MILES DAVIS「’Round About Midnight」 [音楽]
寒い日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
気温が低いのもさることながら、冷たい風は本当に身にしみます。
昔、鼻毛やまつ毛が凍るのも厭わずに山に登っていた頃のことを思えば、何たる軟弱かと鼻白みますが、寄る年波というのでしょうか、やっぱり寒さは応えますね。
それでも、晴天が続いていることもあり、夜半には上限の月がひときわ美しく輝いています。
今夜も帰宅しながら眺め、何ともいえない輝きに見惚れてしまいました。
絹の手触りのように美しく艶やかな文章から深い教養と熱い想いがにじみ出てくる、私の川柳の師匠でもある蚤助さんのブログ、これは私の一番のお気に入りなのですが、1月21日の記事にもまたまた深く感じ入っています。
#405:真夜中ごろは…
Thelonious Monkの「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」は、私のようなJazz門外漢でも知っている名曲ですが、蚤助さんがお取り上げになったマイルス・ディヴィス率いるオリジナル・クインテットによる「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」の演奏は、迂闊にもこれまで全く聴いたことがありませんでした。
というわけで、早速、ネットで購入。
本日、帰宅したら届いていましたので、包みをほどく手ももどかしく聴いたのでした。
MILES DAVIS「’Round About Midnight」
収録曲は以下の通りです。
1から6までは1956年リリース当時のオリジナルであり、2001年のCD化に当たって同時期のレコーディング・セッションから4曲をボーナストラックとして納められるようになりました。
メンバーは以下の通りです。
こうして書き写しているだけでも唸ってしまうほどすごいメンバーですよね。
マイルスを中心とする、この素晴らしいメンバーでの真剣勝負のようなセッションがめくるめく展開されていきますが、何といってもアルバムタイトルである1の「'Round Midnight」の演奏が突出しています。
蚤助さんはこの演奏について次のように記されています。
正に真夜中、私は何度も繰り返し聴きましたが、何もいうべき言葉を持ちません。
的確かつ美しい蚤助さんの文章のみで、その素晴らしさは十分に伝わるのではないかと思いますから。
それにしても、マイルスのビブラート・コントロールには、いまさらながらですが驚嘆せざるを得ません。
冒頭の息の長いテーマを、全く揺れることのないノンビブラートの研ぎ澄まされた音で吹ききり、中間部で高音域の音に展開する場面ではここぞという個所で微妙なビブラートを効かせる、そして、エンディングでは思い入れたっぷりに、しかしそれでいて控えめで印象的なビブラートを響かせる。
マイルスほどのプロなんだから当たり前じゃないかといわれればその通りかもしれませんが、私も長いこと管楽器を演奏してきましたし、声楽もやってきましたから、揺れのないノンビブラートで、しかもぶら下がらない音を長時間持続することがどれほど大変なことかわかっているつもりです。
相当の技術に加え、腹筋や背筋や横隔膜のコントロールを自在に行えなければ、とても完璧にこなすことはできないのではないでしょうか。これは私の実感ですが。
テナー・サックスが、まるで咽び泣く人の声のようだといわれることはよくあるのですが、マイルスのペットも同じように響き、聴いているうちに、それが楽器によるものなのか、楽器ならばどのような楽器なのか、それとも人の声なのか、判然としなくなってしまいました。
2の「Ah-Leu-Cha」の演奏に移って、ハッと我にかえったような次第です。
この演奏はYouTubeにもアップされていましたので、宜しければお聴きください。
'Round Midnight
その2の「Ah-Leu-Cha」では、一転して速いパッセージの超絶技巧的な演奏が繰り広げられます。
マイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンの絶妙な掛け合いも見事です。
この曲の作曲者はチャーリー・パーカー(バード)なのですね。なるほど。
ところで、聞くところによると、この感動的なレコーディング・セッションは、何れの曲もほとんどワンテイクで録音されているそうです。
正に天才入魂の境地というべきで、実に驚くべきことではありませんか。
