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吹奏楽コンクール、三重県大会 [音楽]

ここの所、少しばかり寒さが緩んできているような気がします。
尤も時期的には大寒ですから、油断はなりません。週末にはまたまた寒波がやってくるという予報もあります。
しかし、大寒ということは、立春も間近ということ。
春はもうすぐそこまで来ているのでしょう。

今夜は十三夜。夕方に張りつめていた雲も夜半には晴れ上がり、きれいな月が顔を見せてくれました。

記事のアップが遅れてしまいましたが、1月13日の午後、吹奏楽コンクール三重県大会のアンサンブル部門、「職場・一般の部」の演奏を聴きに行ってきました。
午前中は白猪山に登っていたのですが、下山後、里道をぶらぶらと歩いているときに職場の同僚からケータイにお誘いのメールが来たのです。
思いのほか早く下山できたので、もちろん一も二もなく了承!\(^o^)/
力のこもった白熱の競演に酔いしれたのでした。

これは当日のチケットです。
suisougaku.jpg
なんと500円!
コンクール地方大会とはいえ、これは大変リーズナブルです。
「職場・一般の部」のエントリーは18団体でしたが、1団体の棄権があったため、17団体の演奏を聴くことができました。
審査の結果は以下の通りです。
brass-mie.jpg
吹奏楽アンサンブルのために作曲されて吹奏楽オリジナルが主流ですが、ラヴェルなどの作品を編曲した題材もあって楽しめました。

最優秀賞に該当する「朝日新聞社賞」を受賞した「白子ウインドシンフォニカ」の演奏は、別格の完成度で、特にソプラノ・トランペットを吹いていた女性の方の演奏には瞠目させられました。
モーリス・アンドレもかくや、と思わせる素晴らしさです。
今日のコンクールを「聴きに行きましょう」と声をかけてくれた同僚は、若かりし頃「白子ウインドシンフォニカ」に、やはりトランぺッターとして所属し、累次の三重県大会優勝や全国大会出場を果たしていますが、その彼をして舌を巻くほどのうまさでした。
演奏曲は、シャルパンティエの「テ・デウム ニ長調」。
曲にも恵まれたのかもしれませんが、コンクールは選曲の段階からすでに始まっているわけですから、これも蓋し必然というべきでしょう。
クラリネット三重奏曲でも県代表に選出されていますし、さすがに「白子ウインドシンフォニカ」の実力は桁違いだなと感じた次第です。

同僚は中学生の時からトランペットを吹き続けてきましたが、最盛期の頃は「どんな譜面でも自由自在に吹け、不可能な演奏などはない!」と感じていたそうです。
しかし、全国大会などに出場するに及んで、世の中にはさらにとてつもない上を行く演奏家が数多くいることを知り、それ以降は虚心坦懐に己の技術を磨くことに専心してきました。
「白子ウインドシンフォニカ」を退団するきっかけは、年齢を重ねるとともに己の技術の限界を悟り、ほかのメンバーに迷惑をかけてはならないという想いからの決断であった、とのこと。
温厚で控えめながらも強靭な意志を持つ、正に温厚篤実というにふさわしい人物で、楽器演奏におけるそうした輝かしい実績についても、決して声高には語らない徳性を備えており、私などは何事につけ感服してしまっているところです。
津に単身赴任という無聊の中で、同じく吹奏楽をやっていて(私などは全く足元にも及びませんが)音楽好きというところから、良い話し相手になってくれていることも本当にありがたい限りなのでありました。
そうそう、私の住居をサンソン・フランソワのボックスセットとBOSEのAWMを持参して訪ねてくれたのは、もちろんこの同僚です。

さて、さすがに県大会だけあってどの演奏も極めてハイレベルであり、聴きごたえがありましたが、私としては朝日新聞社賞の演奏と並んで、江戸橋ブラスアンサンブルによる演奏が大変心に残っています。
なんといってもユーフォニュウムの響きが天下一品で、この楽器の持つ柔らかな音を美しい和音として響かせてくれました。
本当にため息が出るほど美しかったのです。
この団体も県代表。
東海大会でのご活躍を心よりお祈りする次第です。

