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海賊版ダウンロード罰則化について [音楽]

今日も穏やかな晴天になっています。
昨日・今日と、正に梅雨の晴れ間というお天気になりました。
この時期の晴天は、啻に鬱陶しい梅雨空との比較のみならず、実際に大変清々しく美しいものなので、ありがたい限りですね。
殊に、この時期における植物の葉の緑色の優しい美しさは筆舌に尽くしがたいものがあると思っています。

しかし、もう西日本ではお天気が崩れてきているそうですし、台風4号の影響でかなりの降雨がありそうです。
東日本も明日からは暫く雨の天気となるそうですから、なおのこと本日の晴天のありがたさが身にしみますね。

そんな中、どうもきな臭い法案が通ってしまいそうです。


協会代表理事でジャーナリストの津田大介さんが「海賊版ダウンロードは、2年前に違法となったが、罰則化は見送られてきた。ちゃんとした議論も無く、レコード協会など権利者団体のロビー活動で決まろうとしている」と批判。

違法DLのせいでCDの売り上げが落ちている、というのがレコード会社などの言い分のようですが、ネットがここまで進化する以前は、デジタル音源をそのままコピーされるので誰もCDを買わなくなる、とかいってCCCDなどという規格をリスナーに押し付けようとしていました。
音質がカセットテープへのダビング並みにひどいとか、PCで再生しようとした場合、そのPCに関連アプリをインストールする必要があってセキュリティ上問題があるなど、当のミュージシャン(坂本龍一や山下達郎など)からも批判されたシロモノで、さらにリッピングしようと思えば出来てしまう程度のガードであることも重なって、「実効性」の観点からも疑義が寄せられるようなものでした。
さらに、クラシックやジャズを聴いているリスナーは結構音質などにうるさいこともあり、音質を犠牲にしてまでコピーガードを施したCDなど誰が買うものか、などとして購入を手控えてしまう傾向も強まったのだそうです。
つまりは、良い演奏や音質であればむしろきちんとCDを購入して聴こうと考えるリスナーをも敵に回してしまったわけで、業界としては誠に痛い失策だったのではないでしょうか。

今回の罰則化法案は、そんな業界の意向を受けて自民党と公明党が今国会への提出しようとしているものですが、単にCDの売り上げが伸びなくなったからといって、いきなり「刑事罰」の導入とはいささか乱暴すぎるのではないかと考えます。

因みに、CDの売り上げが落ちていることについて、次のようなアンケート結果もありました。

CDが売れない本当の理由

この記事によると、CDを購入しない理由は次のようなものなのだそうです。
Q.なぜCDを購入しないか、その理由を教えてください。
インターネットショップ(itunesStoreなど)で購入するから 18.7%
レンタル店で借りるから 49.0%
音楽ソフトを購入しない 35.9%
そのほか 7.5%

「レンタル店で借りるから」がトップであり、次点は「そもそも音楽ソフトなど買わない」、という結果。
つまり、お金を出して買ってまで聴きたいCDなどない、とリスナーは言っているのでしょう。

こうしたことについて、私はこのブログでも再三「魅力的な音楽CDを企画・販売しようとしないレコード業界自体の問題」という見解を述べてまいりましたが、今回の件でますますその思いを強くしています。

さらに問題なのは、民主党も、消費税・社会保障精度一体改革法案などとの取引材料として、この罰則化法案を通そうとしているらしきこと。
罰則化法案は、15日の衆院文部科学委員会で、自公両党から提出される見込み。政府が提出している著作権法改正案に盛り込む形で同委で採決された後、続く衆院本会議でも採決される見通しだ。

刑事罰化ということは、当然に警察等による捜査の対象となるわけで、その疑いがあるとされれば、自分のPCのハードディスクなどの中身を全て捜査機関に見られてしまうことになりましょう。
日常的に使いこんでいるPCであれば、そのハードディスクの中身は、正しくその人の思想や生活や趣味や嗜好などを映し出す様々なデータが格納されているわけで、しかもそれらは劣化することのないデジタルデータとして存在しているのです。
そのようなシロモノが、官憲に疑いをかけられたが最後、捜査の名目で暴かれ人目に晒されるのだとしたら、これ以上の人権侵害はないのではないでしょうか。
さらに、毎日やってくる膨大なメールなどの中に、違法性を孕んだspamが自分も知らないうちに紛れ込んでいたりしたらどうでしょう。
「自分には全く身に覚えがない」と主張しても、それが現にハードディスク内に存在していたりしたら、反証は相当に困難となるのではないでしょうか。
つまり誰かをはめようとすればそれが容易にできるようになる、ということも言えるように思われるのです。

