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入笠山往復登山 [山登り]

南九州を中心に西日本では大雨が続いているそうです。
また、和歌山では震度5強の地震があったり、今年はとりわけ自然界からの仕打ちが厳しさを増しているような気がします。

さて、前回の記事に引き続き、私の地元の山である入笠山に仕事上の友人たちをご案内したことを書きたいと思います。

7月3日、前日の八ヶ岳・西岳とは打って変わって、むしろ逍遥といった方がいいくらいのお気楽登山に出かけました。
メンバーは、昨晩遅れて到着した方を含めて、全員で5名です。

入笠山は、花の百名山にも取り上げられたほど、多くの高山植物に出会える山で、殊にスズランが有名です。

富士見パノラマリゾートからゴンドラに乗れば、標高1799mのゴンドラ山頂駅(以前の鐘打平付近)まで運んでもらえるので、標高1956mの入笠山山頂までは標高差150mくらいを稼げば登れてしまいます。
所用時間は60分くらいで、しかも、登りは最後の30分足らず。
楽勝の山登りです\(^o^)/

街中は青空がのぞいていましたが、周囲の山々は雲の中。
ゴンドラ山頂駅も霧に包まれていましたが、入笠湿原に着くころには霧も晴れ、天気も回復してきました。
湿原の入口にはアマドコロの花があり、ウマノアシガタが咲いていました。
umanoasigata0703.jpg
ウマノアシガタという名前の由来をご存知でしょうか。
このかわいい黄色い花からも葉っぱなどの形状からも、馬は全く連想させられません。
ところが、葉っぱの付き方をみると、茎から三枚広がって細長い葉が伸びています。
茎から三本の細い足指が伸びている。
そうです、これは「鳥」の足にそっくりなのですね。
つまり、当初は「鳥の足形」だった。
それが、いろいろと書き写されていくうちに、「鳥」の字が次第に崩れて「馬」と誤読したのが始まり、といわれています。
そういえば、「鳥」と「馬」、なんとなく似ていますよね。

可愛いアヤメの花も所々で咲いています。
ayame0703.jpg

湿原から林道に登り、暫くで入笠山への遊歩道に出ます。
この遊歩道は、カラマツなどの木々にサルオガセがかかる姿が見られるなど、幽玄で気持ちのいい道で、小川のせせらぎを聴きながら歩けます。
saruogase0703.jpg

傍らにはクリンソウも咲いていました。
kurinso0703.jpg

やがて、大阿原湿原方面からの林道を合わせた地点に出て、スズランが自生する入笠山の東斜面に導かれます。
早速、スズランの株を探しますが、予想通り、スズランの花は終わっていました。
suzuran0703.jpg
残念!

しかし、オダマキなど、初夏の花が咲き始めています。
ナデシコにベニヒカゲが止まっていました。
benihikage0703.jpg

これはヨツバヒヨドリです。
yotubahiyodori0703.jpg

東斜面から駐車場に出ると、そこが入笠山の登山口。
ここからは登りづめで約20分。ゆっくり登っても30分もあれば山頂に至ります。

昨日の疲れもあると思われましたので、ゆっくりしたペースで登りました。

登山道の傍らには、そろそろ花の時期が終わりに近付いているレンゲツツジが咲いています。
rengetutuzi0703.jpg

ゆっくりゆっくり登りながら、待望の入笠山頂上に到着!
nyukasa0703.jpg

八ヶ岳・富士山・南アルプス・北アルプス・中央アルプス・御嶽などの山々は、残念ながら雲に隠れて見えませんが、嬉しいことに諏訪湖と霧ケ峰方面は見えました。
もちろん、昨晩宿泊した八ヶ岳山麓のペンションから富士見の市街はきれいに見渡せます。

この広闊な眺望と、西岳に比べればあっけないほどの楽勝登山であったことから、メンバーの表情には余裕の笑みが浮かんでいます。

記念写真などを撮りながら、暫く山頂の風景を楽しんだ後、ゆっくり下り、シロツメクサの咲く草原などで、四つ葉のクローバー探しに興じました。
かなりの時間を費やしたことから、それぞれ三枚~四枚の収穫があり、子供さんたちへのいいお土産となったことでしょう。
私はあまり興味がないので、ぶらぶらと歩きながらお付き合いをしましたが(もちろん収穫はなし、です)。

