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パブロ・ピカソ生誕130年 [日記]

柔らかな陽射の暖かな晴天の朝となりました。
陽射のおかげで、お昼には汗ばむほどの陽気となり、半袖でも十分なくらいです。
でも、今夜からは北風が吹いて、一気に気温は下がるとのこと。
気温の変動が著しいので、気をつけないといけませんね。

今日は、パブロ・ピカソの生誕130年なのだそうです。
余談になりますが、ピカソの本名は長いことで有名で、「パブロ、ディエーゴ、ホセ、フランシスコ・デ・パウラ、ホアン・ネポムセーノ、マリーア・デ・ロス・レメディオス、クリスピーン、クリスピアーノ、デ・ラ・サンティシマ・トリニダード」が名、姓は「ルイス・イ・ピカソ」とのこと。
因みにスペインでは、姓を父方と母方と順番に併記するのが一般的です。つまり父方の姓がルイスで母方はピカソということですね。
ピカソの芸術に関して、門外漢である私が語るべき言葉など全く持ち合せておりませんので、どうかネット上に数多ある関連サイトで、130年の重みを感じて下さいますように。
それでも私は、彼が14歳のときに描いたという「The First Communion(初聖体拝領)」を初めて観た時の衝撃を忘れることができません。
初聖体拝領(ピカソ)
ピカソの父親もまた画家でありましたが、9歳のときに息子の描いた絵を見てその圧倒的な才能の違いに愕然とし、ピカソ14歳のときに画家を廃業した話はあまりに有名ですね。
この絵を見れば、それも宜なるかな、と思います。
こうした古典的かつ基本的なデッサン力やメチエが確立していたからこそ、「青の時代」「バラ色の時代」やキュビスムへの傾倒、シュルレアリスムなど、時代の最先端を歩む革新的な画法を、ピカソは絶対的な自信を持って試みることができたのでしょう。

近年は、何らの修行も積まずに(つまり絵画の基礎的な技術を会得することもなく)感覚のみに頼って描いた絵などを、評論家やマスコミがこぞって称賛する傾向が強くなってきていて、正直に申し上げどこがいいのか私などにはさっぱり分からない「アート」が人気の的となっているような現象にしばしば出くわします。
別に好みの問題ですからそれはそれでいいのではないかとも思いますが、例えばルーベンスのようなフランドル絵画やレンブラントの絵を観ていると、細部にわたる極めて精緻な表現技法にため息をつかざるを得ません。
金や銀といった「光る」題材を表現する際、ベースを黒で描いてその上に金であれば黄色を基調とする暖色系の絵の具を重ねていき、その画面構成の上から予測される光線の方向や強さを書き込んで作り上げるといった技法が施されます。
はたから見ると、それがあたかも金や銀に見えるというわけで、こうした技術は、やはり工房などでの修行によってしか身につかない類のものではないでしょうか。
レンブラントやフェルメールの絵画を観ていると、絵の表現において光というものが如何に重要な要素であるかが痛感されますが、現代でも、美術学校のカリキュラムの中には、透明なコップの中に水を満たして氷を入れ、そこに透明なパイプを差し込んで光を当てている題材を写生する、などという課題があるそうです。

こうした修練を迂遠なものとして忌避し「描きたいものを描けばそれでいいのだ」という行き方も、それはそれでその方の感性や個性に基づくものですから他人がどうこう口をさしはさむべきものではありますまい。
しかし、そうした「アート」が、先にあげたルーベンスやレンブラントやフェルメールなどの作品のように永遠の生命を得て息長く人々の目を楽しませ心の滋養を与え続けてくれるかどうか、といわれれば、さあ果たしてどうなのでしょうか。

幼童でも富士山の絵を描くことはできますが、生涯においてあれほどの富士の絵を描きながらも横山大観は決してその出来に満足をしなかったのではないかと思われます。
対象となる富士山という存在が、それを見る人の目に応じて様々な存在感と重みを齎すからに他ならないのでしょう。
描くべき対象を己の心の中で明確に具現化するためには、その目と受け止める心と表現のための技法を鍛え続けなければならない。
絵画とはつくづく奥深く恐ろしい世界なのだろうな、と、ピカソの生誕記念日にあたってしみじみと思い返してしまいました。