1956年のモノラル録音であるのにもかかわらず、音質も極めて良好で、何度も聴いているうちに、真夜中の様々な情景が眼前に展開してくるかのような興奮を味わいました。
1956年は私が生まれた年なのですが、その頃にこのような歴史的名演がレコーディングされていたとは、何だか俄かには信じられないような気持ちです。
長い夜に、これまでに過ごしてきた過去の時間を振り返りながら聴こうと思う、また新たな一枚の出現に思わず頬が緩んでしまいました。
気温が低いのもさることながら、冷たい風は本当に身にしみます。
昔、鼻毛やまつ毛が凍るのも厭わずに山に登っていた頃のことを思えば、何たる軟弱かと鼻白みますが、寄る年波というのでしょうか、やっぱり寒さは応えますね。
それでも、晴天が続いていることもあり、夜半には上限の月がひときわ美しく輝いています。
今夜も帰宅しながら眺め、何ともいえない輝きに見惚れてしまいました。
絹の手触りのように美しく艶やかな文章から深い教養と熱い想いがにじみ出てくる、私の川柳の師匠でもある蚤助さんのブログ、これは私の一番のお気に入りなのですが、1月21日の記事にもまたまた深く感じ入っています。
#405:真夜中ごろは…
Thelonious Monkの「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」は、私のようなJazz門外漢でも知っている名曲ですが、蚤助さんがお取り上げになったマイルス・ディヴィス率いるオリジナル・クインテットによる「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」の演奏は、迂闊にもこれまで全く聴いたことがありませんでした。
というわけで、早速、ネットで購入。
本日、帰宅したら届いていましたので、包みをほどく手ももどかしく聴いたのでした。
MILES DAVIS「’Round About Midnight」
収録曲は以下の通りです。
- 'Round Midnight
- Ah-Leu-Cha
- All Of You
- Bye Bye Blackbird
- Tadd's Delight
- Dear Old Stockholm
- Two Bass Hit
- Little Melonae
- Budo
- Sweet Sue, Just You
1から6までは1956年リリース当時のオリジナルであり、2001年のCD化に当たって同時期のレコーディング・セッションから4曲をボーナストラックとして納められるようになりました。
メンバーは以下の通りです。
マイルス・デイヴィス(トランペット)
ジョン・コルトレーン(テナー・サックス)
レッド・ガーランド(ピアノ)
ポール・チェンバース(ベース)
フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラム)
こうして書き写しているだけでも唸ってしまうほどすごいメンバーですよね。
マイルスを中心とする、この素晴らしいメンバーでの真剣勝負のようなセッションがめくるめく展開されていきますが、何といってもアルバムタイトルである1の「'Round Midnight」の演奏が突出しています。
蚤助さんはこの演奏について次のように記されています。
マイルスのシルキーなミュートと、まとわりつくようなコルトレーンのオブリガードが、文字通り真夜中の雰囲気を色濃く漂わせ、時に耳をつんざくようなマイルスのミュートの高音が次第に緊張感を高めていきます。
ガーランドの消え入るばかりの密やかなピアノに続いて、闇を切り裂くファンファーレのようなアンサンブルとドラマティックなコルトレーンのテナー・ソロが続きます。
エンディングは、マイルスのミュートとコルトレーンのオブリガードで再び夜の静寂へと帰っていきます。
実にドラマティックに演出されたアレンジですが、担当したのはギル・エヴァンスで、この後、マイルスとのコラボレーションでその才能を大きく開花させていくことになります。
正に真夜中、私は何度も繰り返し聴きましたが、何もいうべき言葉を持ちません。
的確かつ美しい蚤助さんの文章のみで、その素晴らしさは十分に伝わるのではないかと思いますから。
それにしても、マイルスのビブラート・コントロールには、いまさらながらですが驚嘆せざるを得ません。
冒頭の息の長いテーマを、全く揺れることのないノンビブラートの研ぎ澄まされた音で吹ききり、中間部で高音域の音に展開する場面ではここぞという個所で微妙なビブラートを効かせる、そして、エンディングでは思い入れたっぷりに、しかしそれでいて控えめで印象的なビブラートを響かせる。
