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「シベールの日曜日」DVD版におけるカットについて [映画]

蒸し暑くなりました。
立秋を過ぎたというのに、むしろ暑さは本格化です。

日比谷公園では夏の花たちが元気いっぱい。
向日葵が厳しい陽射を受けて輝いていました。
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ほとんど白色に近い薄桃色の百日紅の花。何とも風情がありますね。
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こちらは百日紅らしい桃色の花です。
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昨晩はことのほか蒸し暑く、とうとうクーラーをかけて寝てしまいました。
設定温度は30度なのですが、風が当たるせいか、寝ていると体が冷えてくるので途中でいったん切り、暑くなったらまた入れる、というような具合でなかなか熟睡ができません。
毎度のことですが、辛い時期を迎えました。
節電のこともあるので、なるべくクーラーは控えようと思っていますが、熱中症になっては元も子もありませんから気を付けないといけませんね。

ところで、昨日アップした「シベールの日曜日」に関し、DVD版についてもうひとつ、ちょっとだけ気になった点をご報告しておきたいと思います。

この映画に関してはいくつかのバージョンが存在するようだと、本文に書きましたが、このDVD版では、ラストでいくつかのカットが施されています。
まず、ピエールが教会の屋根の風見鶏を盗み取りに行く場面で、屋根までの往路、合唱の指揮をしている人の前を通り過ぎるシーン(帰路、同じ人物の前を風見鶏を持ってピエールが通り過ぎるシーンは残っている)、雪の中を風見鶏を引きずりながらシベールのもとに向かうシーン、待ちくたびれて眠っているシベールにナイフ片手でピエールが近付くシーン、ピエールを射殺する銃弾の音、などです。

教会の中で合唱の指揮をしている人物の前を、往復でピエールが通り過ぎているのに(しかも復路では大きな風見鶏まで持っている)、音楽に没頭している彼がピエールに気付かないシーンは、この映画の中では数少ない「笑える」場面ですので、ここのカットは残念ですが、他のシーンのカットに関しては私としてはそれぞれにそれなりの効果を生むのではないかと思います。

第一次インドシナ戦争に従軍した折、航空機からの機銃掃射で少女を射殺し、そのショックから記憶喪失になったピエールが、フランソワーズとの出会いをきっかけに少年に帰ってもう一度自己を取り戻していく過程を、二人の心の通い合いをもって描こうとしたこの映画の主題からすれば、眠っているシベールにナイフを持って近づくという、周囲が勝手に決めつけた変質者まがいの行為をわざわざ挿入する必要はないのではないかとも考えます。
ただ、もしかすればその可能性(ピエールが変質者であるとする可能性)もないわけではない、という含みを持たせる効果を狙うのだとすれば、確かにこのシーンの存在は大きいのかもしれません。
とはいえ、最初からこの映画を観ている観客の立場からすれば、シベールを殺すことによってピエールが自分の記憶(アイデンティティ)を取り戻そうとする、などと主張するベルナールの発想の方に無理があると考えるのが普通ではないかと思います。
しかしそれでも、もしかすればピエールにそうした危険な兆候が全くないとは言い切れないのではないか、などと逡巡するのもまた、観客としては興に乗る部分でしょう。

これはある種、好みの問題となるかもしれませんね。

私としては、やはりこれらのシーンはカットせずに全て残しておいてもらいたかったなとは思います。
事実、ノーカット版で観た最初の印象では、ピエールの行動がそのどちらに与していたのかが疑問として残り、そのことによってさらに深くこの映画は私の心に刻み込まれましたので。
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hirochiki