それにしても、女性の金管楽器への進出は目覚ましいものがありますね。
私がやっていたころは、女性は木管が主で、金管ではせいぜいホルンくらいでした。
それが今やトランペットやトロンボーンはいうに及ばず、なんとチューバまで女性奏者がおられ、それがまた素晴らしい音を聴かせてくれるのです。
時代は変わったなあと、つくづく感じさせられました。

コンクールを終えてからの講評で述べられた評価委員代表のお言葉、

「Sotto Voce(ソット・ヴォーチェ=静かに抑えた音で、小声でささやくように)で豊かに響かせる表現を目指して精進して欲しい」

には、感じ入るとともに、アンサンブルでは相当に厳しい要求だろうな、と率直に思いました。
吹奏楽のアンサンブルでは「如何に和音を濁らせず美しく響かせるか」がキモであり、そのためには当然不用意なビブラートは厳禁です。
しかし、ビブラートを使わずにロングトーンで音を安定的に出すことは言うほど簡単なことではありません。
しかもそれをSotto Voceで、というのですから、これには大変な技量が必要となることでしょう。
金管よりははるかにコントロールの利く声楽であっても、これは至難の業です。
でも、それを成し遂げなければ全国大会での好成績は望めない、ということなのでしょうね。
音楽の演奏というものはつくづく奥の深いものなのだなと、改めて思い知った次第です。

ところで、これだけの技量を備えた吹奏楽の演奏者がいるのですから、三重県下のオーケストラもさぞや、と思われたのですが、同僚のお話だと、事はそう簡単なものではないそうです。
つまり、アクティブなウインドオーケストラなどに所属しつつ管弦楽団にも参加、ということでは、とても時間の工面がつかない、と。
普通の仕事を持っている人が吹奏楽コンクールで全国大会を目指そうとするのであれば、それこそ寸暇を惜しんで空き時間を練習に当てなければ到底目的を達成することはできない、というわけです。つまり、管弦楽団での演奏に割くような暇はない、ということなのでしょう。二兎を追うもの一兎も得ず、ですか。
確かにそうかもしれないなあ、と納得しつつも、なんだか大変残念に思われました。
因みに、こうしたハイレベルの吹奏楽団から管弦楽団に参加した人の話によると、オケの管楽器群との間のあまりのレベルの差に愕然とするのだそうです。

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tochimochi

寸暇を惜しんで空き時間を練習に当てなければならない...大変ですね。
仕事をしながらハイレベルを目指すことの大変さがわかります。
それだけの情熱を持てることを羨ましくも思います。
by tochimochi (2013-01-25 07:02) 

夏炉冬扇

こんばんは。
吹奏楽は上手だと迫力ありますから。いい時間過ごされました。
by 夏炉冬扇 (2013-01-25 18:01) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
好きな道とはいえ、本当に大変だと思います。
しかし、その精進の上に作られる世界もまた、素晴らしいものでした。
真似は出来ませんが、羨ましいことだと、私も思いました。
by 伊閣蝶 (2013-01-25 23:29) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
素晴らしいアンサンブルでした。
仰る通り、とても有意義な時間をいただきました。
by 伊閣蝶 (2013-01-25 23:31) 

hirochiki

おはようございます。
小学生から一般まで幅広い年代の吹奏楽の演奏を楽しまれたようで何よりです。
女性のパワーは、金管楽器にも及んでいるのですね。
女性の私としましては、何だか嬉しくなりました。
ところで、私の職場でも先週あたりからインフルエンザや風邪が流行り始めています。
我が家は、おかげさまで今のところは元気に過ごしておりますが気をつけて過ごしたいと思っております。
もうすぐ節分ですね。 暖かい春が来るのが待ち遠しいです。
伊閣蝶さんも、お身体にお気をつけてお過ごしください。
by hirochiki (2013-01-26 08:23) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
今日は格別の寒さで、風も強くて、洗濯物が飛ばされる始末です。
私の職場でもインフルエンザ罹患者が出ています。本当に気をつけたいところです。
もうすぐ立春ですが、春が待ち遠しいこのごろです。
どうか、hirochikiさんもくれぐれもお体にはお気をつけ下さいますように。
ところで、吹奏楽の金管楽器への女性進出のこと。
最初は驚きましたが、全く男性と遜色のない演奏で、私としては大変満足しています。
様々な方面で男女の垣根がなくなることは、男性にとっても有意義なことでしょう。
女性パワーに今後も期待大です。
by 伊閣蝶 (2013-01-26 10:38) 