マイルスほどのプロなんだから当たり前じゃないかといわれればその通りかもしれませんが、私も長いこと管楽器を演奏してきましたし、声楽もやってきましたから、揺れのないノンビブラートで、しかもぶら下がらない音を長時間持続することがどれほど大変なことかわかっているつもりです。
相当の技術に加え、腹筋や背筋や横隔膜のコントロールを自在に行えなければ、とても完璧にこなすことはできないのではないでしょうか。これは私の実感ですが。
テナー・サックスが、まるで咽び泣く人の声のようだといわれることはよくあるのですが、マイルスのペットも同じように響き、聴いているうちに、それが楽器によるものなのか、楽器ならばどのような楽器なのか、それとも人の声なのか、判然としなくなってしまいました。
2の「Ah-Leu-Cha」の演奏に移って、ハッと我にかえったような次第です。
この演奏はYouTubeにもアップされていましたので、宜しければお聴きください。
'Round Midnight
その2の「Ah-Leu-Cha」では、一転して速いパッセージの超絶技巧的な演奏が繰り広げられます。
マイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンの絶妙な掛け合いも見事です。
この曲の作曲者はチャーリー・パーカー(バード)なのですね。なるほど。
ところで、聞くところによると、この感動的なレコーディング・セッションは、何れの曲もほとんどワンテイクで録音されているそうです。
正に天才入魂の境地というべきで、実に驚くべきことではありませんか。
1956年のモノラル録音であるのにもかかわらず、音質も極めて良好で、何度も聴いているうちに、真夜中の様々な情景が眼前に展開してくるかのような興奮を味わいました。
1956年は私が生まれた年なのですが、その頃にこのような歴史的名演がレコーディングされていたとは、何だか俄かには信じられないような気持ちです。
長い夜に、これまでに過ごしてきた過去の時間を振り返りながら聴こうと思う、また新たな一枚の出現に思わず頬が緩んでしまいました。
本当に寒さが身に沁みますね。。。
今夜の名古屋は雪が降るのではないかと思うほど寒いです。
マイルス・ディヴィスは、phirochikiが「トランペットの神様」のような人だと常々申しております。
寒い夜でも、このような素晴らしい音楽を耳にすると暖かくなりますね。
思わず頬が緩んでしまった伊閣蝶さんのお気持ちがわかるような気がします。
でも、くれぐれもあまり夜更かしはされませんように(笑)
by hirochiki (2012-02-01 19:12)
hirochikiさん、こんばんは。
名古屋も相当な冷え込みのようですね。
予報でも雪の可能性に触れていましたが、如何でしょうか?
インフルエンザも流行っている折から、どうぞくれぐれもお気を付けになって下さい。
ところで、phirochikiさんもマイルスのことを良くご存知でいらしたのですね。
「トランペットの神様」正しくその通りと私も賛同します。
昨日はついついのめり込んでしまいましたが、やはり仕事に差し障りがありますので、ちょっと控えようかなと思っています。
by 伊閣蝶 (2012-02-01 23:57)
これぞジャズ!の名盤ですね^^
深夜のショットバーで一人聞きたい1枚です。
by don (2012-02-04 15:56)
donさん、こんばんは。
真の名盤です!
深夜のショットバー、ぴったりですね。
そして、すみれ色に染まっていく朝焼けを眺めたりする…。
バーボンのロックを傾けながら、などという感じでしょうか。
by 伊閣蝶 (2012-02-04 16:33)
夫がジャズも好きでマイルス・デイヴィスもジョン・コルトレーンも何枚かCDがあります。(すぐに聴きたくてもすぐに取り出すことができませんが。涙)
コルトレーン、学生時代の友人が入っていたジャズダンスサークル名で知りました。
by Cecilia (2012-02-13 08:25)
Ceciliaさん、こんにちは。
ご主人、ジャズもお好きなのですね。マイルスもコルトレーンも、その世界では大変なビッグネームですから、ご主人のコレクションから是非ともお聴き頂きたいと思います。
そういえば、日本のモダンジャズ・サックスの名手である坂田明さんが高校生だった頃、来日したコルトレーンの演奏に衝撃を受け、無意識のうちにコルトレーンの楽屋に会いに行ってしまったことがあるそうです。
コルトレーンは、この直情径行な少年に励ましの言葉と握手で応えてくれたそうで、坂田さんのその後は、この出来事によって決定づけられたとのことでした。
by 伊閣蝶 (2012-02-13 12:19)