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うたをつくること [雑感(過去に書いたもの)]

ここのところ、何となく歌の関係の話題を取り上げることが多くなっているような気がします。
特に意図したわけではありませんが、やはり、人にとって、歌という表現手法が最も身近なものであるからなのでしょう。
昨日なども、久しぶりにカラオケスナックなどに出かけてしまい、わいわいとマイクでへたくそな歌をがなり立ててしまいましたが(いきなり低レベルな話ですみません)。

長らく合唱をやってきた関係もあって、ぼつぼつと混声合唱曲やピアノ伴奏付きの独唱曲などを作っては、所属合唱団とか合唱仲間の方々(自分も含めて)に演奏してもらったりしています。
正直にいうと、自分で歌うだけならいざ知らず、仲間に演奏してもらうことは、穴があったら入りたいくらい恥ずかしい所業なのですが、自分の内部からマグマのようにわき上がってくるものがあったりして、どうしてもそれを出したくなる欲求が、時折私を襲ったりするのです。

そんな高揚した気持ちの中で書いた文章がありますので、次に紹介します。

***********ここから

なかなかに大変な作業だけれども、うたをつくることは楽しい。
新しいうたを作ることはもちろん、既にあるお気に入りのうたに響きをつけていくのも心躍る時間だ。

武満さんは、うたを作ることについて次のように語った。
「人生を積極的に肯定する情熱がない限り、歌は生まれないだろうと思う」

この言葉は次のピート・シーガーの言葉とも一致する。
「歌というのは、臆病者が強くなれるほど良い曲でなければならない。
また、ある歌は、怒りに満ちている人々を笑わせるほど愉快でなければならない。
そしてたとえば、会社勤めなどで心が冷え切ってしまっている人々の心を暖かくさせ、目に涙を誘うような曲でなければならない。
しかし、いちばん重要なことは、人々を、たとえば、子どもでも老人でも、すべての人の心をつなげていけるものでなければならないということだ」

そう、人生を積極的に肯定する情熱を持つからこそ、すべての人の心をつなげていけるようなうたを作ろうと、人は望みを持つのではなかろうか。
いくつもの試行錯誤や失敗を重ねつつ、次第に自分の描きたい心、描きたい世界を持つうたの形が整ってくる。それが如何に稚拙極まりないものであろうと、紛れもなく自分の生み出したものであるならば、そこに私は希望を編み込んであげたい。

四苦八苦の挙げ句、今、私の拙い世界は漸く形を整えつつある。私の大好きな歌に、私の勝手な響きを付けた不格好この上ない不肖の息子ではあるが…。

***********ここまで

私の書いている地の部分はどうでもいいような内容ですが、武満徹とピート・シーガーの言葉をご紹介したくて、取り上げました。

ピート・シーガーの「花はどこへ行った(Where have all the flowers gone?)」などの名曲を、ギター片手に歌った経験を持つ方はかなり多いことでしょう。
恥ずかしながら、私もその一人でありました。

ピート・シーガーは現在91歳で、まだまだ元気に現役で活動していると聞きます。
きっと、全ての人々の心をつなげるために歌おうとしてきた彼であるからこそ、そうした人々も神様も、彼を大切に守ろうとしてくれているからなのでしょうね。
そんなふうに思うと、何だか心が温かになるような気がします。
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Cecilia

「花はどこへ行った」は中3の頃だったと記憶していますが英語の教科書に載っていました。(巻末)
この曲は大好きでよく歌っていましたが、ピート・シーガーの歌ではなかったです。
実は本人の演奏はあまり聴いていません。

単に作曲するのと「うた」を作曲するのにはやはり大きな違いがあるのでしょうね。
声楽曲の作曲もされているのですね。
素晴らしいです。
by Cecilia (2010-05-25 18:53) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、nice!とコメント、ありがとうございます。
そうですか、中学三年生のときの英語の教科書の巻末に載っていたのですね。
私などが中学生の頃には、そんな進歩的な詩は載る余地もなかったのだろうと思います。
それはともかく、この曲、最初にピート・シーガーが作ったときはかしは三番までだったそうです。
それが歌い継がれる中で6番にまで増えていき、それをピート・シーガーも自然に受け入れて歌ったとか。
その辺りの話をかいつまんで、友人の藪山澤好さんが次のように書いておられます。
http://homepage3.nifty.com/yabuyama/zakki200210.html#k20021007

うたを作るということは、人の声で歌っていただくことを念頭におくことになるわけで、であれば、歌っていただける人が嬉しくなるような気に入ってもらえるようなものにしなければならないということでしょうね。それはやっぱりとても難しいもので、毎度四苦八苦してしまいます。
by 伊閣蝶 (2010-05-25 23:03) 

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