モンテヴェルディ「宗教的、倫理的な森(SELVA MORALE E SPIRITUALE)」 [音楽]
今日も気持ちのいい晴天となりました。先日ご紹介した「東京都観光菊花大会」、展示作品の入れ替えも結構頻繁のようで、今日は盆栽などを中心になかなかの力作がそろい踏みでした。
本来なら、その盆栽の写真をアップするところですが、なかなかうまく撮れないので、代わりにこの写真でご容赦ください。
これは大菊の「管物」と呼ばれるものの中の「間管」ように思われますが、これも見事な出来ですね。
もちろん実物はもっと立派で存在感にあふれているのですが、撮影の腕が未熟で残念です。
作品に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
さて、これまでに何度かモンテヴェルディの曲を取り上げてきましたが、ずっと以前から欲しくて仕方のなかった、ミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽・器楽アンサンブルによる「宗教的、倫理的な森(SELVA MORALE E SPIRITUALE)」全曲盤CDをやっと入手したのでご紹介します。
これは、モンテヴェルディ生誕400年を記念してリリースされた演奏の中の一つで、先にご紹介した「聖母マリアの夕べの祈り」と軌を一にする取り組みです。
当時、確か8枚組のレコードで発売されたはずで、各方面から絶賛を浴びた、コルボによる至宝のような演奏でありました。
もう値段は忘れてしまいましたが、私などのような貧乏人には到底購入できるようなレベルのものではなく、また、正直に申し上げて、当時は他に欲しいレコードがたくさんあったことから、気にはなりつつも購入は見送った、というところだったと思います。
その後、合唱や声楽をたしなむようになり、必然的にモンテヴェルディの宗教曲やマドリガーレなどに触れる機会が多くなるにつれ、記念碑的レコードである「宗教的、倫理的な森」を是非とも聴いてみたいという欲求が高まってきました。
ある日思い立ってこのレコード(CD)を探してみると、1986年にCDに復刻されたものの、既に廃盤となっていて店頭には残っておらず、また、輸入版もみつからないというような状況。
すっかり落胆していたのですが、先日、なんとAmazonに参加している販売店が中古でこのCDを扱っていることがわかったのです!
すぐさま購入手続きを取り、入手したのでした。
定価は18000円でしたが、中古なので購入価格は7000円弱(送料別)です。
今のCDの価格からすれば少々高いようにも感ずるかもしれませんが、1986年当時であれば全く不自然な価格ではありませんでした。
いずれにしても、半ばあきらめていたCDが手に入ったのです。
天にも昇るような気持で、聴き始めたのでした。
まず冒頭の「我、喜びに満てり」を聴いて、私は度肝を抜かれます。
通奏低音が4分音符で「と(G2)-ト(G3)-ハ(C3)-ニ(B3)」を絶え間なく演奏する上に、6声にまで発展する独唱や管弦楽器や合唱が展開される、壮大なシャコンヌなのです。
その強固で極めて大きな音楽が絶え間なく鳴り響く中、そのオスティナートの心地よさに酔っているところで、突然の転調によるGroliaがトゥッティでハーモニックに歌われる。
その効果は誠に絶大で、私はもう、この第1曲目からメロメロになってしまいました。
ことほど左様に、どの曲をもってしても恐るべき完成度で、全く倦むことがありません。
CD6枚を聴き終わっても、また繰り返し聴きたくなるような、そんな魅力にあふれた演奏なのです。
「われらは主をあがめ(Adoramus te, Christe)」などの合唱曲は、自分でも歌ったことがあるのでことさら思い入れも強いのですが、何といっても、マニフィカトの第1番と第2番そして大グロリアが、その規模といい完成度といい充実感といい突出した作品だと思います。
