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大滝沢本流(鬼石沢) [山登り]

暑い日が続きます。
自宅のエアコンが故障し、もう14年以上経つシロモノであるため修理用の部品もないため、やむを得ず購入することにしました。
しかし、取付はこの週末には間に合わず、私も家内も仕事をしているため、来週の土曜日までエアコンの使えない状況が延長することに(^^;
先週の木曜日くらいから熱帯夜が続き、このところ寝不足が続いているので、早くも夏バテ気味です。

エアコンが設置されるまで倒れなければ良いと思うのですが、ちょっと夏風邪気味でもあり不安も募っている今日この頃であります。

さて、このブログの更新が完全に滞っていました。

三木レク演奏会の翌週には合唱祭に出たり、昼休みに出かけている日比谷公園でも向日葵が元気に咲いていたりと、アップする題材は結構あったのですが、何だか記事を書こうという気力が沸いてこず、荏苒と時を過ごしていたところです。

そんな中ではありましたが、九州在住の山仲間Yさんが、仕事の関係で東京に出張することになり、ちょっと時間に余裕があるので、どこか手頃な沢に連れて行ってくれとのオファーがありました。
こちらに帰って来てから、山はもちろん、体を動かすことも(昼間の日比谷公園通いくらいしか)あまりなかったので、それでは出かけましょうということになったのでした。
どこに登りにいこうかなと考え、西丹沢の大滝沢本流鬼石沢はどうかと打診したところ、任せますとの回答。
鬼石沢は、F1の雨棚(あまんたな)が大核心で、これは高さ80mになんなんとする美瀑。
尋常な手段では登れず、中段から上部まではアブミの架け替えとなる領域です。
グレードは「5級A2」ということで、もちろん私は登ったことはありません。
大滝橋から大滝峠までを結ぶ東海自然歩道。途中にあるマスキ嵐沢から一軒屋避難小屋まで一気に100m近くの高度差を稼ぐ急登となります。
一軒屋避難小屋の脇には鬼石沢が流れていて、この間の標高差を埋めているのが雨棚なのでした。

さて、そんな鬼石沢ですが、一軒屋避難小屋から上は楽しんで登れる初・中級の沢となります。
私は、この上の方もまだ遡行したことはなく、それもあって選んだのでした。
丹沢の沢登りの際の情報源である「丹沢の谷110ルート」を読むと、ここから上ではF3が核心になるようです。

大滝橋から大滝キャンプ場に向かう道に入り林道脇の広場に駐車。
このまま林道を走ると林道終点に3台ほど駐車できるスペースがありますが、基本的には地元車や林業関係者の専用道路ですし、距離的にも400m程度のことですから、無理をして入る必要もないでしょう。

一軒屋避難小屋までは、ゆっくり歩いて1時間程度。先に触れたとおり急登もありますから体力を消耗しないように気をつけて歩きます。
一軒屋避難小屋で身支度を整え、鬼石沢右岸の仕事道を辿って最初の堰堤を越えます。
そこから沢におりましたが、少し荒れているような感じでした。
oniisi01.jpg

しばらく辿るとF2となります。
oniisi02.jpg
10mくらいの滝で、右側から登って水流際により、ちょっと傾斜のきつくなった上部のスラブをフリクションで越えました。

気持のいいナメ滝を越えていくと、間もなくでF3に到着です。
oniisi03.jpg
扇を開いたような形状をしていて、「丹沢の谷110ルート」の記事によれば、左から流れを横切って斜めに走る下部のラインの右端に良く利いている支点があるとのこと。
下からちょっと見えませんが、ザイルを結んで確保をお願いし取り付きました。
左から取り付き斜上バンドを越えていくと古びたハーケンが二本打ってありました。倒木が微妙なところにかかっているので、それをかき分けてランニングビレイをとります。
倒木を乗り越えて、ザイルの流れが滞らないように注意しつつ水流際によりました。
フリクションでスラブを乗り越えると、そこにも支点があります。
最後は扇の要のような急傾斜のスラブとなり、ここはちょっと微妙。
少し右から小さな斜上バンドを取り、フリクションで乗り越えました。
立ち木でビレイを取り、後続を確保。
セカンドのYさんは、倒木を乗り越える部分と上部のスラブで少し手間取り、最後はザイルを握ってしまいましたが無事に登攀終了。
この滝のグレードは3級上とのことでしたが、まあ妥当な評価だと思います。
しかし、あの倒木はかなりうるさく、できれば早いうちに流れてもらいたいものですね。

