米良美一の「ノスタルジア」 [音楽]
今日は朝から雨になりました。
こんな日はゆっくりと音楽でも聴きながら過ごしたいところですね。
先日、武満徹「ギター作品集成」の記事に対して、Ceciliaさんからコメントを頂いたのですが、その折、米良美一のCD、「ノスタルジア」をご紹介頂き、早速購入して聴きました。
米良美一というと、どうしてもカウンターテナーの印象が強く、私が所持しているCDの中でも、例えば、鈴木雅明のバッハ・コレギウムジャパンによるバッハのヨハネ受難曲
のアリアが代表的なものでした。
その他では、あまりにも有名な「もののけ姫」の印象も強いかな。
そんなわけで、米良美一の歌う「死んだ男の残したものは」がどのようなものか、俄然興味がわいてきたのです。
結論から申し上げて、「当たり！」でした！
素晴らしいCDです。久しぶりに魂を揺さぶられる演奏に出会えました。
米良さんは、「もののけ姫」での大ブレークの後、マスコミあたりの格好の餌食にされ、それこそ聞くに耐えないようなひどい中傷や風評などによる精神的な衝撃から歌うことも出来なくなり、一時期は歌手生命も危ぶまれるほどであったと聞きます。
先天性骨形成不全症という重い十字架を背負い、子供の頃からひどい苛めにも遭ってきた彼の生い立ちを思うにつけ、このCDに収録された曲たちの持つ「重み」をひしひしと感じます。
ピアノを中心に、オンドマルトノ、鍵盤ハーモニカなどを用いた、大変シンプルな伴奏も素晴らしい効果を上げています。
地声で歌っている「死んだ男の残したものは」は、恐らく、この曲の演奏の中でも一二を争うものではないでしょうか。
私としては、森谷司郎監督の映画「弾痕」の中で、高石とも也がギター一本で歌ったものが一番なのですが、この米良さんの歌はそれに匹敵する感動を与えてくれました。
しかし、何といっても、ラストの「ヨイトマケの唄」には完全に打ちのめされました。
この曲に関しては、槇原敬之などもカバーしているようですが、全く次元の違う演奏としか言いようがありません。
この歌を作った本家本元である美輪明宏の、その精神を見事に受け継いだ演奏がここにはあるように思われます。
米良さんの病気治療のために工事現場で働き続け、周囲からは無謀とまでいわれた音楽に対する息子の挑戦を精神面でも資金面でも支えてくれた母親。
「子供のためなら エンヤコラ」
この歌は、その米良さんの心情そのものだということで、持ち歌にされたとのことですが、それゆえにこそ、聴く人の胸を揺さぶるのでしょう。
地声の米良さんの声は、あの美しいカウンターテナーとは全くの別物ですから、それを期待して聴く方はちょっと受け入れられないかもしれません。
でも、歌の持つ力をビビットに感じ取れる方でしたら、この米良さんの演奏の深さや重みがわかるのではないか、私はそう思います。
こんな日はゆっくりと音楽でも聴きながら過ごしたいところですね。
先日、武満徹「ギター作品集成」の記事に対して、Ceciliaさんからコメントを頂いたのですが、その折、米良美一のCD、「ノスタルジア」をご紹介頂き、早速購入して聴きました。
米良美一というと、どうしてもカウンターテナーの印象が強く、私が所持しているCDの中でも、例えば、鈴木雅明のバッハ・コレギウムジャパンによるバッハのヨハネ受難曲
その他では、あまりにも有名な「もののけ姫」の印象も強いかな。
そんなわけで、米良美一の歌う「死んだ男の残したものは」がどのようなものか、俄然興味がわいてきたのです。
結論から申し上げて、「当たり！」でした！
素晴らしいCDです。久しぶりに魂を揺さぶられる演奏に出会えました。
米良さんは、「もののけ姫」での大ブレークの後、マスコミあたりの格好の餌食にされ、それこそ聞くに耐えないようなひどい中傷や風評などによる精神的な衝撃から歌うことも出来なくなり、一時期は歌手生命も危ぶまれるほどであったと聞きます。
先天性骨形成不全症という重い十字架を背負い、子供の頃からひどい苛めにも遭ってきた彼の生い立ちを思うにつけ、このCDに収録された曲たちの持つ「重み」をひしひしと感じます。