九子

どこの地方でも(もしかしたら三重県はレベルが高いのかもしれませんが)必ずオーケストラやらコンクールがあって、多くの人々がそれぞれ日々腕を磨いていらっしゃるというのは、日本という国もそれなりにレベルが高いのでしょうか?

練習とか努力とかが出来ない人間なので(^^;;、せっかくso-netのブログ仲間の皆様にクラシック音楽の楽しさを教えて頂いた事でもあるし、せいぜい機会あるたびに聴く耳は育てていこうと思っています。

sottoが日本語の「そっと」とおんなじ・・って、面白いですね。( ^-^)
by 九子 (2013-01-26 17:00) 

伊閣蝶

九子さん、こんにちは。
仰る通り、sottoが日本語の「そっと」に良く似た意味というところは面白い偶然だと私も思います。
音楽コンクールは、音楽をしている人にとって一つの目標であり、技術を高めるモチベーションアップにつながっていますので、素晴らしい取り組みですね。
また、そのレベルもやはり世界的にみて相当に高いのではないでしょうか。
九子さんも積極的な音楽体験や映画体験をなさっておられ、私もとても刺激を受けております。

by 伊閣蝶 (2013-01-27 17:17) 

のら人

>職場の同僚からケータイにお誘いのメールが来たのです。

お誘いのアンサンブルを楽しまれて良かったですね。^^
伊閣蝶さんは趣味が多才ですね。 凄いです。

by のら人 (2013-01-27 22:00) 

伊閣蝶

のら人さん、こんばんは。
ありがたいお誘いに感謝!ですね。
趣味に関しては、どうも下手の横好きのようで、困ったものですが、単身生活の無聊を慰めてくれるのでありがたい、ということもありそうです(^^;
by 伊閣蝶 (2013-01-27 22:50) 

Cecilia

シャルパンティエの「テ・デウム ニ長調」はH.146ですよね?
プレリュードが大好きなのですが
http://www.youtube.com/watch?v=B2Un3JOXZ4g
演奏されたのはこの曲でしょうか?

by Cecilia (2013-02-13 08:57) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんばんは。
正しくこの曲です。
これをブラスアンサンブルで演奏したわけで、とりわけソプラノトランペットの響きが素晴らしいものでした。

by 伊閣蝶 (2013-02-13 23:13) 

ちんたに

10年以上前に退団した元白子ウインドシンフォニカ団員です。昔の仲間がどうしてるかなあと思ってググったら到達しました。かつては私も金管アンサンブルのメンバーでしたが、確かに当時も出れば県代表という状態でした。おっしゃるとおり、仕事をしつつ、学生時代のレベルを保つのは至難の業なので、私も17年間、全く楽器に触れてませんねえ。いやあ、懐かしいです。江戸橋も大学時代の先輩後輩が良そうな気が・・・。ユーフォは指揮者の方かなあ。
by ちんたに (2014-09-04 13:58) 

伊閣蝶

ちんたにさん、こんばんは。
コメント、誠にありがとうございました。
白子ウインドシンフォニカに所属しておられたとのことで、何とも感激です。
もしかすると、私の同僚とも面識がおありではないかと拝察致します。
出場された方々の演奏をお聴きし、このレベルを維持することの難しさにため息が出る想いでした。
そうしたエキスパートによる演奏を聴けたことの悦びを噛み締めております。
by 伊閣蝶 (2014-09-07 18:08) 

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