モンテヴェルディのマニフィカトといえば、「聖母マリアの夕べの祈り」に付随する曲も大変感動的ですが、この2曲も勝るとも劣らない素晴らしさです。
そして大グロリア。
この曲は1631年頃に作曲されたのではないかといわれていますが、全く何という新鮮な響きでありましょうか。
めまぐるしいほどの転調と和声と速度の変化、力強いユニゾン、第1曲にも見られた強固な通奏低音の展開と、聴きどころ満載です。
17世紀の初頭に、これほど構造堅固で典雅かつ複雑な響きを醸し出す音楽が存在していたことに改めて瞠目せざるを得ません。
西洋音楽において、恐らく最も高度な発展を遂げたのはドイツやオーストリアなのでありましょうが、この時期のドイツは、音楽の面でイタリアやイギリスやオランダなどに比べてはるかに後進的であったといわれます。
事実、シュッツがヴェネツィアに留学したのは1609年のことですし、1613年に帰国して、ヴェネツィアの音楽様式である複音楽(複合唱様式)や通奏低音や協奏形式を故国に齎したことで、その後のドイツ音楽の発展の端緒が開かれたわけですから。
先ほど触れた「Adoramus te」などは、恐らくシュッツなどに相当の影響を与えたことでしょう。
さて、コルボとローザンヌの演奏によるモンテヴェルディの作品ではもう一つ重要なレコードがあります。
「マドリガーレ選集」です。
これもレコード時代に確か5枚組で販売されていたと思いますが、残念なことに現在CDでの入手はかなり困難なようです。
しかし、困難と思いつつもこうして「宗教的、倫理的な森」を手に入れることができたのですから、諦めずにアプローチだけは続けて行こうと、改めて思っている次第です。
本来なら、その盆栽の写真をアップするところですが、なかなかうまく撮れないので、代わりにこの写真でご容赦ください。
これは大菊の「管物」と呼ばれるものの中の「間管」ように思われますが、これも見事な出来ですね。
もちろん実物はもっと立派で存在感にあふれているのですが、撮影の腕が未熟で残念です。
作品に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
さて、これまでに何度かモンテヴェルディの曲を取り上げてきましたが、ずっと以前から欲しくて仕方のなかった、ミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽・器楽アンサンブルによる「宗教的、倫理的な森(SELVA MORALE E SPIRITUALE)」全曲盤CDをやっと入手したのでご紹介します。
これは、モンテヴェルディ生誕400年を記念してリリースされた演奏の中の一つで、先にご紹介した「聖母マリアの夕べの祈り」と軌を一にする取り組みです。
当時、確か8枚組のレコードで発売されたはずで、各方面から絶賛を浴びた、コルボによる至宝のような演奏でありました。
もう値段は忘れてしまいましたが、私などのような貧乏人には到底購入できるようなレベルのものではなく、また、正直に申し上げて、当時は他に欲しいレコードがたくさんあったことから、気にはなりつつも購入は見送った、というところだったと思います。
その後、合唱や声楽をたしなむようになり、必然的にモンテヴェルディの宗教曲やマドリガーレなどに触れる機会が多くなるにつれ、記念碑的レコードである「宗教的、倫理的な森」を是非とも聴いてみたいという欲求が高まってきました。
ある日思い立ってこのレコード(CD)を探してみると、1986年にCDに復刻されたものの、既に廃盤となっていて店頭には残っておらず、また、輸入版もみつからないというような状況。
すっかり落胆していたのですが、先日、なんとAmazonに参加している販売店が中古でこのCDを扱っていることがわかったのです!