バタバタと書いてしまったので、いつにもまして支離滅裂ですが、何卒ご容赦のほどを。
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kawasemi

nice&コメントありがとうございます。
今日は、気持ちの良い天気です。
どこの家もベランダには沢山の洗濯物が干されています。
by kawasemi (2011-10-25 14:00) 

Cecilia

故郷に美術館ができた時に最初に開催されたのがピカソ展だったと記憶しています。私は芸術科目は美術を選択していましたので(音楽は部活があるし・・・と。)、授業で鑑賞しに行きました。正直今でもキュビズム・シュールレアリズムの絵はわからないのですが、若い時期に基本的・古典的なものがしっかりとできあがっていたということを展覧会で知り、納得した思い出があります。




by Cecilia (2011-10-25 16:59) 

伊閣蝶

kawasemiさん、こんばんは。
こちらこそ、nice!とコメント、誠にありがとうございました。
今日は暖かな気持ちの良い天気でしたね。
私も昨晩、本日の好天を見込んで洗濯をしました。
きっと洗濯ものも喜んでいることでしょう(それを着る私たちが嬉しいのですンが)。
by 伊閣蝶 (2011-10-25 17:59) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんばんは。
学生時代の芸術科目は美術を選択なさっておられたのですか。
私も今振り返ってみれば、その方が良かったなと思っています。
高校時代に音楽を選択していたことで、絵画に関してはさっぱりでしたから。
それにしても、授業でピカソ展の観賞とは羨ましい限りです。
シュルレアリスム、私は、ルネ・マグリットの絵を観て衝撃を受け、それからかなりのめり込みました。
アンドレ・ブルトンや、その先駆となるフーゴー・バルとかトリスタン・ツァラを読んだり、ダリやフランシス・ベーコンなどの絵画にも目を見張ったものでした。
今でもベーコンの絵は大好きですね。
でも、こうした絵画も、やはり基本となる技法を身につけて初めて力を得るものだろうと思われます。
ピカソはその象徴的な存在でしょう。
by 伊閣蝶 (2011-10-25 18:08) 

hirochiki

ピカソは、母方の姓なのですね。
この記事の中の絵画は、とても14歳の男の子が描いたものには見えませんね。
きっと観察力も鋭かったのではないでしょうか。
絵画も音楽と同様、奥が深い世界ですね。

ところで、今夜から一気に気温が下がるとのことですのでくれぐれも体調管理にはお気をつけください。
私も、明日から三日間は仕事でバタバタしそうなので、風邪を引かないようにしたいと思います。
by hirochiki (2011-10-25 19:47) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
ピカソは母方の姓で、スペインでは珍しい姓なのだそうです。
父方のルイスはありふれた姓なので、ピカソ自らが姓名を短縮したときに、母方の姓を取ったとの事。だから「パブロ・ピカソ」なのですね。
「初聖体拝領」すごい絵ですよね。仰るとおり、観察眼も含めて類稀なる才能を有していたのでしょう。
美術学校でなど学ぶべきものはないと退学してしまった気持ちも良くわかります。
音楽もそうですが、誠に芸術とは奥深い世界だとしみじみ思いました。

ところで、早速今日の帰宅時から冷え込んできましたね。
明日は、今日に比べて10度近く気温が下がるようです。
明日からお仕事でお忙しいご様子。
どうぞ、くれぐれも体調管理にはご留意ください。
お互いに風邪など引かないよう、気をつけましょう。
by 伊閣蝶 (2011-10-25 23:47) 

kawasemi

nice&コメントありがとうございました。
風邪の対策できていますか。
ワクチンが品不足のようです。
by kawasemi (2011-10-26 09:25) 

伊閣蝶

kawasemiさん、おはようございます。
再度の温かなコメント、誠にありがとうございました。
今日は予報通りの寒さになりました。
さすがに長袖シャツに上着で出勤しております。
ワクチンが不足しているとのこと。
風邪には十分に気をつけたいものですね。
by 伊閣蝶 (2011-10-26 09:34) 

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