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ブラームス交響曲第4番(カラヤン&BPO、ザルツブルグライブ) [音楽]

本社での会議があって、本日の夜、横浜の自宅に帰ってきました。
明日が全体会議で、明後日は関係先に挨拶をし、午後一で津に戻る予定です。
明後日の午後に来客があり、その後、関係先の打ち合わせがあるので、全く余裕のない日程ですね。
とはいえ、今どきはどこもみんな同じでしょうが。

赴任以来、思ったほど余暇が取れず、山登りにもなかなか出かけられない上、コンサートに出かけることも難しくなっています。
音楽の演奏は、ほかの舞台芸術と同じく基本的には一期一会のもの。実演に勝るものはない、とまでは云いきれぬものの、理想はやはりコンサートホールなどにおいて、空気の振動までも体全体で感ずることにありましょう。
名古屋市では良い演奏会がたびたび開かれていますから、これを聴きに行くのもこちら方面への単身赴任の役得かな、などと考えていたのですが完全に当てが外れました。
その乾きは、結局CDなどを部屋で聴くことによって癒すしかないわけですが、そんなこともあってか、ライブ録音にはやはりかなり魅かれるものがありますね。

先週末、何となくブラームスの交響曲第4番が無性に聴きたくなりました。
この曲における私の一番のお気に入りは、ザンデルリンク&ドレスデン・シュターツカペレによる聖ルカ教会ライブですが、残念なことにこちらには持って来ていません。
そこで久しぶりに、カラヤンの演奏を聴いてみることにしました。
karajan.jpg
カラヤン&ベルリン・フィルによるザルツブルグ・ライブ、1983年8月27日の演奏です。
翌日の8月28日には第1番と第3番が演奏されました。

これはいわゆる「非公式録音」盤で、つまり海賊版、というやつですね。
信義則違反のCDではありますが、石丸電機のレコード館などで堂々と売られていたものです。

カラヤン&BPOによるブラームスの交響曲は、何といっても1963年のDG盤が素晴らしい存在感を示していて、私も高校生時代に乏しい小遣いをやりくりして購入したものです。
カラヤン自身もブラームスの交響曲をそれこそ自家薬籠中の作品と考えていたのでしょう、演奏会でも数多く取り上げ、レコードも恐らく10種類ではきかないほど出しているのではないかと思います。
私は、どちらかというとカラヤンという指揮者の演奏はあまり好みではないのですが、ブラームスについていえばその限りではありません。きっと相性がいいのだろうな、などと帝王大カラヤン様に対して失礼な感想を抱いている次第です。

それはともかく、このライブ演奏当時のカラヤンの年齢は75歳。脊柱の故障に加え、脳梗塞の後遺症などで体は不自由だったそうですが、なみなみならぬ気迫を感じさせます。
さすがに自身の生まれ故郷であり、かつ音楽祭の芸術監督を務めたザルツブルグでのライブ演奏だけのことはあるなと、改めて感心しました。
BPOの面々も最高のパフォーマンスを発揮しています。
終楽章の97小節目から始まるフルートのソロの美しさは正に筆舌に尽くしがたいものがあり、聴いていて思わず目頭が熱くなりました。
前後して出されているスタジオ録音の正規版は、世上に大変評価が高いのですが、演奏の醸し出す熱と力は、恐らくこのライブ演奏CDの方が遥かに優れているものと思われます。
ライブ録音につきものの傷も、このCDにはほとんど見かけません。
それだけオケも真剣勝負であったということでしょう。

違和感を感じたのは、第3楽章の後、そのまま第4楽章のシャコンヌになだれ込んだ点で、ここはやはりひと呼吸おいて、あの壮大な主題を鳴らして欲しかったなと思います。
ただこれも好みの問題かもしれません。私の好きなザンデルリングは、ここに少し長めの「ため」をとっていましたから。

