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雪景色 [日記]

冷え込んで、すごい雪となりました。

yukigesiki.jpg家内の伯父が亡くなり、会津に帰省しています。
突然のことだったので、ばたばたと用意をしたのですが、とにかく間に合って良かった。

伯父は大正14年7月の生まれですから、86歳でした。
大腸に腫瘍の疑いがあり、大腸スコープでの診察を慫慂されたのですが、頑として受け入れず、結果として亡くなってしまいました。
直接の死因は心臓の衰弱だったので、大腸がんとの関連は不明ですが、身内としてみればやはり受け入れがたいものがあります。
その意味では誠に残念でありました。

伯父は、いわゆるシベリア抑留者で、その過酷な経験がどれほどのものであったのか、ほかの戦争体験はいろいろと聞かせてはくれたものの、本人のその一番辛いことに関してはほとんど話してくれませんでした。
背が高く鼻筋の通ったすばらしい顔(かんばせ)が、抑留からやっとの想いで帰国した際には、無数のキズで無惨な姿となってしまっていたというのは伯母の言であります。
妹にあたる、昨年亡くなった義母も同じようなことを話しておりましたから、きっと相当辛いことがあったのではないでしょうか。

伯父の遺影を眺めながら、何だかそんな、私自身は知る由もない伯父の半生を何度も思い返すような気持でありました。

もう、二十年近く前のことになりますが、地下鉄サリン事件が勃発したとき、たまたま私の職場の近くの駅で起こったこともあり、伯父はたいそう心配してくれて、電話をかけてくれました。
家内の伯父であり、いうまでもなく私とは血縁関係にない伯父が、真っ先に心配してくれて、私の安否を気遣ってくれたのです。
そのときの感謝の想いを私は終世忘れることはあるまいと思っておりました。

伯父の骨上げのとき、あまりの遺骨の多さに、皆が一様に驚きの声を上げました。
86歳の老人のものとはとても思えないくらい立派なもので、火葬場の職員の方が、申し訳なさそうに骨を砕いて骨壺に入れていました。
その立派な背骨、骨盤、大腿骨、肩甲骨などを見ながら、生前の素晴らしく立派な伯父の姿を思い浮かべつつ、ああ、この伯父だからこそ、あの過酷なシベリア抑留生活を打ち抜いて生還したのだなと、改めて思ったところです。

会津では少し雪の降りも小康状態でしたが、夜半から雪の降りも少し激しくなってきたようです。
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hirochiki

突然のことで、本当に大変でしたね。
奥様の伯父様は、とても素晴らしい方だったのですね。
周りの人に対する思いやりは、いつも持っていたいものです。
雪が激しく降っているとのことですので、くれぐれもお気をつけて。
伯父様のご冥福を心からお祈りいたします。
by hirochiki (2011-02-12 07:26) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
温かなコメント、ありがとうございました。
伯父のことは、やはり今を以ても残念でなりません。
ただ、最期は眠るように逝ったとのことでしたから、そのことは救いでした。
温かなお心遣いに心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
今日、戻って参りましたが、朝のうちまではかなりの降雪があったものの、昼くらいには少し空も明るくなって、小振りになりました。
おかげで、特に混乱もなく時間通りに帰宅できたところです。

by 伊閣蝶 (2011-02-12 21:43) 

Cecilia

ご高齢だったとは言え、伊閣蝶さんにとっては去年からご不幸続きで本当にお淋しいことと思っています。
すばらしい伯父様だったということが伝わってくる文章です。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

by Cecilia (2011-02-13 14:33) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
温かなお悔やみのコメント、誠にありがとうございました。
自分の歳が中高年に属することもあって、どうもこうした残念な行事が年を追うごとに多くなってきます。
何とはなしに、無常という観念が強まりました。寂しいことです。
しかし、これもまた、出会いがあったが故の別れなのかもしれないと思えば、むしろ出会えたことのありがたさに感謝をしなければなりませんね。
微笑んでいる伯父の遺影を前に、思わずこれまでの恩顧に対するお礼を述べてしまいました。
by 伊閣蝶 (2011-02-14 12:59) 

節約王

こんにちは。またご訪問させていただきました。ご心中お察しします。私の母方の祖父は硫黄島で戦死しましたのでこのお話を拝見し、その事と重なりました。おっしゃるとおり壮絶なご体験をなされたことと思います。それゆえお心も広く温かいお方だったのですね。本当に残念だったことと思います。私も写真でしか見たことがない祖父ですが時々思い出します。
ちょっとしたことですぐ弱音を吐く私が恥ずかしくなり、祖父を見習おうと思うのですが、なかなかできない自分が歯がゆく思います。
by 節約王 (2011-02-16 18:04) 

伊閣蝶

節約王さん、こんばんは。
温かなコメントをありがとうございました。
チェックを怠ってしまい、確認が遅れてすみませんでした。

そうですか、お祖父様は硫黄島でお亡くなりになられたのですか。
あの戦場は大変激烈なものであったそうですから、ご無念なことと存じます。
私の母方の伯父二人は海軍で、戦艦とともに海に沈んでしまいました。
祖母はその無念を何度も私に語って聞かせてくれましたが、戦争という理不尽極まりない行為に対する怒りがその都度私の心の中にわき起こってきたことを思い出します。
節約王さんは、恐らく厳しいお仕事に取り組んでおられるのでしょう。
とても「すぐ弱音を吐く」方には思えません(*^_^*)
きっと、天国のお祖父様も温かく見守って下さっておられることでしょう。
by 伊閣蝶 (2011-02-18 23:54) 

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