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久しぶりのクライミング [山登り]

肌寒い日になりました。
昼過ぎからは時折小雨もぱらつくようになっています。
夜半にはまとまった雨になり、どうやら明日まで残りそうな予報でした。

金曜日から昨日まで、久しぶりに宮崎の岩場に出かけてきました。
大崩山(おおくえやま)の山域は、花崗岩を主とした岩壁が広範囲に広がっていて、いわゆる本チャンとかマルチピッチのクライミングルートがたくさん拓かれています。
10年以上前に、熊本に単身赴任をしていた際、週末ともなればこの山域を中心に山登りに出かけ、花崗岩の感触をたっぷり楽しんでいたものでした。

しかし、単身赴任期間が終了して神奈川に戻ってくると、やはりそうはなかなか出かけることはかなわなくなり、それでも最初の頃は連休などを利用して登りに出かけていたものの、仕事が忙しくなったり、転勤したりなどの事情が重なって、いつしか足も遠のき気味となってしまったのです。

そうこうするうちに運動不足などからメタボに陥り、動くのが面倒くさくなってますます肥満に拍車がかかるようになります。
そして、お決まりの膝痛・腰痛、痛風の恐怖などに苛まれ、さすがに減量に取り組まざるを得なくなった、というわけです。
最初はとにかく体重を落とすことが目的だったのですが、だんだんに体のバランスが回復してきて、体幹筋の力も少しずつ戻ってきたこともあり、具体的なクライミングへの復帰をもくろんできたところでした。

そんなわけで、まだかなり不安はありますが、宮崎の山仲間に連絡を入れ、一緒に登ってくれるようにとお願いし、ありがたいことに快諾をいただきました。

そうはいっても、日程的にかなりタイトだったこともあり、アプローチが一番楽な比叡山I峰南面に出かけ、これまたここに開かれたルートの中では比較的やさしいTAカンテルートを、何と10年ぶりに登ったところです。

TAカンテルートは、RCCII(UIAAに準拠)によるルートグレードは3級。
核心は1ピッチ目でIV+となっています。
takante01.jpg

登るにつれて、眼下に北方町や綱の瀬川や周囲の山々などの景観が広がります。
takante02.jpg

セカンドが登ってきました。
takante03.jpg

登攀終了後、下山路からニードル(針峰)が望めます。ニードル左岩稜など、ハイグレードの好ルートが何本か引かれています。
needle.jpg

下山後、登山口にある神社に詣でて、無事な登攀終了に対するお礼を申し述べました(せっかくなので神社の湧水を水筒に酌んで家まで持ち帰り、その水でお茶を淹れたのですが、味わい深いものがありました)。

前日、久しぶりに訪れた、私も同人に名を連ねているクライミンググループの運営する山小屋で、旧知の山仲間と大酒を飲んでしまい、ほとんど二日酔い状態で登りました。
ルートの取付きまでのアプローチで足を取られているような状況で、大いに不安ではありましたが、ザイルや登攀具をセットし、1ピッチ目を登り始めてからは、だんだん正気に戻ってきて、名前の由来ともなったカンテに出てからは、すばらしい高度感を満喫しながらのクライミングとなりました。
しかし、クライミングから離れていた影響は意外に大きく、セカンドの確保時のロープワークとか、終了後のザイル裁き(巻くための振り分けなど)にもたつきがあったりして、さすがに苦笑させられます。

ルートの整備は驚くほど進んでいて、昔は腐りかけた軟鉄ハーケンしかなかったプロテクションの近くに頑丈なハンガーボルトが打たれていたり、ビレイ用の支点もがっちりとしたものに打ち変えられていました。
1ピッチ目のビレイ点は、以前は松の木を使っていた記憶があるのですが、これもテラスの側にハンガーボルトがセットされていましたし。
ただし、ルート上の浮石はますます危ない状態になっているようです。
両手でホールドして乗り越せそうなフレークも、ためしに叩いたらカンカンと乾いた音がして、慌てて手をひっこめたりとか。大きなフットホールド動いたりとか。
実際、登っている間にも落石が発生しました。
登る際には十分な注意が必要でしょう。

