弾痕（１９６９年） [映画]
今日は気持のいい晴天でした。
良い天気なのでどこかに出かけたかったのですが、宅急便が来たり、ちょっと疲れがたまっていたりで、ぐずぐずと在宅してしまいました(^^;
そんなわけで、午後、ちょっと出かけて帰宅した後にDVDを鑑賞。
タイトルは、森谷司郎監督の「弾痕」です。
この映画については、以前にもちょっと触れたことがありましたが、何といっても音楽を担当しているのが武満徹というところで、私には大切な作品なのです。
音楽のカテゴリーで取り上げるのも、そんな理由があってのこと。
このDVDには特典映像として「貝山知弘プロデューサーインタビュー」が付随していますが、その中で、貝山さんは、武満さんの「死んだ男の残したものは」をこの映画の中で使うということを予め決めた上で製作したのだ、と語っていました。
死んだ男は墓石一つ残すことなく、死んだ兵士は平和一つ残せなかった…。
そんな虚無感が色濃く漂う映画で、主演の加山雄三と太地喜和子はもちろん、岸田森、佐藤慶、岡田英次などの実力派キャストが活躍しています。
加山雄三は、若大将シリーズみたいな映画もありますけれども、基本的には非常に屈折した役どころが似合う俳優で、この前年（1968年）の堀川弘通監督の「狙撃」や、この弾痕におけるスナイパーなどは正にうってつけの役柄ではないかと私は思います。
監督の森谷司郎さんは、「日本沈没」「八甲田山」「聖職の碑」「動乱」「海峡」といった大作を次々に生み出したことから「大作監督」と目されていますが、さてどうなんでしょうか。
私はむしろ、「赤頭巾ちゃん気をつけて」や「初めての旅」などの青春映画の方にこそ、この人の本領は発揮されていた、と思うのですが。
この「弾痕」の主題歌が武満さんの「死んだ男の残したものは」であったことが象徴するように、森谷監督はこうした音楽（劇中歌）の使い方が大変上手な方でした。
「初めての旅」で使われた小椋佳の「六月の雨」や「さらば青春」、それから「放課後」の冒頭で歌われた井上陽水の「夢の中」へなどは、私たちの心にしっかりと新しいフォークソングの姿を焼き付けたものです。
さて映画「弾痕」ですが、内容について書いてしまうことは止めましょう。
この映画で音楽を担当した武満さんは、アクション映画にふさわしいジャズを基調としたアップテンポなメインテーマのほか、ギターによるリリカルな旋律を随所に鏤め、素晴らしく印象的な仕事をしています。
そして、高石とも也のギター一本による「死んだ男の残したものは」の恐るべき存在感。
音楽だけでも私は楽しめてしまうのですが、撮影や美術を、あの黒澤組の斎藤孝雄や村木与四郎が担当していることをみても、力の入れ具合がわかるというものではないでしょうか。
ところで、森谷監督は53歳という若さで亡くなりました。
今ちょうど自分がその年代ということもあって、いささか感傷にふけっています。
良い天気なのでどこかに出かけたかったのですが、宅急便が来たり、ちょっと疲れがたまっていたりで、ぐずぐずと在宅してしまいました(^^;
そんなわけで、午後、ちょっと出かけて帰宅した後にDVDを鑑賞。
タイトルは、森谷司郎監督の「弾痕」です。
この映画については、以前にもちょっと触れたことがありましたが、何といっても音楽を担当しているのが武満徹というところで、私には大切な作品なのです。
音楽のカテゴリーで取り上げるのも、そんな理由があってのこと。
このDVDには特典映像として「貝山知弘プロデューサーインタビュー」が付随していますが、その中で、貝山さんは、武満さんの「死んだ男の残したものは」をこの映画の中で使うということを予め決めた上で製作したのだ、と語っていました。
死んだ男は墓石一つ残すことなく、死んだ兵士は平和一つ残せなかった…。
そんな虚無感が色濃く漂う映画で、主演の加山雄三と太地喜和子はもちろん、岸田森、佐藤慶、岡田英次などの実力派キャストが活躍しています。
