バーンスタイン指揮ウィーン・フィルによるブラームス交響曲第1番(ライブ) [音楽]
朝のうちは雲がたれ込めていましたが、昼くらいから青空が広がり、燦々と陽射しが降り注いできました。
昨日までは、とても4月を前にしているとは思えないほどの寒さでしたから、気温は低くてもお日様に会えるのは嬉しことです。
桜の花も咲き始めましたが、赤い椿の花の造形があまりに見事だったので、思わず携帯電話のカメラで写真を撮りました。
でも、この晴天も今日限りで、明日はまた曇りの寒い日となり、雨が降る予報となっています。
どうやらまたまた冬のような気候になりそうですね。
春の訪れはまだまだのようです。
さて、ブラームスの交響曲第1番ハ短調、
指揮者ハンス・フォン・ビューローをして「ベートーヴェンの第10交響曲」と言わしめた、記念碑的な交響曲であります。
構想から完成まで21年の歳月をかけ、集中的に取り組んでいた期間だけでも5年間をかけた労作です。
その苦労の甲斐があって、古今の交響曲の中でも最高傑作の一つということができるでしょう。
演奏される機会も大変多く、それ故に名演も数多く存在しますが、ここでは、バーンスタインがタクトを振った1981年のウィーン楽友協会大ホールでのウィーン・フィルとのライブ録音版をご紹介したいと思います。
バーンスタインは、ニューヨーク・フィルとの間でもブラームスの交響曲を全曲録音しておりますが、両者を聴き比べてみると、(オケの違いはもちろんあるものの)まるで別の人の手によるものではないかと思われるほどの違いがあります。
特にそのテンポの違いには瞠目してしまいました。
しかも、この曲の持つロマン派的な特徴を全面に押し出し、驚くほど雄弁にウィーン・フィルを歌わせています。
またウィーン・フィルも、このバーンスタインの要求に全身全霊を以て応えており、その最高の到達点が4楽章でしょう。
あの、ホルンの柔らかくも濃密な音からフルートに引き継がれる最も印象的な展開の美しさは正に天上の響きとしか言いようもありません。
思えば、米国に生を受けたユダヤ人で敬虔なユダヤ教徒であるバーンスタインが、ナチスによるドイツとの合邦すら抵抗なく受け入れたオーストリアの象徴的な楽団でタクトを振ること自体、不思議な奇跡のような気さえします。
しかし、そんな背景とは全く関係なく、正しくこの指揮者とこの楽団は最高の結びつきをもって数々の名演を我々に聴かせてくれるのです。
しみじみとありがたいことだと思わずにはいられません。
これほどの名盤でありながら、何と1200円で買えてしまう。
これもまた、ありがたいことだと感謝感激してしまう次第です。
2010-03-27 23:40
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ブラームスの交響曲1番、傑作です。
私が最も交響曲らしい交響曲だと思う曲で、
その大きさはベートーベン以上だと思います。
特に第4楽章の壮大さは、
まさにオーケストラの醍醐味を伝えてくれます。
ブルックナー、マーラーとブラームスの3人は、
私のベストです。
by cfp (2010-03-28 22:46)
cfpさん、おはようございます。
ブラームスの交響曲第一番、私も仰る通りだと思います。
ベートーベンの流れを汲む、強固な様式を保持しつつ、やはりロマン派以外ではあり得ない壮大な広がりを持つ、希有の存在でしょう。
決して遅筆とはいえないブラームスが、この曲の完成までに21年をかけざるを得なかったこと。
その重さをしみじみと感じさせてくれます。
by 伊閣蝶 (2010-03-29 07:52)