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カール・リヒターによるバッハ宗教曲BOXセット! [音楽]

今日も暑い日になりました。
しかし、北九州では台風9号の影響で大荒れの天気となり、明日・明後日で北陸から南東北まで日本列島を縦断する見込みです。
今年の台風は、日本近海で発生することが多く、偏西風のふちを回って、勢力が強いまま日本海側から日本列島に上陸するケースが多いとのことでした。
暑さ寒さも彼岸まで、といいますが、どうやらこの異常な暑さが解消されるのは10月の声を聞いてからとなりそうです。

さて、ここのところBOXセットの大胆な企画には驚かされることが多いのですが、私にとって次のセットはとりわけ衝撃的でありました。

「マタイ受難曲、ヨハネ受難曲、ミサ曲ロ短調、カンタータ集 カール・リヒター&ミュンヘン・バッハ管弦楽団(10CD)」

マタイ受難曲は1958年、ヨハネ受難曲は1964年、ロ短調ミサは1961年の録音が選ばれており、正にリヒターの名を世界に知らしめ、またこれらバッハの大曲に再び輝かしい光を当てた記念碑的演奏ばかりです。
このブログにも何度も書きましたが、私がこの演奏を聴いたのは高校生時代で(もちろんレコードですが)、自分の中の価値観が大きく転換するほど感動したものでした。
当時、マタイ受難曲のレコードだけでも4枚組で7500円くらいしていて、上京後も乏しい自分の給料ではなかなか買う勇気もわかず、図書館から借りてきてテープに録音するのが精一杯。
ボーナスが出るたびにレコード店に出かけ、少しずつそろえていったことが懐かしく思い起こされます。
その後、ARCHIVよりCDが発売されました(1990年頃でしたか)が、マタイ受難曲が9000円!でした。
三枚組なので、当時の相場としてはそんなものだったと思いますが、やはりさんざん躊躇し、清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入したものです。

ロ短調ミサもヨハネも同じような状況でした。

それがなんと、その三曲に11曲のカンタータまでカップリングされた10枚組CDが3290円!

驚きを通り越して何だか脱力してしまいますね(^^;

さて、このリヒターの演奏、古楽器による演奏が当たり前のように取り組まれている現在では一昔前の演奏形態として扱われてしまう嫌いがあります。

もちろん、バッハが現役だった頃の演奏環境を再現し、作曲者の意図に限りなく近づける努力は評価されてしかるべきでしょう。
私も、例えばクイケン&ラ・プティット・バンドによるマタイ受難曲の演奏は実に素晴らしい試みだろうと思います。

これは、レオンハルトによる演奏を聴いたときの衝撃を彷彿とさせ、さらにそれ以上にピュアな表現を実現したOVPPならではのCDでありましょう。

しかしながら、こうした演奏が数多く試みられているからといって、リヒターの試みが軽視されるということには繋がりません。
とことんまで突き詰め磨き上げたこの演奏からは、リヒターの音楽に対するひたむきさとまっすぐな情熱が胸に突き刺さるように伝わってきます。「敬虔」という言葉がしっくり来るような表現だと私は感じます。
それが、使われている楽器や発声法や演奏形態がロマン派的だというだけの理由で、バッハの意図とかけ離れていると短絡的に考えるのはいかがなものでしょう。

誤解を恐れずに敢えて書くのですが、もしもバッハが、精度を極めた近代の楽器や発声法を手中に収めていたのであれば、必ずやそれを演奏に生かそうと考えたのに違いないと思うのです(もちろん、無伴奏バイオリンソナタなどの重音にバロックバイオリンのような湾曲弓を使うなどという例外的なものもありましょうが)。
安定した音を鳴らすことが難しかった当時の楽器や奏法ゆえに、バッハもベートーベンも、意図した音楽の演奏を全うするために大変苦労したそうですから。

そういえば、来年はリヒター没後30年ですね。
リヒターが急逝したというあの衝撃的な出来事から、もう30年も経つのかと思うと、何だか万感胸に迫るものがあります。

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コメント 4

cfp

伊閣蝶さん、こんばんは。

私もバッハと言えばリヒターと答えます。
最初にマタイを聴いた時、
感動のあまり涙したことを想い出します。

その後、ロ短調ミサ曲を好んで聴くようになりましたが、
バッハ=リヒターとなってしまいます。

ブランデンブルク協奏曲も
管弦楽組曲もリヒター盤で聴いていました。
by cfp (2010-09-07 20:14) 

伊閣蝶

cfpさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございました。

そうですか、cfpさんもリヒターによるバッハのマタイをお聴きになって涙なさいましたか…。

リヒターのバッハ演奏は、心ある人には必ず響くものと私は考えます。

私もいくつかの演奏を聴きながらも、やはり最後にはリヒターに戻ってしまいますね。
by 伊閣蝶 (2010-09-07 22:05) 

かずっちゃ

伊閣蝶さん、誕生日のお祝いコメントをありがとうございました♪
かずっちゃカンゲキ~でゴザイマス(古い・・・)
これからもヨロシクお付き合い下さい。
伊閣蝶さんの音楽に対する造詣の深さはスゴイです!!
by かずっちゃ (2010-09-08 15:50) 

伊閣蝶

かずっちゃさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございました。
お誕生日のお祝い、祝ってくれる人がいることももちろん嬉しいことですが、祝う人たちにとっても、やはりとても嬉しいものだと私は思います(*^o^*)
私も、自分ながらに「いい歳をして!」などと思うこともありますが、やはり家族が祝ってくれたり、お祝いのメールがきたりすると、年甲斐もなく嬉しくなりますから。
そんなふうに喜んでくれるのが嬉しい、などといわれると、もうウルウルですね。

ところで、ハウスバーモンドカレー!久しぶりに思いだしてしまいました。
by 伊閣蝶 (2010-09-08 18:43) 

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