そんな危険性を孕んだ法案を、単に政局の取引材料として差し出すなど、とんでもない話ではないでしょうか。
法案を提出しようと画策している自民党や公明党も、一体どこまできちんと検討をしているのか実に疑わしく、つまりは業界票を狙っての点数稼ぎなのか、と疑ってしまいますね。

どうも、今回はあまりのことに頭に血が上って、いつもは踏み込まない領域のことを書いてしまいましたが、とりとめのない乱文・駄文になってしまったことをお詫びします。

最後に、この罰則化法案については日弁連も反対の姿勢を表明していますので、その会長見解をご紹介したいと思います。

違法ダウンロードに対する刑事罰の導入に反対する会長声明

誠にご尤もな見解であると、私は思います。

(追記)
本日、この法案は衆院で可決されたそうです。

DVDリッピング違法化+私的違法ダウンロード刑罰化法案、衆議院で可決

ここに掲げられた違法行為を、一体どうやって調べるつもりなのでしょうか。
創造者の著作権を無視したネットへのアップロードやダウンロードといった行為自体、決して許されるものではないと考えますが、この法の運用は相当に危険性をはらむもののような気がしてなりません。
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hirochiki

著作物の違法利用・違法流通がどれだけの損害を被っているのか
レンタル業界をここまで伸ばしてきた音楽業界に問題はなかったのか
インターネットを規制することは不可能ではないのか
一部アーティストのCDは驚異的に売れている事実があるということ
そして、そもそも今回の法案の本当の標的は、いったい誰なのか
頭のいい官庁が考えたことを政治家が無理やり通すいつものやり方のようにしか見えません。
by hirochiki (2012-06-15 20:11) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
正しく仰る通りだと思います。
刑事罰を加えなければならないほどの、公共的に深刻で甚大な被害が起こりえるのか、iPodやiPadなどのデジタルプレイヤーへのリッピングはどうなのか、ただでさえ遅れがちな日本のネット環境をさらに不自由なものにするのではないか、などの問題のほか、検挙が実際の抑止力に繋がるのか、不可解な点が余りに多すぎます。
この法案が施行されることによって、本当にCDの売り上げが快復すると、業界は思っているのでしょうか。
レンタルショップの存在でかろうじて繋がっているリスナーまでが逃げてしまうような気さえします。
利権でも絡んでいるのか?とどうしても邪推してしまいたくなります。
by 伊閣蝶 (2012-06-15 23:07) 

tochimochi

私も「レンタル店で借りるから」派ですね。
CD、DVDのコピーはよくやっていますが、全て私的利用です。
レンタルショップの出現以来、音楽ソフトを購入していません。
これは多くの方に当てはまるような気がします。
本当に購入したくなるCDなら購入するという考えも納得できますが、たぶんそれほど出ることは無いでしょう。レコード業界の売り上げを圧迫していることも確かでしょう。
だからといって罰則を法制化するのは仰るようにさまざまな人権侵害の問題が生じると思います。いずれにしても拙速な法制化だけは避けてもらいたいですね。

by tochimochi (2012-06-15 23:44) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
私も、ときおりレンタルショップを使いますが、ほとんどはDVDなどのビデオですね。
CDはやっぱり気に入ったものを買ってしまいます。
でも、レンタルショップがあるから、取り敢えず買わなくても良いと考えておられる方は多いと思いますね。
本を図書館で借りる人がたくさんいることとも繋がっているのかもしれません。
レコード業界の売り上げが落ちているのも、私は仰る通り、本当に購入したくなるCDがそれほど出てこないからだと思います。
今回の拙速な法制化が、政局のためだとするのであれば、与野党ともに何をか言わんや、という気がします。
by 伊閣蝶 (2012-06-15 23:57) 

のら人

おはようございます。
週末の天候悪に泣いております。 ^^;
さて、自分はあまり宜しくは無いのでしょうが、人様がアップしてくれたYOU TUBEを見る、聞く派ですので、最近は音楽に一切お金をかけておりません。
それも、たま~に!見る程度で、もう音楽への興味が無くなってしまったのかもしれません。 しかし、何時の日か田舎に住めるようになったら、大好きな山を眺めながらドボルザークの新世界ですね。 ^^
by のら人 (2012-06-16 09:16) 