ゴンドラ山頂駅付近に、ホテイアツモリソウの自生地が保護されてありました。
最盛期は終わったもののいくつかの株が花を付けています。
atumoriso.jpg
アツモリソウは、櫛形山、雨乞山、釜無山など南アルプス北部の前衛の山々に以前はたくさん自生していたものですが、乱獲や盗掘の被害を受け、そのほとんどが絶滅してしまいます。
一方、富士見町の有志の方々が、絶滅寸前の株を大切に守り育ててきました。
鉢植えのアツモリソウの展示会が取り組まれ、徐々に株を増やし、こうして自生地を確保した努力には誠に頭の下がる想いです。
アツモリソウの名は、言うまでもなく平敦盛から採られています。当時の公達が背負っていた母衣(ほろ)に花の形が似ているところからつけられました。
同じ種類で白っぽくがっしりした花にクマガイソウがあります。これは平敦盛を涙ながらに討って、その後僧籍に身を投じた熊谷直実から採られています。
この花を私が初めて見たのは、30年近く前の櫛形山登山の折でした。
この二人の悲劇が書かれた平家物語の一節を思い起こし、思わず涙したことを思い出します。

さて、花を愛でつつ楽しく登ったあとは、地元の日帰り温泉ゆーとろん「水神の湯」に立ち寄りました。

ゆっくり温泉につかって帰路につきましたが、中央道は事故がいくつも起こり、予想外の大渋滞になってしまいました。
良い季節だからなのでしょうが、夥しいほどのオートバイが無茶な追い越しをしながら走り回っていて、そのうちの何台かが事故の原因になっていたようです。
最後の最後で、ちょっと不愉快な思いをしました。

最後に、入笠山周辺の地図を参考までに掲載します。
nyukasa.JPG
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hirochiki

美しい高山植物を眺めながらの登山は、とても楽しそうです♪
ウマノアシガタは、とても綺麗な黄色をしていますね。
ホテイアツモリソウは、これから先も是非守っていってほしいものです。
入笠山頂上に到着のお写真に写っていらっしゃる方は、ひょっとして胃閣蝶さんでしょうか?
道中での事故は、きちんとマナーを守り節度ある運転をすれば防げることですよね。
自分本位の運転はやめていただきたいものです。
by hirochiki (2011-07-07 05:46) 

伊閣蝶

hirochikiさん、おはようございます。
ウマノアシガタ、花が少し大きく写っていますが、実際には1cmに満たない可愛らしい花です。
保護区のアツモリソウの株はもう150株を超えたようで、着々と個体が増えているらしく、嬉しい限りです。これからが楽しみ。
入笠山山頂の人物は、私、伊閣蝶ではなく友人です(^^;
帰りの高速道路の事故は、全く仰る通り、みながきちんと節度を守って走れば起きないはずのものであったと思います。
だから、余計に腹立たしい想いでした。
by 伊閣蝶 (2011-07-07 07:34) 

Cecilia

山野草ショップも多いですが、大自然の中で見かける喜びはまた格別ですよね。

>ナデシコにベニヒカゲ

写真を見るとハルジョオンのような花の形ですが、ナデシコの一種なのでしょうか?
入笠山山頂のお友達の前にある洗面器のようなものは?(水飲み場??)
by Cecilia (2011-07-07 08:20) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、おはようございます。
大自然の中で見かける山野草。
今回、同行してくれたメンバーの中に、生け花をやっておられる方がいたのですが、お師匠さんから、花が自然の中でどのような季節にどのような環境でどのように咲いているかを数多く見てくることが大切、と常日頃教えられているとのことでした。
入笠山にきて、そのご指導の理由がわかりました、との言葉に、なるほど、さすがに本質を見ておられるのだなと感心しましたね。

ところで、ベニヒカゲが止まっている花はニホンナデシコの固有種のようです。
山頂の写真の大きな構造物は、入笠山山頂から見渡せる景色の表示板です。この日はあいにくの天気でしたが、快晴の冬などは、かなり意外な山が見えたりして驚かされます。
by 伊閣蝶 (2011-07-07 09:38) 

節約王

こんばんは。いつも楽しく拝見しています。ウマノアシガタ、アツモリソウとてもユニークで珍しくてきれいですね。名前の由来も勉強になりました。ゴンドラからの眺めさぞかし見ごたえがあったことと推察します。私も那須高原でゴンドラに乗ったことがありますがとてもスリリングですよね。真夏のスキー場は一面お花畑という事実もこの時知りました。
今回はとても楽しそうなツアーでしたね。皆様の楽しそうな笑顔が想像できそうです。

by 節約王 (2011-07-08 18:29) 

伊閣蝶

節約王さん、こんばんは。
アツモリソウは、ランの一種で一時かなり高い値段で取引されていたそうですから、欲にかられた連中が乱獲したのでしょう。
絶滅危惧種になっています。
ウマノアシガタは毒草ですから、さすがに大量に摘んでいく人はいなかったのでしょうが。
真夏のスキー場は、仰る通り、広大なお花畑になります。
これは大変見応えがありますね(*^o^*)
by 伊閣蝶 (2011-07-09 00:31) 

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