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交響楽団による「賞金1億円争奪コンクール」 [音楽]

今日はこの時期らしい暖かな日になりました。
早朝は霧が出ていましたが、出勤のために家を出る頃にはきれいな晴天となり、気温もぐんぐん上昇。
お昼には20度を超えました。
日比谷公園の桜は、昨日の風雨にもかかわらずまだ花弁が残っていましたが、もう萌黄色の若葉が伸びてきています。
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チューリップの花も盛りでした。
tulip0412.jpg

こうして花の姿に出会えるようになってくると、やはり心も浮きたちますね。

ところで、こんな記事がありました。

交響楽団による「賞金1億円争奪コンクール」橋下市長アイデアに賛否両論
大阪府と大阪市の統合本部会議で2012年4月10日、大フィルへの補助金約1億円の削減問題に関連して、橋下市長は、ひとつの例として、1億円の賞金を競わせるコンクールを大阪で開けば面白いのではないか、と発言した。

大フィルや文楽など文化活動への補助金を抜本的に見直すという方針を出している大阪の橋下市長、「文化についても努力に応じて助成をしていく」ということで、これはその「努力」を量る具体的なアイデアの一つのようです。

橋下市長の「政策」に対して意見を述べるのは控えたいと思いますが、大フィルのようなレベルにあるプロのオーケストラを、一体だれがどういう視点で「審査」するのでしょうか。
私には全く想像ができません。
また、橋下市長の抱く、こうした芸術活動において評価すべき「努力」とはどのようなものなのか。
一つの演奏における感動の度合いは聴衆によって千差万別であり、それこそ演奏内容の瑕疵の有無などという時点の話などではありません。
細かいところにミスがあろうとも、会場全体を感動の渦に巻き込んでしまう演奏に枚挙のいとまもないことは、実際に演奏会を聴いてきた私たち自身も良くわかっているところです。
演奏者と聴き手の互いの心が共鳴する演奏が、ただ単なる演奏技術の巧拙によるものだけで説明がつくはずもないのですから。
もちろん、多くの聴衆にアピールできるような魅力的なプログラムを組んだり、活動の場を大きく広げたり、素晴らしい演奏を届けるために団員が日々の研鑽に励むというような、そうした努力は当然のこととして取り組まれるべきであると考えるものではありますが。

ただ、今回のこの記事を読んで痛感したのは、やはり大フィルのように私たち聴衆に多くの感動と希望を与えてくれるオケを守り育てていくためには、私たち聴衆とそれを真から応援しようとする企業や個人の力で支えていくしかないのではないかということです。
行政のきまぐれによって命運が左右されるような、そんな浮き草のようなものにしていること自体に問題があるのでしょう。

今回のこの話、大フィルのメンバーはどのように受け止めているでしょうか。
大変気になります。

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hirochiki

昨日は、こちらもぽかぽか陽気でした。
仕事でよその部署へ行くときに外を歩いてみたら、とても暖かくて気持ちが良かったです。
でも、春はなかなかこのお天気が長続きしてくれないのが残念です。
大阪フィルハーモニーのことに関しては、素晴らしい演奏をいつまでも私たちに届けていただきたいと切に願います。
by hirochiki (2012-04-13 06:00) 

夏炉冬扇

お早うご゛さいます。
大阪、首長。どうも「強い」方は気性に合わないんです。気弱だからでしょうが…
by 夏炉冬扇 (2012-04-13 06:49) 

朝比奈 千歳

ただ札束ちらつかせりゃいいという問題ではないと思いますけどね。

仰る通り実力は二の次で指揮者・奏者・聴衆の三つ巴の関係の具合でホールの空調は完成される訳ですが、オケの団員や指揮者さんは目の前にニンジンぶらさげたまんま走り続ける哀れな馬ではないんですからこういう企画は愚問だと感じます。

