SSブログ

カラオケについて [音楽]

ヒガンバナ今日は雲は少し多めながら晴れ間が出ていて、爽やかな天気となりました。
昼間、久しぶりに日比谷公園に出かけたら、ヒガンバナが真っ盛り。
秋らしい気分にさせてくれます。

尤もこの天気も今日限りらしく、明日からはまた崩れてしまうようですが。

昨晩、以前働いていた職場での送別会があり、部外者ながら一緒に仕事をしたという縁で送る側の仲間に入れていただきました。
一次会は居酒屋で、二次会はカラオケスナック。
カラオケスナックに行くのは実に一年ぶりくらいで、なんだか戸惑ってしまった次第です(とはいいつつ、しっかり三曲も歌ってしまいましたが)。

私はどうもカラオケというのが苦手で(三曲も歌ったくせに)、こうした宴会の流れなどでも大抵の場合は断るのですが、送別会の主賓が行くということであれば止むを得ませんね。

なぜカラオケが苦手かというと、やっぱり恥ずかしいからです。
まがりなりにも声楽をやっている立場としては、音をはずしたり声が出なかったりしたらどうしようなどと心配になりますし、かといってベルカントで歌うわけにもいきません。
少ないレパートリーの中から選べば、必然的に最近のJ-POPなどは選外になってしまい、ふた昔くらい前の唄を歌うことになってしまいますし(しかも演歌嫌いだったりしますから)。
かといって、他の人たちが楽しく歌っているのをただにこにこと聴いているだけ、というのも残念な話です。

そんなこんなで、どうもコストに見合うだけの満足が得られないことも、カラオケスナックなどから足が遠のく原因の一つになっているのかもしれません

そういえば、小説家の丸谷才一さんもカラオケが嫌いなのだそうで、「犬だって散歩する」の中におさめられた「カラオケ論」にその辺りの事情が詳述されています。
あの程度の唄をみんなに聴かせるのであれば、一人千円ずつくらいは先に支払うべきだ、と発言してみんなの怒りを買ったとか、自分が歌える唄は単純でまったく面白くないものであり、これはいいと思う唄は節回しが込み入っていてとても自分には歌えない、など、なかなかほほえましくも示唆に富んだ話が展開されていますので、ご興味のある向きはご一読を。
その中で、名前を忘れてしまったがある西洋人の分析した日本人のカラオケ好き理論にも触れられています。
その要諦は、日本人は銭湯のような場所に平気で裸をさらして行くことを恥ずかしいとも思わない、つまりそうした恥の文化がないので人前でへたくそな歌を歌っても平気なのだ、ということのようです。
丸谷さんはこの説を敷衍して、連歌という日本独特の遊びにまで言及していますが、ふーむ、なるほどと感心しましたね。

さてしかし、例えば身内や家族で楽しむということであれば、カラオケは結構ポイントの高い娯楽の一つではないでしょうか。
カラオケマイク以前、実家に帰省したときのことですが、妹家族が曲・画像入りのカラオケマイクを持ってきたので、それをテレビにつないでカラオケ大会を開いたことがあります。
いやあ、これは盛り上がりましたね。
田舎だから近所の迷惑とかはあまり考える必要もなかったので、思いっきり楽しめる!ということも、実によろしいことでした。
それにしても、このマイクは優れものですね。
私は寡聞にして、このような製品があることを知らなかったので結構びっくりしましたが。