伊閣蝶

のら人さん、こんにちは。
今週末はまとまった雨になりそうで、私も足止めです。
悲しい限りですね。
大好きな山を見ながら、ドヴォルザークの「新世界」!いいですねえ。
きっと、今のレコード業界にはのら人さんが、そのように思えるような魅力的な音楽や演奏がないということなのでしょう。
音楽にお金をかけない人たちのお話をお聞きすると、やはりそうしたところに行ってしまうように思います。
そしてそのことを私は、本当に尤もな感覚だと思っています。
レコード業界は自らの手で自らの首を絞める愚作をとっているような気がしてなりません。
by 伊閣蝶 (2012-06-16 12:57) 

don

2chが昨日この件で祭りだったので、読んでみたのですが、
いまひとつどこまでが違法かわからなかったです。
読んでる限りでは、ツタヤでレンタルCDをコピーして、
ウォークマンで聞いたら違法だとか、ユーチューブで
ダウンロードしたら違法だとか。。

これからゆっくりまとめサイトでも見てみようと思ってます。
しかしこの法案可決した人たちのセンスを疑います。

世界はフリーミアムとシェアに移行してるのに。。
by don (2012-06-16 13:51) 

夏炉冬扇

今晩は。
父の日に「何がいい」と聞かれたので「宗次郎」の最新作と言ってます。
自分には「贅沢」ですがほしいですね。
by 夏炉冬扇 (2012-06-16 21:32) 

伊閣蝶

donさん、こんばんは。
コピーガードの施されていないCDやDVDのコピーは大丈夫という整理みたいですから、レンタルCDをiPodなどに落として個人的に楽しむ分にはOKなのではないかと思います。
しかし、youtubeに関しては何だか良くわかりませんね。
私ももう少しきちんと法案を読んでみるつもりですが、仰る通り、こんな法案を通す連中のセンスを疑います。

by 伊閣蝶 (2012-06-16 23:01) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
「父の日」のプレゼントは、宗次郎のニューアルバムですか。
これは楽しみですね。
素敵なご家族をお持ちで、本当に幸せなことと存じます。
by 伊閣蝶 (2012-06-16 23:03) 

朝比奈 千歳

私はレンタルすら利用しませんね。CDはちゃんと買っているのはご周知の通りかとは思いますが、メジャー楽曲においては聴いてもいない。

海賊版云々よりも合法アップロードサイトは規制されないのかと。

個人で利用するならよくても、それを他者に広げてはならないのは知っていますが、それでPCの中身をほじくられるのではたまったものではありませんね。
by 朝比奈 千歳 (2012-06-18 16:16) 

伊閣蝶

朝比奈千歳さん、こんばんは。
私もレンタルショップで音楽CDを借りることはありません。
映画のDVDが中心ですが、それすらも近頃はとんと出かけなくなりました。
気に入ったCDがあれば購入することを考えますね。

いずれにしても、捜査にかこつけて個人のハードディスクの中身をほじくりかえされるのは勘弁して欲しいところです。
by 伊閣蝶 (2012-06-18 23:01) 

Cecilia

基本的にCDを”モノ”でほしいと思っています。しかし、ほしいものすべてを購入することができないこと、借家住まいでいずれ引っ越しがあることを考えるとおいそれと増やせないので、よほどのものでないと購入する気が起きません。
私は普段iPodなどを使わないのでダウンロードもしません。ご存じのようにNMLで聴くことが多いです。(これで実際にほしくなるCDも多いのですが。)
またレンタル店には自分が聴きたいものがあまりないので、DVDを借りることはあってもCDを借りることはほとんどありません。

>日常的に使いこんでいるPCであれば、そのハードディスクの中身は、正しくその人の思想や生活や趣味や嗜好などを映し出す様々なデータが格納されているわけで、しかもそれらは劣化することのないデジタルデータとして存在しているのです。
そのようなシロモノが、官憲に疑いをかけられたが最後、捜査の名目で暴かれ人目に晒されるのだとしたら、これ以上の人権侵害はないのではないでしょうか。

この部分、なるほど~と唸ってしまいました。
本当にPCや自宅の書棚というものはその人を表しますよね。
家族であっても伏せておきたい情報だってあります。(お互いに)

by Cecilia (2012-06-20 08:11) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
欲しいものを全てを購入することができない、本当にそうですね。
私もいろいろと物入りということもあり、CD一枚を購入するのもかなり熟考してしまいます。
NMLはいいシステムだなと思いますが、私はPCで音楽を聴く気にはどうしてもなれないので、二の足を踏んでしまいますね。
レンタルショップの音楽CD、私も同じように聴きたいものがないのでレンタルすることはほとんどありません。

>家族であっても伏せておきたい情報だってあります。(お互いに)

仰る通りです!
ここだけは自分の世界!というものがあればこそ、苦楽を共にすることもまた可能なのではないかと私は思います。
家族であってもプライバシーは尊重されるべきでしょう。

by 伊閣蝶 (2012-06-20 12:09) 

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