努力だなんだと御託を並べる前に自ら現地に行き、熱狂的な大阪の聴衆の空気を身に受けてもらってから事物を考えて欲しいですね…

私もエラそうな事を言える立場ではないのですが…
by 朝比奈 千歳 (2012-04-13 06:53) 

tochimochi

橋本市長にはいつも危険なにおいがします。
白か黒かで切り捨てる劇場型政治のような・・・。
仰るとおり芸術は、演ずる側と観る聴く側との心の触れ合いがあるから感動すると思います。ただその活動を民間の側から支えていくとなると、芸術に関心を持つ方をより多く増やしていく必要があります。厳しい生活環境で暮らしている方も多い中、難しい問題と思います。

by tochimochi (2012-04-13 08:50) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
そちらもポカポカ陽気であられたとのこと。
今日は、日中、背広を着て歩くと汗をかくくらいの陽気になりました。
でも、仰る通り、またまた土曜日は冷たい雨の日になりそうです。
そろそろお天気も安定してほしいなと思います。
大フィル、何とか良い方向で存続し、いつまでも素敵な響きを届けて欲しいなと、私も切に願うところです。

by 伊閣蝶 (2012-04-13 19:11) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんばんは。
私も、「強い」方はどうも苦手ですね。私も「弱い」ので、どうしても違和感をぬぐい去ることができません。

by 伊閣蝶 (2012-04-13 19:15) 

伊閣蝶

朝比奈千歳さん、こんばんは。
目の前にニンジンをぶら下げて、というご指摘に思わず頷いてしまいました。
ただ、この場合、当の演奏者にとってそれが必ずしも「ニンジン」ではない可能性が高いようにも感ぜられます。
そういえば現大阪市長は、クラシック音楽にはほとんど興味がないようなことを表明していましたね。
そういう人を振り向かせることができればいいのでしょうが。

by 伊閣蝶 (2012-04-13 19:16) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
tochimochiさんもそう感じられますか。
彼はいつも「選挙の結果」とか「市民の意思」を掲げて発言をされているように思われますが、その折に彼に投票しなかった人は、やはり「敵」という考え方なのでしょうか。
自分に票を入れなかった人など知ったことではない、ということではまさかないのでしょうけれども。
確かに民間の側から芸術活動を支えていくのは大変に厳しいものがあると思います。
地道にファンを増やすということしかないのかもしれませんが、その想い半ばで楽団が破綻しては意味がないことでしょうし。
by 伊閣蝶 (2012-04-13 19:17) 

般若坊

独裁的政治家にとって良い音楽、良い楽団とは、自分の為に奏でてくれる物を云うのでしょう。(ヒットラーが良い例です)
橋下氏が音楽を理解できているのかどうかは別にして、最近の彼の視点は大きく外れつつあるようです。大阪ほど生活保護世帯の多い都市はない。はっきり言えはたかり世帯です。2代も3代も生活保護世帯であるっておかしくないですか?この実情を橋下のやぶ睨みと云わずして何というのでしょうか?
音楽まで政争の取引に使われてはかなわない。音楽は国民の教育であり、安らぎなんですよ!黙って金を出していればいいんです。
by 般若坊 (2012-04-13 19:59) 

朝比奈 千歳

追記です。
仰る通り当の本人方からしてみれば雲を掴むような機会であることは訂正しなければならないでしょう。

しかしながら、以前ヒロノミンさんが私の記事にコメントしてくださったように、オケはビジネスでも金の亡者もいない葛藤についても触れなければなりません。

大阪府民ではないのですが、たとえ私たち聴衆の負担が増えたとしても、一ファンとしての結束力はより強固になる事でしょう。この時代ファンという概念そのものが希釈されている今だからこそ、誇り高く拳を振り上げる時なのではないでしょうか。大袈裟な話かもしれませんが。
by 朝比奈 千歳 (2012-04-14 00:48) 

don

現状を変えるには、刺激と変化が必要ということなのでしょう。
橋下さんの目には、大フィルも既得権に映ったのでしょうね。

ある種の文化は、保護すべきだと思います。線引きが難しいのですが、
個人的には、大フィルは保護すべきだと思います。
by don (2012-04-14 14:07) 