薄桃色の百日紅なんてあるのですね!
この暑い時期に心が和みます。
こちらにもあるかどうか、今度探してみたいと思います♪
我が家は、もう随分前からエアコンを28度に設定して朝までかけたまま寝ています。
そうでもしませんと、夜中に何度も目が覚めてしまいます。
いくら節電とはいえ、やはり健康が第一だと思います。
今日も一日暑くなりそうです。
どうか、お気をつけてお過ごしください。
それにしても、今朝はまた、ソネブロがとても重いです(>_<)
by hirochiki (2011-08-10 05:54) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
薄桃色からむしろ白色に近い百日紅は、何とも言えず爽やかな色遣いです。
もちろん、紅色に近い桃色の百日紅も美しいのですが、私としては、この淡い色使いが好もしく感じられますね。
是非ともお探しになって下さい。
熱帯夜対策、私もエアコンを付けたまま寝たいのですが、どうも夜中に体が冷えてきてしまいます。
特に肩に痛みが残っているので、これが辛いところで、やむを得ず切ったりしているという感じです。
仰る通り、ちょうどいい温度で朝までいられればぐっすり眠ることができると思うのですがままなりませんね。
今日もかなり暑くなりそうですね。
どうぞhirochikiさんもくれぐれもお気を付け下さいますように。
ソネブロ、時折とてつもなくレスポンスが悪くなります。サーバーの問題なんでしょうか?
by 伊閣蝶 (2011-08-10 09:32) 

きんた

残暑お見舞い申し上げます。
暑さが戻ってきたようですね。セミの鳴き声も大きく聞こえています。
今夜は日韓戦なのでさらに熱くなりそうです。(^^)/
by きんた (2011-08-10 19:40) 

伊閣蝶

きんたさん、こんばんは。
本当に暑くなりました。
セミの鳴き声も本格的で、夜中になっても鳴きやみません。
ところで日韓戦、日本の解消でしたね(*^_^*)
by 伊閣蝶 (2011-08-10 23:52) 

節約王

色とりどりの花を見ていると夏の暑さを忘れてしまいます。ひまわり今を盛りと咲き誇っていますね。とてもかわいく見えます。
公開前にさまざまなシーンが編集されている事実、今回改めてそれを知りました。映画の本当の姿を知らされずに視聴者は見ることが出来るものをすべてと受け止める。私も編集後の作品を見た後、フルオリジナル作品を見るとまったく違う印象を受けた事があります。ちなみに”ビルマの竪琴”でした。
by 節約王 (2011-08-11 21:40) 

伊閣蝶

節約王さん、こんにちは。
暑い日が続きますが、今を盛りと咲いている花を見ると、不思議に暑さが和らぐような気がしますね。
ところで「ビルマの竪琴」も公開版によって違う編集が施されていたのですか?
それは知りませんでした。安井昌二の方でしょうか?それとも中井貴一の方?
いずれにしても、映画において「編集」は重要なポイントだと思います。
監督に明確な演出意図があれば、それを形にするのが編集なのですから、編集によって観る人の印象が変わるのも当然のことなのでしょう。
それが意図して行われていれば、観客はまた違った意味で楽しむことも可能ではないかと思います。

by 伊閣蝶 (2011-08-12 12:01) 

ただもの

初めまして。
 ちょっと懐かしむ気持ちで「シベールの日曜日」に関する話題を探していてお邪魔させていただきました。
 ソフトが販売されていることも知りませんでしたが、ラスト付近がカットされていると知って今更ながら驚いています。自分の記憶の中の「シベールの日曜日」(1981年に近場の映画館でかかったのを観ました)も、きっとオリジナルとは違うのでしょう。
 ナイフは鳥の丸焼きから肉を切り取るつもりで持っていたのだと思っていましたが、もはや確認する術がないのですね、残念です。
by ただもの (2016-01-31 21:58) 

伊閣蝶

ただものさん、おはようございます。
「シベールの日曜日」つながりでご訪問いただいたとのことで、誠にありがとうございました。
記事でも書きましたが、編集を施されたいくつかの版が存在するようで、それほどメジャーとも言えないこの作品で、いわゆる「完全版」や「ディレクターズカット」のようなものが新たに出る可能性は薄いと思います。
残念です。

by 伊閣蝶 (2016-02-04 07:18) 

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