加山雄三は、若大将シリーズみたいな映画もありますけれども、基本的には非常に屈折した役どころが似合う俳優で、この前年（1968年）の堀川弘通監督の「狙撃」や、この弾痕におけるスナイパーなどは正にうってつけの役柄ではないかと私は思います。
監督の森谷司郎さんは、「日本沈没」「八甲田山」「聖職の碑」「動乱」「海峡」といった大作を次々に生み出したことから「大作監督」と目されていますが、さてどうなんでしょうか。
私はむしろ、「赤頭巾ちゃん気をつけて」や「初めての旅」などの青春映画の方にこそ、この人の本領は発揮されていた、と思うのですが。
この「弾痕」の主題歌が武満さんの「死んだ男の残したものは」であったことが象徴するように、森谷監督はこうした音楽（劇中歌）の使い方が大変上手な方でした。
「初めての旅」で使われた小椋佳の「六月の雨」や「さらば青春」、それから「放課後」の冒頭で歌われた井上陽水の「夢の中」へなどは、私たちの心にしっかりと新しいフォークソングの姿を焼き付けたものです。
さて映画「弾痕」ですが、内容について書いてしまうことは止めましょう。
この映画で音楽を担当した武満さんは、アクション映画にふさわしいジャズを基調としたアップテンポなメインテーマのほか、ギターによるリリカルな旋律を随所に鏤め、素晴らしく印象的な仕事をしています。
そして、高石とも也のギター一本による「死んだ男の残したものは」の恐るべき存在感。
音楽だけでも私は楽しめてしまうのですが、撮影や美術を、あの黒澤組の斎藤孝雄や村木与四郎が担当していることをみても、力の入れ具合がわかるというものではないでしょうか。
ところで、森谷監督は53歳という若さで亡くなりました。
今ちょうど自分がその年代ということもあって、いささか感傷にふけっています。
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「さらば青春」、結構好きです。
かっこいい曲ですよね。
この曲について以前書きました。
http://santa-cecilia.blog.so-net.ne.jp/2009-04-08
「弾痕」に「死んだ男の残したものは」が使われているのですね。私も見てみたくなりました。
by Cecilia (2010-11-04 09:01)
Ceciliaさん、こんにちは。
nice!とコメント、ありがとうございました。
「さらば青春」、良い歌ですよね。
ブログの記事、早速拝見させていただきました。
ところで、「弾痕」で高石とも也の歌う「死んだ男の残したものは」は、すばらしい存在感で心に響きます。
当時、べ併連運動の高揚する中で、新宿駅西口は、そうした活動家が行うビラや歌による情宣活動の拠点でした。
加山雄三と太地喜和子が通りかかる森閑とした新宿駅西口で、高石とも也がギターを抱えて歌う。他にはだれもいない、そんな描写です。
by 伊閣蝶 (2010-11-04 12:09)
武満徹さん？興味ありますね!!
映画やドラマはなんといっても、音楽がものすごく重要だと考えますので!!
私サントラマニアとしては、気になってしまうのです。
ジャズ風な感じだということで、期待大ですね!!
by aka (2010-11-04 13:10)
武満徹さんは、日本を代表する現代音楽の世界的大家といわれていますが、そうした一面だけではなく、ご自身が大変な映画好きであったことから、映画に対する音楽のあり方についても大変真剣に考えてきた人だと思います。
黒澤明や溝口健二の作品で音楽を担当された早坂文雄さんと並び称せられる方ではないかな、と私などは勝手に決め付けています(^_^;
「弾痕」ももちろんですが、私としては篠田正浩監督の「はなれ瞽女おりん」もお勧めです。
by 伊閣蝶 (2010-11-04 13:23)