伊閣蝶

般若坊さん、こんばんは。
熱いご意見、ありがとうございます。
ヒトラーやスターリンのように、音楽に一定の思い入れがあればまだしもその範疇での「逃げ場」もありましょうが、無関心ほど始末に負えないものはないのかもしれません。
生活保護の問題が、なぜこれまであまり表立って議論されてこなかったのか不思議でなりません。
本当に生活保護が必要な人が受けられなかったり、どうみても不正受給にしか感ぜられない例があったり、きちんとした見直しは絶対に必要ですね。
音楽を政争の具に使われるのだけは、ご勘弁願いたいところです。

by 伊閣蝶 (2012-04-14 19:18) 

伊閣蝶

朝比奈千歳さん、こんばんは。
再度のコメント、ありがとうございました。
ファンの結束力をより強固にする、ということ。またそのことに「誇り高く」して取り組むということ。
これは確かに私たちファンに突きつけられた課題なのかもしれません。

by 伊閣蝶 (2012-04-14 19:18) 

伊閣蝶

donさん、こんばんは。
橋下市長の抱いている、変えなければならない文化や芸術関係の「現状」が何であるのか。
金以外にどのような尺度があってそれを云い募るのか、そのあたりが無知蒙昧な私などにはなかなかに判りかねるところではあります。
文化の保護に必要な線引きも、現にその「文化」によって喜びや生き甲斐を感じている人がいる場合、行政の長という公的立場にある人(市民の幸せをまず第一に考えるべき人)がそのことに対してどのような哲学や思想に基づいてそれを行えるのか。
本当に判らないことばかりです。

by 伊閣蝶 (2012-04-14 19:19) 

ヒロノミンV

 ご無沙汰していました。この橋下氏の提案(といいますか、思いつき)の滑稽さは、皆さんのコメントで出尽くしていると思いますので、一点だけ。
 今回の事に限らず、一連の橋下府知事・市長の発言・政策によって、大阪と言う街が失った信用や信頼感、文化的な発信力は、計り知れないものがあると思います。
 事実、関西の音大卒業生の就職希望先は『京都市交響楽団』だそうです。オケ団員はそもそもが、その投資額に比して薄給で、最後のよりどころはプロ奏者としての矜持と、地域や聴衆からの支持。
 しかし、ここまでコケにされてしまっては、芸術家が寄りつかない街になってしまいます。その損害は、大フィルや解雇される大阪市音楽団へ投じるお金、年間数億円をはるかに超えるダメージを、じわじわと『文化都市・大阪』に与えて行っていると思います。
 何十年かしてから、その損失の大きさに気付くことになるのでしょうが・・・。今はみんなお金の話しか出来ない状況なんでしょうね。
by ヒロノミンV (2012-04-15 01:34) 

伊閣蝶

ヒロノミンVさん、こんにちは。
こちらこそご無沙汰を致しております。
ご異動など大変ご多忙なご様子と拝察致しておりました、お変わりなくお過ごしのご様子で、嬉しく存じます。
ヒロノミンVさんの記事を拝読し、迂闊ながら大阪市音楽団に対する苛烈な仕打ちを初めて知った次第です。
大阪市は「文化都市」という形容を称号だとは思っていないということなのでしょう。
仰る通り、年間数億円の助成金節約と引き換えに、恐らく大切なものを失うことになるのではないかと考えます。
それが本当に大阪市民の総意だと、かの首長は主張するのでしょうか。
by 伊閣蝶 (2012-04-15 15:03) 

Cecilia

まったく仰るとおりだと思います。
音楽などの芸術に関わるものは”無駄なもの”として真っ先に切り捨てられることが多いですが、政治に関わる方にはその価値を理解してほしいです。また理解できる方が政治に関わるべきだと思います。

by Cecilia (2012-04-25 10:05) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
本当に仰る通りで、芸術に理解のない人が、効率性や合理性のみに着目してこれを切り捨てるようなことをしてほしくないと、私も思います。
そうした文化的財産を大切にすることによって、単なるお金以上に得られる果実は大変大きいのではないかと考えますから。

by 伊閣蝶 (2012-04-25 12:20) 

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