カラオケというと、発明者の井上大祐さんの大いなる功績に想いを馳せてしまいます。
発明そのものもそうですが、なによりもこれで特許を取らなかったその姿勢がすばらしい!
その筋の試算によると、もしも特許を取っていれば百億円くらいの富は築けたろうにとのことですが、井上さんは「特許を取るなんて思いつかんかったから、しゃーないわ。わはは!」と笑い飛ばしたのだそうです。
おかげで、カラオケは日本のみならず世界中に広がり、多くの人に歌う楽しみを与えたわけですから、その功績はたとえようもなく大きいと思います。
1999年に週刊誌「タイム」が特集した「20世紀で最も影響力のあったアジアの20人」に、ガンジー、毛沢東、ダライ・ラマなど錚々たる人物と共に選ばれ(タイム誌の記事には「毛沢東やガンジーがアジアの昼を変えたというなら、井上はアジアの夜を変えたのだ」と書かれています)、また 2004年には、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられることで有名なイグ・ノーベル賞(平和賞)を受賞したこと(受賞理由は「カラオケを発明し、人々が互いに寛容になる新しい手段を提供したことに対して(Daisuke Inoue of Hyogo, Japan, for inventing karaoke, thereby providing an entirely new way for people to learn to tolerate each other)」だそうです。つまり、カラオケで自分が歌う時には他人に苦痛を与え、また他人の歌を聞く時には苦痛を耐え忍ばなくてはならない。その結果、互いが寛容な心を持つことができるということなのでしょう。因みに、井上さんは受賞式のスピーチの際、唄まで歌われたそうです。前代未聞!)も、正に宜なるかな、というところですね。

あれれ、カラオケが苦手とか書きながら、最後は賛美に近い記事になってしまいました。
おかしいなあ(まあ、そうはいいつつ三曲もうたっちゃうような人間ですから)。
nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 4

かずっちゃ

ワタシも以前はカラオケが苦手でした。
転機は会社に入ってから。
たびたび中国に出張に行かされまして、中国の夜は娯楽がナイものですから毎晩カラオケスナックに連れて行かされるうちに、すっかりカラオケ好きになりました♪
と言っても、下手の横好き。他人様に聴かせるシロモノではなくて、それこそ千円払わなければいけないかも(笑)
by かずっちゃ (2010-09-30 12:42) 

伊閣蝶

かずっちゃさん、こんばんは。
たびたび中国へご出張をなさったとのこと。
これは大変でしたでしょう。
しかし、中国でもカラオケスナックは盛況なのですね。
アメリカあたりでも、「あなたも今宵、フランクシナトラになれる」なんちゃって宣伝していた、などという話を聞いたことがありましたが。
私も、自分が歌ったあとは、恐縮してみんなの水割りを作ったりしました(^_^;
by 伊閣蝶 (2010-09-30 17:48) 

Cecilia

もっぱらカラオケボックスの私です。
まず宴会でカラオケにはほとんど縁がないですね。
初めて行ったのは職場関係でしたが。
その時はたまたま自分のレパートリーも受け入れてもらえるような雰囲気でしたが、そうでないと疲れるかもしれませんね。
カラオケボックスに行くのもほとんど家族とだけですから、自分が歌いたいクラシック曲(歌曲・オペラアリア・合唱曲・唱歌・抒情歌)中心にあとはアニメソングが中心で、流行の曲はほとんどないです。(でも演歌やフォークソングやポップスも歌いますよ。)
友人たちと行くときでも、一応場の雰囲気を考慮して趣味に走るのはやめて話題の曲などを歌ったりしますが、やはり歌いたいものを歌いたいですね。
家族と行くと安い金額の時間帯に4人で7時間とか平気で過ごしてしまいます。(全員順番に同じ曲数をこなします。)
あ、そうそう・・・「さとうきび畑」とかは非常に長いので迷惑がられます。

by Cecilia (2010-10-05 03:08) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
ご家族でカラオケボックス、これはいいですね。
私も、ごくたまにですが、家族で行って、誰にも気兼ねすることなく歌ったりします。
職場の仲間でも、カラオケボックスに行こうというような人たちは、大抵かなり親しい人達ですから、気のおけない仲間で歌うというのもいいものだと思います。
それにしても、ご家族4名で7時間ですか!
これはすごい!
でも、とっても楽しそうですし、ご家族の素敵な絆がうかがわれて、心が温かくなりました(*^o^*)

>あ、そうそう・・・「さとうきび畑」とかは非常に長いので迷惑がられます。

これは仰る通りです。
私も以前、全曲を歌って大顰蹙を買ったことがありました。
by 伊閣蝶 (2010-10-05 12:07) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0