すぐさま購入手続きを取り、入手したのでした。
定価は18000円でしたが、中古なので購入価格は7000円弱(送料別)です。
今のCDの価格からすれば少々高いようにも感ずるかもしれませんが、1986年当時であれば全く不自然な価格ではありませんでした。
いずれにしても、半ばあきらめていたCDが手に入ったのです。
天にも昇るような気持で、聴き始めたのでした。
まず冒頭の「我、喜びに満てり」を聴いて、私は度肝を抜かれます。
通奏低音が4分音符で「と(G2)-ト(G3)-ハ(C3)-ニ(B3)」を絶え間なく演奏する上に、6声にまで発展する独唱や管弦楽器や合唱が展開される、壮大なシャコンヌなのです。
その強固で極めて大きな音楽が絶え間なく鳴り響く中、そのオスティナートの心地よさに酔っているところで、突然の転調によるGroliaがトゥッティでハーモニックに歌われる。
その効果は誠に絶大で、私はもう、この第1曲目からメロメロになってしまいました。
ことほど左様に、どの曲をもってしても恐るべき完成度で、全く倦むことがありません。
CD6枚を聴き終わっても、また繰り返し聴きたくなるような、そんな魅力にあふれた演奏なのです。
「われらは主をあがめ(Adoramus te, Christe)」などの合唱曲は、自分でも歌ったことがあるのでことさら思い入れも強いのですが、何といっても、マニフィカトの第1番と第2番そして大グロリアが、その規模といい完成度といい充実感といい突出した作品だと思います。
モンテヴェルディのマニフィカトといえば、「聖母マリアの夕べの祈り」に付随する曲も大変感動的ですが、この2曲も勝るとも劣らない素晴らしさです。
そして大グロリア。
この曲は1631年頃に作曲されたのではないかといわれていますが、全く何という新鮮な響きでありましょうか。
めまぐるしいほどの転調と和声と速度の変化、力強いユニゾン、第1曲にも見られた強固な通奏低音の展開と、聴きどころ満載です。
17世紀の初頭に、これほど構造堅固で典雅かつ複雑な響きを醸し出す音楽が存在していたことに改めて瞠目せざるを得ません。
西洋音楽において、恐らく最も高度な発展を遂げたのはドイツやオーストリアなのでありましょうが、この時期のドイツは、音楽の面でイタリアやイギリスやオランダなどに比べてはるかに後進的であったといわれます。
事実、シュッツがヴェネツィアに留学したのは1609年のことですし、1613年に帰国して、ヴェネツィアの音楽様式である複音楽(複合唱様式)や通奏低音や協奏形式を故国に齎したことで、その後のドイツ音楽の発展の端緒が開かれたわけですから。
先ほど触れた「Adoramus te」などは、恐らくシュッツなどに相当の影響を与えたことでしょう。
さて、コルボとローザンヌの演奏によるモンテヴェルディの作品ではもう一つ重要なレコードがあります。
「マドリガーレ選集」です。
これもレコード時代に確か5枚組で販売されていたと思いますが、残念なことに現在CDでの入手はかなり困難なようです。
しかし、困難と思いつつもこうして「宗教的、倫理的な森」を手に入れることができたのですから、諦めずにアプローチだけは続けて行こうと、改めて思っている次第です。
「宗教的、倫理的な森」はあまり聴いていませんが、曲名のようなお堅い印象とは違っていたような記憶があります。
>17世紀の初頭に、これほど構造堅固で典雅かつ複雑な響きを醸し出す音楽が存在していたことに改めて瞠目せざるを得ません。
同感です。(この曲はあまり聴いてないのでほかの作品でそう思います。)
コルボの指揮によるものはたぶん偶然聴いたことはあるのだろうと思いますが、わかりません。
最近NMLでずっと気になっていた古楽バンドのモンテヴェルディがいろいろ聴けるようになりました。
聴いてみたいものがたくさんあります。
by Cecilia (2010-11-09 09:04)
Ceciliaさん、こんにちは。
nice!とコメントありがとうございました。
>「宗教的、倫理的な森」はあまり聴いていませんが、曲名のようなお堅い印象とは違っていたような記憶があります。
はい、仰る通りですね。
以前から、この直訳はどうも座りが悪くて気に入らなかったのですが。
ヴィンチェンツォ一世との確執からマントヴァ宮廷楽長の職を去り、サン・マルコ大聖堂の楽長に就任し、以来、30年にわたってその職にあったわけですから、モンテヴェルディ自身、様々なシーンで礼拝や祝典用の楽曲を作ってきたのでしょうし、一緒に歌ったであろう参列者に楽しんでもらおうという想いもきっとあったのだろうと想像します。
この曲集の中でも、とりわけ「Salve Regína」が数多く収録されており、当時のマリア信仰の強さもうかがわれます(マニフィカトも象徴的ですね)。
ところでNML、なかなか良いサービスのようですね。
私はPCで音楽を聴くということをほとんどしませんので、会費を払って利用することはないと思われますが、これを手掛かりに様々な作品や演奏を探すのはとっても楽しそうです。
by 伊閣蝶 (2010-11-09 12:12)