SSブログ

名門音響機器メーカー「山水電気」が倒産 [オーディオ]

昨日は大変な春の嵐になりました。
台風並みの勢力をもった低気圧ということで、日本列島の各地に甚大な被害を齎し、死者まで出ています。
長かった冬がようやく終わりを告げるか、と思った矢先のことで、改めて自然の脅威を思い知りました。

今日は一転して快晴となっています。
朝のうちはちょっと風が強く、気温も低かったのですが、明日は少し気温も上がるようですね。
週末はお花見が楽しめるでしょうか。
帰り道、夜空にきれいなお月様が浮かんでいました。

1944年創業の名門音響機器メーカー「山水電気」が、とうとう倒産してしまいました。

名門・山水電気が経営破たん…支援会社の倒産で

au-9500.jpg山水電気といえば、例えば名器と謳われた「AU-9500」に代表されるように、ちょっと無理をすれば手が届く値段の機器からハイエンド機まで、幅広いラインナップを誇るオーディオメーカーの雄でした。
私も高校生時代に、山水のトランスを苦労して購入し、管球アンプを作ったりした経験がありますので、実に無念です。
新聞記事によれば、上場はしていたものの、従業員は5名だったとのことで、音響機器修理などでやっと糊口をしのいでいたとのこと。
音にこだわるうるさ型のオーディオファンが激減していくとともに、こうした中間層をターゲットにしたメーカーの存在意義がだんだん薄れてきてしまったのはやむを得ないことかもしれませんが、これも時代の流れというものなのでしょうか。

「AU-9500」のようなハイレベルのプリ・メインアンプを123,000円という価格で販売するというコンセプトは、私としては大変貴重な心意気だと思っています。
「山のごとき不動の理念と水の如き潜在の力」を社是として「山水」の名を冠し「高品質・高信頼性」を追求した、日本有数のオーディオメーカーが、このような形で終焉を迎えてしまう。
何ともいえない寂寞感に浸ってしまいました。

なお、高品質を誇った山水のトランスは橋本電器株式会社に引き継がれ、現在でも販売されています。
一次側インピーダンス5kΩ・100Wのプッシュプル用アウトプットトランス(HW-100-5)で5万円と、結構な値段がしていて目をむいてしまいますが(私が真空管アンプを作っていた頃は2万円弱で買えたような気がします)、それでもちゃんと生産されていることで、何だか少し安堵しました。

先に述べたAU-9500、今でもオークションに出れば4万円くらいの値段がつくようです。
それなりに価値はきちんと認識されているのだなと、その点は少しほっとしているところですが。

nice!(22)  コメント(11)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 22

コメント 11

hirochiki

昨日は、思いもかけぬ春の嵐が吹き荒れ大変な一日になってしまいましたね。
被害に遭われた方たちは、本当にお気の毒だと思います。
伊閣蝶さんのお宅やご実家は、大丈夫でしたでしょうか。
今日は、私の部署で年に一度の大切な行事があり帰宅が遅くなってしまいました。
山水電気が倒産してしまったことはとても残念ですが
山水のトランスは他の会社に引き継がれているとのことで、良かったですね。
明日は気温が上がるのですか。
今日は、とても寒い一日だったのでほっといたしました。

by hirochiki (2012-04-04 22:16) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
昨日の嵐、全国的に相当な被害が広がっているようですね。
電信柱がなぎ倒されている映像には、さすがに驚かされました。
幸い、私の自宅も実家も特に被害はなく安堵しております(ただ、実家は雪が舞ったそうですが)。
ご心配をいただきありがとうございました
hirochikiさんのお宅やご実家は大丈夫でしたでしょうか?
今日はお仕事も大変だったご様子。お疲れ様です。
山水電気の倒産はさすがに残念でしたが、その技術を継承してくれるところがあるだけでもありがたいことだと思います。
ところで、明日から気温は上がってくるようですよ。
こちらも寒い一日でしたから、ありがたい限りです。
by 伊閣蝶 (2012-04-04 23:42) 

ムース

実家のオーディオが昔SANSUIだったのが思い起こされます。当時は面白がって運命交響曲をよく聴いたものでした。最近はそういえば製品を見かけなくなりました。時代の流れについていけないとなかなか厳しいかもしれません。
by ムース (2012-04-04 23:58) 

夏炉冬扇

お早うご゛さいます。
マニアはさびしいむですね。日本では製造業は苦しいわけだ!
by 夏炉冬扇 (2012-04-05 07:52) 

伊閣蝶

ムースさん、こんにちは。
ご実家ではSANSUIをお使いでしたか。
時代の流れ、確かにそうした側面はあるのでしょうが、はやりすたりに左右されない価値というものもあるのではないかと思うにつけ、何だかやるせなくなります。
by 伊閣蝶 (2012-04-05 12:40) 

伊閣蝶

夏炉冬扇さん、こんにちは。
コスト競争力という、まともに立ち向かっては労働単価などの安い新興国には到底太刀打ちできない地平で闘いを強いられているところに、実に虚しいものを感じます。
これではいつまでたってもデフレからは脱却できないのでしょうね。
by 伊閣蝶 (2012-04-05 12:42) 

tochimochi

少年時代は山水のトランスとマブチのモーターで遊んでました。
といっても既にトランジスタの時代でしたから、真空管に触れる機会はなかったですが。
長じてオーディオ関係の回路設計を糧とするようになり、音響機器メーカーの山水を意識するようになりました。しかしCDに始まるディジタル化とともにかつてのオーディオ御三家は衰退の一途をたどるようになりました。
山水がなぜ上場維持しているのか不思議でしたが、とうとうこの日が来てしまいました。これも時代の流れですね。私も今はガチガチのディジタルの世界を彷徨ってます。
by tochimochi (2012-04-05 21:17) 

伊閣蝶

tochimochiさん、こんばんは。
マブチモーター、私も子供の頃、これで遊んだ世代です。
私がアンプの製作などに血道を上げていた頃は、まだ真空管が主体でしたので、山水のトランスは価格面でもありがたい存在でしたね。
ソリッドステートは、まだあまり安定したいませんでしたから。
山水がずっと上場を維持していたこと。
私も不思議に思いつつ、たいしたものだなと思っていましたが…。
私は未だに音楽に関しては、どうしてもアナログ的な感覚を捨てきれません。
by 伊閣蝶 (2012-04-06 00:38) 

Cecilia

山水電気は何となく知っているという程度でした。残念ですね。
高品質・高信頼性を追求するメーカーには頑張ってもらいたいです。
by Cecilia (2012-04-06 11:40) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
山水電気は、確かに知名度の点ではちょっと足らない部分もありますが、誠実な会社であったと思います。
こうした会社が、次々に消えていくことは、本当に無念なことですね。
by 伊閣蝶 (2012-04-06 12:53) 

don

山水が倒産ですか。。
そういえば、SANYOもパナに吸収ですしね。
諸行無常です。
by don (2012-04-07 18:56) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0