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コメント 11

tochimochi

仕事が第一ですからしょうがないですが、余暇が取れずやりたいこともままならないのは辛いですね。
でも音楽なら部屋の中でも楽しめますね。
門外漢の私ですが、クラシックの楽しみ方を知っておられるのはうらやましいと思いました。
by tochimochi (2012-09-24 21:23) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
勤め人であればやむを得ないことですね。でも、きっとまだ要領がつかめていない部分もあるからだろうと思っています。
もう少し効率的に動けるようになれば余暇も作れるのではないかと考えているところです。
その意味では音楽を聴くという趣味はありがたいところですね。
楽しみは意外に身近なところにある、ということかもしれません。
by 伊閣蝶 (2012-09-24 23:05) 

hirochiki

相変わらずお忙しい毎日をお過ごしのようで
くれぐれもお身体にはご自愛下さい。
それから、お疲れだと思いますので、移動の際にも十分にお気をつけ下さいね。
不自由な体でそれほどの演奏を奏でるカラヤンは、本当に偉大な指揮者ですね。
近いうちに、生演奏を聞きに行かれたり山登りをすることができますように。
by hirochiki (2012-09-25 05:33) 

夏炉冬扇

お早うございます。
クラシックが無性に聴きたくなる…
ウーム。そういえば亡くなった兄が聴いた居たなぁ…
by 夏炉冬扇 (2012-09-25 07:12) 

Cecilia

貴重な休日を余暇のために使うことができないのは残念ですね。
もうしばらくしたらそういったことも可能になるのでは、とは思うのですが、お仕事&単身生活ご苦労様です。
私もなかなか生のコンサートを聴きに行くことができずCD&PCでの鑑賞が多いです。
名古屋ほどではないかもしれませんが、四日市や桑名あたりで活動されている音楽家が多いと思います。伊閣蝶さんの趣味に合った催しが近場であると良いのですが。
また山登りには良い季節になってきましたね。どこかに登ることができると良いですね。

by Cecilia (2012-09-25 09:37) 

のら人

>音楽の演奏は、ほかの舞台芸術と同じく基本的には一期一会のもの。
山で見る景色と同じですね。 何回同じ山に行ってもその度どこか景色が違うんですよね。 ^^
部屋で聞くだけのドボルの新世界でも十分山を思い出せますが、人気のない(←ここが大事!)涸沢あたりで生新世界の演奏を聞いたら感動して卒倒しそうです。 ^^;
by のら人 (2012-09-25 18:21) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
ご心配頂き、誠にありがとうございます。
今、新幹線に乗って、名古屋に向かっています。
どうも貧乏暇なしですね(^^;
カラヤンは、やっぱりカラヤンですね。多くの聴衆を魅了するのも蓋し当然と思いました。
年度末まではこんな状況が続きそうですが、何とか効率的に行動できればいいなと考えています。

by 伊閣蝶 (2012-09-26 12:20) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんにちは。
お兄様もクラシック音楽がお好きでしたか。
何というか、心が求めている、という感じがあります。

by 伊閣蝶 (2012-09-26 12:21) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
平日にあまり余裕がないので、家事などはどうしても週末に片付けなくてはならなくなります。
慣れてくればもう少し効率よくこなせるのではないかと期待しているのですが。
四日市や桑名でも良いコンサートがありそうですし、津でもホールがあるので、何とか出かける時間を作りたいと思います。
まずは、今週末にどこか山に出かけたいなと考えてはいるのですが。

by 伊閣蝶 (2012-09-26 12:21) 

伊閣蝶

のら人さん、こんにちは。
仰る通りですね。山で見る景色は同じ山同じ場所でも毎回違います。
だから通ってしまうのでしょう。
ところで、涸沢で「新世界」の生演奏、これは痺れそうですね。
ただ、人気のない涸沢、というのが結構難しいかも(^^;

by 伊閣蝶 (2012-09-26 12:22) 

サンフランシスコ人

カラヤンはニューヨーク・フィルハーモニックを振っています....

http://archives.nyphil.org/index.php/artifact/fae9fcee-15c7-4c3d-a1e3-09407f1d37bf/fullview#page/1/mode/2up
by サンフランシスコ人 (2016-04-22 07:09) 

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