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ヴァント&BPOによるブルックナー8番(96年版!) [音楽]

今朝はとびきりの寒い朝になりました。
手袋をしていないと手が痺れるような冷え込みで、さすがにマフラーまでした完全防備で出勤と相成ったところです。
それでも、近所の白梅はずいぶん花をつけてきていて、心が和まされました。

さて、先日、ヴァント&BPOによるブルックナー8番(2001年版)について、このブログで取り上げましたが、その際、次のように書きました。
このメンバーによる第8番は、96年の超名演も存在するのですが、こちらの方は残念ながらCD化されておりません。
私も聴いたことはなく、聴いた!という人からの感動を耳にするにつけ無念な思いをかみしめているところです。

wand-bru8.jpg先日、このブログを読んで下さった知人の方からご連絡があり、96年のベルリン芸術週間のライブ録音のCDであれば、ちょっと怪しいレーベルだけれども持っている、とのこと。
さすがに、ええ!っと驚き、是非聴かせてほしいと、懇願しました。
知人は快諾してくださり、先日、そのCDを借り受けることができたのです。
家に帰りつくのももどかしく、深夜だったのでヘッドホンを使って早速聴いたのですが、これはいったい何という演奏なのでしょうか!

96年のベルリン芸術週間におけるこの演奏は、いうまでもなくチェリビダッケ追悼演奏会の演目の一つですが、これほどの演奏が存在したことの奇跡をかみしています。

2001年のBPOとの演奏に比べ、スケルツォを除いてすべて演奏時間は長いのですが、その長さを全く感じさせません。
むしろ、全編をただならぬ緊迫感でまとめ上げられた一糸の乱れもないアンサンブルが眼前に展開される至福をいつまでも感じていたい、という気持ちにさせられました。
終楽章の驚嘆すべきコーダで曲が閉じられていく時、「頼む!まだ終わらないでくれ!もっとこの響きの中に私を浸らせておいてくれ!」と叫んでしまった次第です(もちろん、深夜ですから心の中で、ですが)。

正に言葉を失うような演奏でした。
一言で言うのであれば「神々しい」と言えばいいのか。
神がかりとしか表現のしようがありません。

2001年の録音も、以前も書きましたように極めて高い境地に至った超名演だと思いますが、全体の統一感や曲に対する洞察の深さでは、恐らくこの96年版の方が凌駕していると考えます。

ベルリン・フィルの音と響きの深さ・美しさはたとえようもありません。
ホルンやワーグナー・テューバを中心とした金管の輝かしいばかりの響きにはため息をつく思いです。
恐らくヴァントはそれを計算ずくで鳴らさせているのでしょうが、この金管の作り出す和声の輝きと深みは、ベルリン・フィルの実力とヴァントの表現とのこれ以上もない幸福な融合といえるのではないでしょうか。

録音の点では2001年版のSACDに後れを取るのはやむを得ないところでしょうが、そのような要素を考慮に入れたとしても、演奏のレベルでは完全に上位にあるといわざるを得ません。
何だか心をわしづかみにされたような言いようもない感動にうち震え、思わず目頭が熱くなってしまいました。

ところで、このCDは現在では入手が極めて困難なのだろうと思われます。ネットで検索してもヒットしなかったくらいですから。
出来得れば、なんとか正規版として再販してほしいものと、心より願うところです。

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節約王

こんにちは。今回も楽しく拝見させていただきました。私はあまりクラッシックは聴かないのですが記事を拝見してぜひベルリン・フィルを聴いてみたくなりました。早速CD店に行ってまいります。
by 節約王 (2011-01-07 13:34) 

伊閣蝶

節約王さん、こんばんは。
ベルリン・フィルは、どうもカラヤンの印象が強いところがありますけれども、超一流のオーケストラであることは疑いのないところです。
私個人としてはライブ演奏の方が、よりその魅力を発揮していると思われますので、機会がございましたら、是非ともお聴きください。
昨年の12月に日本人ヴァイオリニストの樫本大進さんがコンサートマスターに就任されたので、日本での注目度もさらにアップするかもしれませんね。
あまりクラシックをお聴きにならないと仰る節約王さんが、拙い私のブログ記事をご覧になって聴いてみたいと仰っていただいたこと、大感激です!
by 伊閣蝶 (2011-01-07 18:03) 

hirochiki

ここ数日、本当に寒い日が続いていますね。
今朝はまた、とりわけ寒いような気がします。
梅のお花を見つけると、春を感じますね~
私も、毎週末お参りに行っているお寺に梅がありますので、見てきたいと思います♪
さて、「神々しい」演奏☆ 是非、聞いてみたいですね。
それから、音楽も料理と同様、自分の思い出と繋がっているような気がします。
by hirochiki (2011-01-08 08:05) 

aka

神々しい演奏なんてどんなものなのでしょう!!
ちょっと想像がつきませんね。

ヘッドホンでCDをお聞きになったみたいですが、私は音楽はヘッドホンで聴くのが大好きです♪

なんか、細かな音までしっかり聞き逃さない気がして、主旋律以外を聞いてしまいます。いいスピーカーを使えば違うのかもしれませんがね…。
by aka (2011-01-08 13:58) 

伊閣蝶

hirochikiさん、こんばんは。
昨日から、またまた、八ヶ岳の実家に帰っていましたが、向こうは氷点下12度の冷え込みでした。
昼間でもマイナス3度くらいで、さすがに今年の冷え込みは厳しいなと実感します。
今日は向こうも比較的温かで、横浜に帰ってきたら、13度くらいになっていて、お日様の光を浴びると汗ばむくらいでした。
お寺の梅の木、花を付けているといいですね。

神々しい音楽、なんだか時代がかった書き方で大げさすぎたかな、と思いましたが、ほかに形容する言葉が見つかりませんでした。
今日、帰りの車の中で、以前、このブログで記事にした2001年の演奏の方を聴きながら来たのですが、改めてこの演奏の素晴らしさも再確認しました。
こちらはきちんとしたレーベルからCDが出ていますので、ありがたいことだと思います。
音楽とお料理が思い出に繋がる、なるほどなあ、と感じました。
私もとても納得です。

by 伊閣蝶 (2011-01-09 17:49) 

伊閣蝶

akaさん、こんばんは。
神々しいなんてちょっと大げさすぎますが、ほかに形容することが場見つかりませんでした(^^;
音楽を聴く喜びというのは、その意味ではやはり神さまから与えられた恩寵のようなものかもしれません。

ところでヘッドホン。
私も好きですよ。
今使っているBOSEのQuietComfortがお気に入りということもありますが。
本当は仰る通り、いいスピーカーやプレーヤーやアンプで思いっきり聴きたいところです。音楽は本来、音だけではなく空気の振動を体中で感じて楽しむものなのですものね。
ですが、なかなか住宅事情が許さなかったりしますから(^^;

by 伊閣蝶 (2011-01-09 17:58) 

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