気配です。
本来であれば山に出かけるところですが、肉離れのため、残念ながら「沈殿」。
それでも、買い物がてら付近を歩いたりして、少しずつリハビリに励んでいるところです。
来週にはもう少し痛みも治まっていることと思いますので、軽い山歩きができたらいいな、などと考えています。皮算用に終わるかもしれませんが。

さて、そんな状況なので、音楽を聴いています。
SONY CLASSICALから、ワルターによるブラームス交響曲全集とドイツレクイエム、二重協奏曲などが収録されたボックスCDが出ました。
今年の9月2日に発売され、速攻で買い求めてしまったのです。
こういう衝動的な買い物は慎む、と以前、書いたのに、このざまです(^^;

しかし、これは本当にお買い得の素晴らしいCDボックスだと思います。

Bruno Walter Conducts Brahms

ボックスの内容は以下の通りです。

CD1
交響曲第1番ハ短調Op.68
ハイドンの主題による変奏曲Op.56a
大学祝典序曲Op.80~コロンビア交響楽団
CD2
交響曲第2番ニ長調Op.73
交響曲第3番ヘ長調Op.73~コロンビア交響楽団
CD3
交響曲第4番ホ短調Op.98
悲劇的序曲Op.81
運命の歌Op.54~コロンビア交響楽団, オクシデンタル・カレッジ・コンサート合唱団
CD4
ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調Op.102
~ジノ・フランチェスカッティ(Vn) ピエール・フルニエ(Vc) コロンビア交響楽団
ハンガリー舞曲第1, 3, 10, 17番~ニューヨーク・フィルハーモニック
CD5
ドイツ・レクイエムOp.45~イルムガルト・ゼーフリート(Sp) ジョージ・ロンドン(Bs) ウェストミンスター合唱団 ニューヨーク・フィルハーモニック
アルト・ラプソディーOp.53~ミルド レッド・ミラー(Ms) オクシデンタル・カレッジ・コンサート合唱団 コロンビア交響楽団
【録音】1959~1961年/1954年(ドイツ・レクイエム)

改めて申し上げるのも忸怩たるものがありますが、ブルーノ・ワルターは、フルトヴェングラーやトスカニーニとともに、19世紀から20世紀にかけて活躍した名指揮者です。
「三大指揮者」などともいわれますが、これは些かの誇張もない表現ではないかと、私も思います。
ドイツ出身ではありましたが、ユダヤ系であったことからナチスの迫害を受け、トスカニーニらの助けを借りつつスイス・フランス・モナコなどに避難しながら演奏活動を継続。
しかし、第二次世界大戦の勃発を契機として、ついにアメリカに脱出することになります。
ワルター自身の手によって書かれた「主題と変奏」には、そうしたことについても触れられています。
この著作については、以前、このブログで記事にさせて頂きました

戦後も、アメリカを拠点として精力的な演奏活動を行いましたが、1958年に心臓発作で倒れ、1962年2月に心不全のため85歳の生涯を閉じました。
その間、CBS(現「SONY CLASSICAL」)では、普及・発展の道筋がつき始めたステレオ録音によるワルターの演奏の録音を進める企画が生まれ、そのためにコロンビア交響楽団を設立します。
こうしてワルターは、三大指揮者の中で、唯一ステレオ録音の演奏を残した巨匠となったのでした。

コロンビア交響楽団は、ワルターによるスタジオ録音のために編成された特殊な楽団でしたから、平たくいえば「寄せ集め」です。オケとしての性能はお世辞にも高いものではありませんでした。
しかし、(これは、トスカニーニとNBC交響楽団にもいえることですが)ワルターの作ろうとする音楽を何としても形にするのだというひたむきな姿勢がひしひしと感じられ、指揮者とオケが一つになったかのような演奏が展開されています。
ワルター&コロンビアでは、マーラーやシューベルトの演奏が特に有名ですが、このブラームスの交響曲全集も誠に素晴らしいものです。
録音も極めて秀逸で、とても50年以上前のものとは思えない瑞々しさ。
ブラームスの音楽に、愛情を持って寄り添うワルターの姿が彷彿とさせられました。

演奏はどれも甲乙を付けがたいのですが、特に2番と3番の演奏が秀逸でした。
個人的な好みとしては4番の美しさも忘れがたいものがあります。特に第4楽章のシャコンヌは、聴いていて遥かな空の彼方に昇り詰めていくような想いに駆られました。

因にドイツ・レクイエムは、ニューヨーク・フィルとの演奏で、唯一モノラル録音となっています。

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夏炉冬扇

こちら晴天つづき。一雨あってもいいかと…
by 夏炉冬扇 (2014-09-15 07:12) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんにちは。
こちらは曇空で、どうやらお天気も下り坂の模様です。
by 伊閣蝶 (2014-09-15 11:58) 

tochimochi

肉離れも快方に向かいつつあるようで何よりです。
3連休の天気予報もくるくる変わって、昨日が一番の晴天でしたね。
私は運よく山に行ってきました。

by tochimochi (2014-09-15 16:29) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
山のお出かけとのこと。羨ましいです。
肉離れの方は、だいぶ良くなったものの、やはりつま先に力がかかると痛みがあります。
次の週末はお天気があまり良くないようですが、できれば山に出かけたいと思います。
by 伊閣蝶 (2014-09-15 23:30) 

ムース

コロンビアとの4番はつとに有名ですね。私も4番といえばワルターです。2番は確かフランス国立管だったと思うのですがライブ録音での終楽章の怒涛のごとく情熱が迸る演奏が印象的で、コロンビアは未聴ですが悪かろうはずはないですね。
 ワルターといえばコロンビアなんですが、ソニークラシカルさんには1950年代前半のNYPとのものも出してほしいですね。オケ違いとは別に、演奏そのもの特にテンポ設定なんかが全然違ったりするので、とても興味深いんです。「巨人」なんかも、確かにコロンビアは決定版なんでしょうけれども、NYPもまた別の魅力があったりします。シューマンの「ライン」も名演?ではないですが録音的には貴重。ボックスの時代だからこそ、こういった日の当らない廃版に光をあててほしいです。
by ムース (2014-09-17 16:25) 

伊閣蝶

ムースさん、おはようございます。
ワルター&コロンビアの録音を、私はLPの時代(30年ほど前のことでしょうか)に、そのほとんどを購入しています。
これは、価格が安かったといういささかみみっちい要因があったからですが、正に「はずれのない」演奏ばかりで、大いに喜んだことを覚えています。
そうした演奏がこのような形で、価格的にもこなれたボックスで出てくるのは嬉しいことです。
仰る通り、ニューヨーク・フィルとの演奏も、是非このような形で世に出して欲しいところですね。
by 伊閣蝶 (2014-09-19 07:11) 

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