これから上部はさほどの悪場もないとのことでしたから、ここでいったんザイルを解きザックに入れて進みました。
石積みの堰堤を左側から越えて、なおも進んでいきますが、倒木が多く意外に歩きづらい感じです。
F4を目指して進むと三俣となり、水流の多い左俣を進みました。
小滝を越えていくと薄暗いゴルジュのようなところに入り、どうやら本流を外れているような感じです。
ゴルジュを抜けるとガレた感じの明るい谷となり、なおも連続する小滝を登りながら進むとグズグズの花崗岩のザレ場に出て、またまた三俣となりました。
明らかに本流を外れています。
仕方がないので上部に見える尾根を目指して抜けることにします。
ところがこれが予想以上に蟻地獄のようなザレで、沢靴でのキックステップもあまり利かず、手で掘ってホールドを探さなければならない始末。
這いつくばりながらしばらく登ると左側に急な尾根に出られそうな溝があり、そこを辿ってみますが、もう一歩たどり着けません。
仕方がなく、真ん中に戻り上部を子細に眺めます。
右側の方も急斜面のザレ場で、上部を目指すのであればこのまま詰めるしかないようです。
下の方ではYさんが心配そうな面持ちで眺めています。
確保できる立ち木でもあれば、そこからザイルを下ろすことも出来ますが、それもなく万事休す。
バイルでもあればそれを支点にして強引に突破することも出来ますが、こうしたツメがあるなどという情報は把握していなかったため持参もしていません。

退却を決めました。
「これ以上登るのは危険なので、退却します」と、上からYさんに呼びかけると、さすがに「この斜面を降りるのですか?」と心配そうな声。
こういうザレた斜面(沢の源頭の湿ったザレ場など)を降りる際に最も効果的なのは、斜面を背負い正面から斜面の下を見て腰を下ろし、お尻のフリクションを最大限利用した「究極の4点確保(5点確保)」です。
つまり、雪面を下るときに使う尻セードの応用ですね。
両手と両足で方向をコントロールしながら斜面を下っていくのです。
落石や岩雪崩の虞があるのではないか、とご心配の向きもあると思いますが、ここまで荒い砂礫が深く降り積もっているような斜面では、人がお尻で滑ったくらいで斜面が大規模に崩れるようなことはありません。
2〜3mくらいの滝も坐ったままで下っていきますから、いちいち滝に正対してホールドを探す手間も省けます。

下っていくと、先程の沢の分岐に出ました。
恐らくここで間違ったのでしょう。右俣が本流のような雰囲気です。
ここから改めて遡行することも可能でしょうが、時間もおしてきていますしさすがにちょっと疲れてしまったので、このまま出合いまで下ることにしました(寝不足で風邪気味の私のせいですが)。
F3の上の堰堤から仕事道に出て、そのまま一軒屋避難小屋まで下りましたが、さすがに仕事道だけあって、結構急な山道です。
普通の山靴や長靴ならどうということはないのでしょうが、沢靴だとさすがに滑りますので注意が必要です。

一軒屋避難小屋で、沢靴などを洗い、少し休んで東海自然歩道を下りました。
途中に、ネムノキの花が咲いていました。
oniisi04.jpg

せっかく宮崎から(仕事のついでとはいえ)来て下さった山仲間には申し訳ないことで、また機会を見つけてご案内しようと思っています。
その前に、私自身がきちんと遡行をしておかなければなりませんね。鬼石沢の命名の由来であるチョックストン滝「鬼石」も見ていませんし。
しかし、久しぶりの滝の登攀は楽しいものでした。
20m3級上というグレードではあっても、一応リードでオンサイトでの登攀でしたから私としては満足です。
体調を整えて、再度すっきりと遡行を目指そうと思います。

ところで、迂闊なことにデジタルカメラを濡らしてしまい、F3以降の写真は撮れませんでした。これも残念な失策です。

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コメント 4

夏炉冬扇

取り付けが問題ですからね。
御辛抱。
by 夏炉冬扇 (2014-08-04 08:46) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
仰る通り、エアコンの取付は素人には無理ですから、辛抱辛抱ですね。
by 伊閣蝶 (2014-08-04 23:12) 

tochimochi

大滝沢のF1は見たことだけあります。
とてもあの垂壁に取り付く気にはなりませんでした。
ザレでシリセードとは流石ですね。
ちょっとやる気にはなりませんが・・・^^;
カメラはその後復旧しましたか。
やはり沢では防水カメラがいいですね。

by tochimochi (2014-08-05 12:32) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
tochimochiさんも雨棚をご覧になられましたか。仰る通り、とても迂闊には取り付けません。ものすごい滝だと思います。
ガレ場の尻セード。下品な降り方だなと自分でも忸怩たるものがありますが、安全性と合理性には富んでいるのではないかと勝手に考えています。
カメラは何とか復帰しました。
防水カメラ、やっぱり欲しくなりますね。
by 伊閣蝶 (2014-08-07 00:22) 

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