終了点から微妙な岩稜をたどって比叡山山頂への登山道分岐点につくと、ちょうど下から若い男性のグループが登ってきました。
どうやらこれから、カランコロン岩を越えて山頂に登られるようです。
水色のタイツにショートパンツを穿いた、いまどきの「山ボーイ」という感じのいでたちで、なるほど山登りのファッション性もだいぶ洗練されてきたんだなと妙に納得。
自分の格好は、着古したTシャツにジャージに運動靴で、ヘルメットまで被っているわけですから、その落差の大きさは驚くべきものがありますね。

ところで、この山域だけではないのでしょうが、松喰い虫の被害がかなり進んでいるようです。
何本もの松の大木がこれにやられて枯死し倒れて登山道を荒らしていました。
ルート上、これまで松の木をビレイ点に使っていた個所が次々にハンガーボルトなどに打ちかえられているのは、そうした要因もあってのことなのでしょうか。
何とか被害を食い止めることができれば、と切に思いました。
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hirochiki

宮崎へお出かけだったのですね。
久しぶりのクライミングお疲れ様でした。
十分に堪能されましたでしょうか。
それにしても、「山ボーイ」の軽装にはちょっと驚いてしまいました。
健康のためにも、クライミングはこれからも続けられると良いですね(*^_^*)
しかし、松喰い虫の被害のことは気になります。
by hirochiki (2011-05-24 07:34) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんにちは。
取り敢えず大した怪我もなく帰ってこれたので、ちょっと安心しました。
今後も機会を見つけて、徐々に壁にも復帰していこうと思っております。
「山ボーイ」「山ガール」の服装には、やはりどうも私のようなオヤジはなかなかついていけないところですが、こうして若い人たちが山に戻ってきてくれるのは嬉しいことです。
松喰い虫の被害は相当に深刻でした。今でも被害は進行中で、松の表皮にびっしりと張り付いている様を見ると、本当に暗澹とさせられます。

by 伊閣蝶 (2011-05-24 12:18) 

Cecilia

なんと宮崎まで行かれていたのですか!
お疲れ様でした。
登山ではありませんが私も来年は宮崎に行きたいと思っています。
交通費を考えると頭が痛いですが・・・。(安いと言う話もありますが、長距離の旅行は帰省くらいしかしませんので)

松喰い虫と言えば、叔父がその駆除の仕事をしています。
by Cecilia (2011-05-25 17:13) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
Replyが遅れてすみませんでした。
あまり知られてはいないのかもしれませんが、宮崎にはいい岩場がたくさんあり、山屋にとっては魅力的な場所です。
仰る通り、交通費がかかるのが悩みの種ですが、東京からですとSNAのバーゲン28などの低価格運賃があり、今回も往復で27000円くらいですみました。
パックなどを丹念に探すと、他の航空会社でも安く済む場合がありそうです。
ところで、叔父様が松喰い虫の駆除のお仕事をなさっておられるとのこと。
あの虫を駆除するお仕事は大変なことでしょう。本当に頭の下がる思いです。

by 伊閣蝶 (2011-05-26 12:34) 

節約王

宮崎までお疲れ様でした。なさる事が徹底していますね。
本格的なクライミングでお写真を拝見し驚きました。くれぐれもお気をつけてお楽しみ下さい。私も何か運動しないといけないなと本気で思いました。
映画”クリフハンガー”を連想しました。
松喰い虫なる虫がいるのですね。初めて知りました。
by 節約王 (2011-05-28 22:54) 

伊閣蝶

節約王さん、こんばんは。
嬉しいコメントをありがとうございました。
クライミングという点では、私などまだ全く初級者の域を脱していませんが、それでも登ってしまうのはやっぱり好きだからなのでしょうね。
「何か運動を」とのことですが、ブログを拝見すれば、自転車をご利用してのかなりハードな運動を実践なさっておられるものと感心しております。
松喰い虫は、実際にびっしりついているさまを見ると背筋が寒くなります。
私も始めてみたときは、一瞬鳥肌が立ちました。
by 伊閣蝶 (2011-05-28 23:21) 

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