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善意が生んだ悲劇、キリストの肖像修復の惨事 [日記]

今朝は曇り空で、歩いているうちに小雨が降り出すような天気でしたが、昼くらいからお天気は見る見る回復し、厳しい残暑となりました。
それでも、だいぶ気温は下がってきているようで、お昼休みに外出した折も、今までのような攻撃的な暑さは感じませんでした。さすがに処暑を過ぎて暑さもひと段落、というところでしょうか。

さて、標題のこの話題、先日ネットサーフィン中にCNNニュースで見て衝撃を受けました。
hekiga.jpg
これをモーフィングしたらどうなることだろうか、などと不謹慎なことを考えてしまいましたが、こんなことが起こりうるのだなという衝撃は相当に大きかったところです。

この話題に関して、ロケットニュースに「鮮明な」画像つきの記事が掲載されていたのでご紹介します。

【善意が生んだ悲劇】80代の女性が勝手にキリスト壁画の修復を試みる → 絵が下手すぎて顔が別人に

スペイン北東部ボルハの教会の祭壇の一角にある柱の壁には、19世紀の画家エリアス・ガルシア・マルティネスの手によるフレスコ画、いばらの冠をかぶったキリストの肖像「Ecce Homo(この人物見よ)」が描かれていました。
荊冠の下から流れ落ちる血と、虚空を仰ぎ見る深いまなざしが大変印象的な絵ですが、湿気のせいで18ヶ月前からぼろぼろに剥げ落ち始め、原型をとどめなくなりつつあったそうです。
この状況に心を痛めた地元の自称芸術家の婦人が修復に着手。
黙々と作業を進めたのですが、誰からの許可ももちろん依頼もなく行われ、修復が終えたときには驚くべき惨劇が待ち受けていたのでした。
端的に言ってしまえば、この自称芸術家の修復画が大変に稚拙なものであったということです。

その「修復」がいかなるものであったか、どうかこの記事に添えられた画像をご覧ください。

それにしても以下の記述はなんとも無念なことですね。
そしてさらに悲しいことに、地元のカトリック文化財団「Centre for Borjanos」は、この壁画を描いた画家Elias Garcia Martinezの孫から、壁画修復のための寄付金を受け取っていたことが判明。つまり、あと少しでプロによる修復が開始される予定だったのだ。この事態を受けて、Centre for Borjanosのスポークスマンは次のようなことを話している。
 
「元々の壁画の価値はそんなに高くはありませんが、人々の愛着がつまったものでした。80代のその女性は、見たところ、自分を芸術家だと思っているようです。彼女は誰からの許可も得ず、今回の行動に至りました。教会には多くの人が訪れるので、教会はいつも公開されています。しかし見張り人がいたにもかかわらず、彼女がことを終えるまで、誰も彼女がしていることに気づきませんでした」

素朴な疑問ですが、監視員までいたというのに、どうして誰も彼女の行動をとめることができなかったのでしょうか。
いや、それ以前に、彼女の行動に特段の感心すら示していない周囲の状況が不可解でなりません。
日本の寺社でも、落書きなどをする不心得ものがいたりしますが、ここまで時間をかけ手をかけていた「修復」作業が、なぜ人目を引かなかったのか。
あるいは、専門の修復員だと周囲の人たちは思っていた、ということなのでしょうか。

記事によれば、彼女は来週にでもプロの修復者と会い、今回の「修復」にどんなものを使ったのかを説明するそうですが、何とか無事に本来の形での修復が叶いますようにと願わずにはいられません。
修復が無理となると「壁を壁画の写真で覆うことになる」とのことですから、現在のこの「修復」画もそのまま残されてしまう可能性もあるわけで、そのような痛ましいことにならなければいいのですが。

明日から八ヶ岳山麓の実家に帰省します。
実家はネット環境が整っておりませんので、しばらく皆様のブログへの訪問が出来なくなると思いますが、何卒お許し下さいませ。

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コメント 16

ムース

単身生活いかがお過ごしでしょうか?。

この記事を読む限りでは大変遺憾なことではありますが、プロの修復師が作業しても結局はオリジナルは失われるわけで、もちろん今回よりははるかにいいのかもしれませんが、壁画の場所が場所だけに、形あるものは最終的にはこわれるということなんですよね・・・。今回の犯人?を擁護するわけではありませんが・・。
by ムース (2012-08-24 23:31) 

niki

あらららら;;;;;ですね>_<

良かれと思ってしたことなのでしょうが・・・腕前も重要だと・・・。
う~ん、誰か止めればよかったかも、ですねぇ。
見張りの人は何をしていたのでしょうね。。。。
by niki (2012-08-24 23:37) 

hirochiki

この80代の女性がどのような時間帯にこの作業をしていたのかはわかりませんが
なぜこんなことになるまでわからなかったのかが私も不思議でなりません。
素晴らしい芸術作品がこのような結末になってしまったのは大変残念ですね。
せめて元の形に近いところまで修復できますように。