ピアノを中心に、オンドマルトノ、鍵盤ハーモニカなどを用いた、大変シンプルな伴奏も素晴らしい効果を上げています。
地声で歌っている「死んだ男の残したものは」は、恐らく、この曲の演奏の中でも一二を争うものではないでしょうか。
私としては、森谷司郎監督の映画「弾痕」の中で、高石とも也がギター一本で歌ったものが一番なのですが、この米良さんの歌はそれに匹敵する感動を与えてくれました。
しかし、何といっても、ラストの「ヨイトマケの唄」には完全に打ちのめされました。
この曲に関しては、槇原敬之などもカバーしているようですが、全く次元の違う演奏としか言いようがありません。
この歌を作った本家本元である美輪明宏の、その精神を見事に受け継いだ演奏がここにはあるように思われます。
米良さんの病気治療のために工事現場で働き続け、周囲からは無謀とまでいわれた音楽に対する息子の挑戦を精神面でも資金面でも支えてくれた母親。
「子供のためなら エンヤコラ」
この歌は、その米良さんの心情そのものだということで、持ち歌にされたとのことですが、それゆえにこそ、聴く人の胸を揺さぶるのでしょう。
地声の米良さんの声は、あの美しいカウンターテナーとは全くの別物ですから、それを期待して聴く方はちょっと受け入れられないかもしれません。
でも、歌の持つ力をビビットに感じ取れる方でしたら、この米良さんの演奏の深さや重みがわかるのではないか、私はそう思います。
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早速購入してくださったのですね！
実は私Amazonのレビューも書いています。（苦笑）
このCD、何度も聴くうちにスラバヤ・ジョニーとかユーカリも良くなってきます。
私はユーカリにはかなりはまりました。
素晴らしいレビューを書いていただき、本当にうれしいです。
米良さんファンの方々にこの記事をご紹介させてください。
by Cecilia (2010-05-24 09:33)
ご訪問&nice!ありがとうございました。
米良美一さんについてはこれまで、もののけ姫の歌の人という認識しかありませんでしたが、その生い立ちなどに触れることが出来てヨカッタです。
by かずっちゃ (2010-05-24 15:20)
Ceciliaさん、こんばんは。
Amazonのコメント、拝見しました。
Ceciliaさんのコメントにほろりとしてしまいました。
今回は武満さんのことを中心に書いてしまいましたが、もちろん、クルト・ワイルの曲について無関心ではいられません。
ユーカリとスラバヤ・ジョニーの素晴らしさは、最初から心を奪われるものでした。
稚拙なレビューではありますが、米良さんのファンの方々にご紹介頂けるのであれば、これに勝る喜びはありません。
本当にありがとうございます。
by 伊閣蝶 (2010-05-24 23:57)
かずっちゃさん、ご訪問とコメント、本当にありがとうございました。
いつも楽しく記事を拝見させていただいておりますので、コメントを頂き、感動しております。
米良さんの歌は、その背景を知ることによってぐんと深みが増すように思います。
by 伊閣蝶 (2010-05-25 00:01)
こちらで紹介させていただきました。
http://merafan.1616bbs.com/bbs/
http://meragumi.bbs.fc2.com/
by Cecilia (2010-05-25 08:07)
Ceciliaさん、再コメント、ありがとうございました。
また早速、拙い記事をご紹介頂き、感激です。
拝見させていただきましたが、過分なフォローまで頂戴し、恐縮するばかりです。
重ねて御礼申し上げます。
かずっちゃさんからも嬉しくなるコメントを頂きましたが、米良さんの新たな魅力を多くの方に知っていただくことができれば、と願わずにはいられません。
by 伊閣蝶 (2010-05-25 11:28)