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マーラー交響曲全集 テンシュテット&ロンドン・フィル(セッション&ライヴ)(16CD限定盤) [音楽]

記録的な猛暑となった今年の夏も、9月も上旬が過ぎるころとなって漸く治まってきました。
夜などは気を付けて寝ないと風邪を引く虞もありますから注意が必要ですね。

1998年の1月、71歳で亡くなったクラウス・テンシュテットとロンドン・フィルとのマーラー交響曲全集が発売されています。
16枚組で3080円という破格な値段もあってかメーカー取り寄せとなり、先日やっと入手できました。

いくつかは既にLPやCDで所持していますが、この価格に負けて購入してしまいました。
音質も相当改善されていますので、大満足です。

ラインナップは以下の通りです。
  • 1977:交響曲第1番
  • 1978:交響曲第5番、第10番
  • 1979:交響曲第3番、第9番
  • 1980:交響曲第7番
  • 1981:交響曲第2番
  • 1982:交響曲第4番、大地の歌
  • 1983:交響曲第6番
  • 1984:大地の歌
  • 1986:交響曲第8番
  • 1988:交響曲第5番(Live)
  • 1991:交響曲第6番(Live)
  • 1993:交響曲第7番(Live)

テンシュテットは1985年、アメリカ演奏旅行中に喉に違和感を覚え、病院で診察を受けたところ喉頭癌であることが判明しました。
テンシュテットは、手術による腫瘍の摘出を選択せず、放射線治療を続けながら指揮する道を選びます。
そのような状況にもかかわらず、1993年の春まで7年半に渡って活動を継続し、数々のコンサートで多くの人々に感動を与え続けましたが、1993年後半から病状が悪化。
その後、治療に専念するものの、5年後の1998年1月12日、北ドイツのキールの自宅で静かに世を去ったのでした。
このCDボックスでは、第8番とそれ以降のライヴが癌発症後の演奏ということになります。

テンシュテットの音楽に取り組む姿勢は極めて真摯かつ情熱的であり、それはライヴでもスタジオ録音でも全く変わらなかったといわれています。
それでも、やはりライヴ特有の緊張感はひしひしと感ぜられ、このセットでも、5・6・7番のライヴ録音は特筆ものの名演だと思います。
中でも5番は素晴らしく、ロンドン・フィルから迫真の演奏を引き出していました。

7番も、私は以前この曲について「少々辟易する」と書きましたが、これはなかなか良い演奏に巡り合えないもどかしさも手伝ってのこと。
この、1993年のライヴは、あのクレンペラー&ニュー・フィルハーモニーの演奏(1968年)に迫る巨大さを感じさせてくれました。
テンシュテットとロンドン・フィルとの紐帯は大変強固なもので、文字通りの蜜月であったそうですが、この演奏、もしかするとテンシュテットとともに行う実演はこれが最後になるかもしれないと感じていたロンドン・フィルのメンバーの想いが結集されているのかもしれませんね。

私がテンシュテットの演奏を初めて聴いたのは1980年頃で、北ドイツ放送響を指揮したマーラーの第2番をNHK・FMが放送した折のことです。
これはまたとてつもない実力を持った指揮者が現れたものだなと感動したものですが、テンシュテットはその頃50代の半ばだったわけですから、知らなかったのは私の迂闊というところでしょう。
識者の間では、既にその実力を高く評価されていて、当時、日本のオーケストラからも招聘の要請があったのだそうです。
しかし、1981年の演奏旅行中に北ドイツ放送響と決裂するという不幸な事態が尾を引き、その招聘の話は頓挫してしまったとのこと。
日本の楽壇としては誠に惜しいことをしたものですが、その後のロンドン・フィルとの蜜月時代を思えば、むしろその方が良かったのかもしれないと、今こうしてこのボックスCDを聴く側としては率直に感じております。

秋の深まっていく中、じっくりとマーラーを聴く楽しみがまた一つ増えました。
一曲一曲、大切に聴いていこうと思っているところです。
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夏炉冬扇

今晩は。
収集家ですね、これは。
by 夏炉冬扇 (2013-09-12 22:59) 

hirochiki

つい数日前までは涼しくなりほっとしていたのですが
昨日あたりからまた蒸し暑さがぶり返しているような気がします。
私の部署は、お盆過ぎから内装の改装工事を行っていて
昨日も業務をしながら隣の部屋に引越しをしたりしているので少々疲れが溜まっております。
こんな時は体調を崩しやすいので気をつけたいと思います。
テンシュテットは、がんの治療を続けながらも音楽活動を精力的に継続したとのこと
とても素晴らしいですね。
お忙しい日々の中、素敵な音楽を聴きながらゆったりと過ごされる時間を大切にしたいですね。
by hirochiki (2013-09-13 06:40) 

のら人

最近電車の中でも、くしゃみや咳をしている方が、結構います。
そんな中で、自分は腹痛を発症し1週間苦しみましたが、多分ウイルス性なのかぁ~、と思っています。
最近多様なウィルスが存在しますが、何処の国で作ってばら撒いているんでしょうか。 食欲の秋なので、美味しい物を沢山食べたい所ですが、腹痛で食欲が湧きません。 ^^;
by のら人 (2013-09-13 08:36) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんにちは。
本当はあまり際限なく集めることは避けたいのですが、こういう企画があるとつい買ってしまいます。反省頻りです。
by 伊閣蝶 (2013-09-14 10:27) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
一昨日辺りから蒸し暑さが戻ってきているようです。
今日も陽が射してきて暑くなりそうな気配です。
ところで、職場の内装工事が行われているとのこと。大変ですね。
仰る通り、こうした慌ただしさの中では体調も崩しがちですので、くれぐれもお気をつけ下さい。
テンシュテットは、人間的にも好感の持てる指揮者でした。この三連休はお天気が今ひとつとのことですから、ゆっくり聴きたいと思います。
by 伊閣蝶 (2013-09-14 10:31) 

伊閣蝶

のら人さん、こんにちは。
おなかの具合は如何でしょうか?食欲は快復されましたか?
私も、先頃、久しぶりにひどい下痢と腹痛の襲われましたが、今思うとやはりウィルス性だったように思います。
それにしても一週間とは大変でした。腹痛は体力を消耗しますから、くれぐれもご無理をなさいませんように。
by 伊閣蝶 (2013-09-14 10:34) 

サンフランシスコ人

(フィラデルフィアで)テンシュテット/フィラデルフィア&マーラー6番の演奏会に行ったことがあります...
by サンフランシスコ人 (2016-04-14 00:58) 

伊閣蝶

サンフランシスコ人さん、こんにちは。
テンシュテットのマーラー6番の実演ですか。
しかもフィラデルフィア!
これはまた羨ましい限りです。
by 伊閣蝶 (2016-04-14 12:32) 

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