伊閣蝶さんは、ようやく夏休みを取られるのですね。
ご実家では、しっかりとお体を休めてごゆっくりされて下さいね。
by hirochiki (2012-08-25 07:45) 

月夜のうずのしゅげ

ニュースでは知っていましたが、似ても似つかない(ToT)
by 月夜のうずのしゅげ (2012-08-25 08:51) 

伊閣蝶

ムースさん、こんにちは。
単身生活は、以前も経験したことがありますので、それほど苦にはなりませんし、年を重ねていることもあって飲み屋に入り浸りみたいなこともできなくなり、体調の面でも割合快適です。
修復によってオリジナルが失われる、という点は仰る通りです。寺院の壁画ということを鑑みれば、湿気によってボロボロになっていくのも「神のご意志」ということがいえるのかもしれませんね。
長年、その壁画に親しんで来た人たちにしてみれば、やはり失われてしまうことは残念だと思われるのでしょうが。
by 伊閣蝶 (2012-08-25 15:12) 

伊閣蝶

nikiさん、こんにちは。
まさに「あらら」という感じです。
善意からのことなので、一方的な避難は気の毒のような気もしますが、本当に監視員は何を監視しているのでしょうか。

by 伊閣蝶 (2012-08-25 15:12) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
本当になぜここに至るまで誰も気づかずにいたのか不思議でなりません。
お孫さんの意思もありますので、できれば元の絵に近い形で再修復が出来ればと思うのですが。

ところで、本日の朝、津を出て、実家には11時くらいに着きました。
休憩時間も入れて4時間30分でした。
こちらも気温は高いのですが、さすがに標高が高いだけあって風は爽やかです。
しっかり休んで、また単身生活を頑張りたいと思います。

by 伊閣蝶 (2012-08-25 15:13) 

伊閣蝶

月夜のうずのしゅげさん、こんにちは。
ご訪問&nice!、ならびにコメントをありがとうございます。
本当に似ても似つかない姿になってしまいました(^^;
何だかいろいろと考えさせられました。

by 伊閣蝶 (2012-08-25 15:13) 

のら人

なんとも悲劇ですね。
多分、悲劇というのは、こういう事を言うのでしょうね。
八ヶ岳山麓でごゆっくり英気を養って下さいませ。 ^^
by のら人 (2012-08-25 22:41) 

tochimochi

私もニュースで見ましたが、こうなるまで自称芸術家は不安にならなかったのでしょうか。まあ不安にならなかったから続けてしまったのでしょうが、周りの方も意外と無関心なのですね。
by tochimochi (2012-08-25 22:46) 

伊閣蝶

のら人さん、こんにちは。
誠に悲劇という言葉がぴったりする「事件」でした。
今後の展開が、やはり気になります。
by 伊閣蝶 (2012-08-26 10:23) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんにちは。
彼女はまだ修復を続けるつもりだったようですね。
作業はまだ途中だったのに続けさせてもらえなかったといっているらしいので。
私も、周囲が割合無関心だったことに衝撃を受けました。
by 伊閣蝶 (2012-08-26 10:25) 

夏炉冬扇

今日は。
私も記事を。
こういうこともあるんですね。
by 夏炉冬扇 (2012-08-27 16:53) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
全く予想も出来ない「椿事」というべきでしょうか。
by 伊閣蝶 (2012-08-29 17:29) 

Cecilia

この事件、伊閣蝶さんの記事で初めて知りました。
いかに稚拙な絵とは言え作業にはある程度時間がかかるのに、誰も気が付かなかったというのは不思議ですね。
本当に善意で修復していたのですよね?
何と言って良いのかわからないですが、残念な事件ですね。
by Cecilia (2012-08-30 14:27) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんばんは。
Ceciliaさんの御疑問、私も同じく感じており、実に不思議です。
それだけ感心が低かった、というのなら分かるのですが、「親しまれていた」そうなので、本当に不可解ですね。
絵の具が剥離した惨状に心を痛めて、「修復しよう」と思い立ったのでしょうから、善意だったのでしょう。
それ故に私も何とも表現に困ってしまったところです。
by 伊閣蝶 (2012-08-30 18:52) 

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